ほうれい線ができる場所ほうれい線ができる場所とその原因
たった1本の線なのに、顔に老けた印象をもたらすほうれい線。鼻の両側から口もとにかけて伸びるラインのことを指します。ほうれい線は、顔の他の部分にできるシワとは、タイプやできる原因が異なります。
目もとや額などにできるシワは、肌内部のコラーゲンやエラスチンなどの繊維が、加齢や紫外線の影響で減少や劣化することでできるものです。そのため表情の動きに合わせて目立ちますが、ほうれい線は表情を動かさなくても、ずっとくっきりと存在しています。これは、ほうれい線がシワというよりも、重力によって垂れ下がった“皮膚のたるみ”によって現れるものだからです。加齢によって頬や口もとの皮膚がたるみ、同時に頬の脂肪が下がってくることが原因です。
ほうれい線は、30代頃から気になり始め、年齢を重ねるとともにどんどん深くなっていきます。人によっては20代から気になり始める場合もあるので、年齢別の特徴をみておきましょう。
20代のほうれい線
“皮膚のたるみ”が根本的な原因であるほうれい線は、20代から目立つことはあまりありません。しかし、20代でも次のようなことが原因となり、気になり始める場合があります。
■20代のほうれい線の原因
- 乾燥による小じわ
- 表情のクセ
- 噛みグセや歯並びによる影響
- 冷えによるむくみ
- 急激なダイエットによる筋力の低下や栄養不良
■20代のほうれい線のケア方法
幸いなことに、乾燥で目立つほうれい線は、保湿ケアによって目立たなくすることができます。その他の原因も、生活習慣や日頃のクセを見直すことで改善できるものがほとんどなので、思い当たることがある場合には早めに対策をはじめましょう。
30代のほうれい線
30代は、ほうれい線の原因となる“皮膚のたるみ”が始まる年代です。30代前半からほうれい線が気になり始める人も出てきますが、目立つのは鼻の脇あたりまでで、口もとまで進行することはあまりありません。
■30代のほうれい線の原因
20代の原因に加えて……
- 真皮のコラーゲンやエラスチンの変性と減少
- 肌を支える繊維細胞の老化によるたるみ
■30代のほうれい線のケア方法
コラーゲンやエラスチンは紫外線によって劣化し、40歳を過ぎる頃から急激に量が減り始めます。“皮膚のたるみ”も、肌の土台である真皮のコラーゲンやエラスチンが変性・減少することによって起こるので、30代のうちから肌内部のコラーゲンやエラスチンを増やし、変性を防ぐことが大切です。そのためには、 レチノールやビタミンC誘導体など、コラーゲンやエラスチンに働きかける成分を含んだ美容液やクリームなどを使い始めることが有効です。
40代以降のほうれい線
40代になると、ほうれい線の原因となる“皮膚のたるみ”が本格化し始めるため、ほうれい線がかなり目立ち始める場合があります。30代に比べて、肌のすべての機能が低下するため、ほうれい線が口もとまで達し、目立ってしまうこともあります。
■40代のほうれい線の原因
20代&30代の原因に加えて……
- 口まわりの筋肉のゆるみ
- 肌のハリや弾力の減少
■40代のほうれい線のケア方法
ほうれい線は、何年もかけて傷んできたコラーゲンやエラスチンの変性・減少に加えて、本格化した“皮膚のたるみ”が発生の大きな原因となります。家庭でできるスキンケアは、コラーゲンやエラスチンを強化するケアに加えて、“皮膚のたるみ”を解消するエクササイズやマッサージも有効です。
ほうれい線を効果的に消す方法
肌内部のコラーゲンやエラスチンを増やし、変性を防ぐケアが有効です。シワやほうれい線は、乾燥や加齢によって古くなり硬くなってしまった皮膚が、何度も折り畳まれて繊維が傷つき、線のように刻まれたものです。そのため、乾いた皮膚を強く引っ張るマッサージや過度な表情筋エクササイズは、弱った皮膚をさらに折り畳んで傷つけてしまうことになり、よけいにシワとほうれい線を深めてしまう場合があります。あくまでも、肌はやさしく扱うようにしましょう。
1)レチノール、ビタミンC誘導体配合の化粧品を使う
肌内部のコラーゲンを増やす作用のあるレチノールやビタミンC誘導体を配合したクリームや美容液など肌を奥からケアしてくれるアイテムを、ほうれい線を開くようにして塗りこみます。肌への刺激が強いので、使い始めは少量ずつ試すようにしましょう。“皮膚のたるみ”が原因であるほうれい線には、抗酸化力の高いポリフェノール、血行促進効果のあるビタミンE配合のアイテムも効果が期待できます。
2)美容器具などを活用してエクササイズを行う
すでに弾力を失っているコラーゲンは、無理に強く引っ張ったり、動かしたりすることでダメージを受け、ほうれい線を深くしてしまうことがあります。“皮膚のたるみ”解消のエクササイズには、家庭用の低周波美顔器や市販の口にはさんで使うタイプの器具などを使うとよいでしょう。また、口もとの筋肉を鍛えるエクササイズも合わせて行うと、たるみの予防に効果的です。
■口もとの筋肉を鍛えるエクササイズ
- 500mlのペットボトルのフタを取り、少量の水を入れます。
- 唇でペットボトルをくわえて、持ち上げます。(※歯は使わない)
- そのまま10秒間保ちます。これを3回くりかえします。
※慣れてきたら、少しずつ水の量を増やしてもOK。
※どこかに痛みを感じる場合には、直ちに中止しましょう。
3)リンパの流れを良くするマッサージを行う
顔に脂肪がたまると老廃物が滞ってむくみやすくなり、たるみが助長されます。スキンケアの際、リンパの流れを良くするマッサージを加えて血行を促すことで、“皮膚のたるみ”を予防できます。肌の奥までしっかり圧をかける必要はありません。化粧水で角層をやわらかくし、マッサージクリームなどですべりの良い状態に肌を整えた後、肌をなでるようにやさしく行います。
■リンパの流れを良くするマッサージ
- フェイスライン:3本の指の腹で、口角から耳の下に向かって小さな円を描くように引き上げ、耳の前のくぼみを軽く押します。
- 額:3本の指の腹で、眉間からこめかみに向かって小さな円を描くようにマッサージします。
- 目もと:3本の指の腹で、下まぶたの目尻から目頭へ、上まぶたの目頭から目尻へと円を描くようにやさしくすべらせます。
- 頬:手のひら全体を頬に当て、下から上に少し圧をかけるようにして引き上げます。
- 首:下から上になで上げた後、耳下から鎖骨へリンパ液を流します。
4)ふだんの表情やクセを見直す
左右のどちらか片側だけのほうれい線が目立つ場合は、表情のクセや噛みグセ、歯並びなども見直してみましょう。年齢とともに歯並びが内側に倒れこむように変化し、口もとがやせたようになると、そこにほうれい線ができやすくなることがあります。また、ふだんの表情に緊張感をもつことも大切です。口をいつもポカンと開けっぱなしでいるのと、口を閉じて口角をキュッと引き上げているのとでは、“皮膚のたるみ”に大きな違いが出てきます。
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取材・文:地曳久美子
Edited by VOCE編集部
公開日: