先進の温めコスメは昔の排出系とは格が違う
昔から「冷えは万病の元」と言うし、最近は「身体を温めると抵抗力が上がる」と生姜ドリンクや生姜料理が人気。コスメも温め系がじわじわと勢力を拡大している。
もちろん、半身浴とか蒸しタオルのパックとか、温めケア自体はすでにおなじみの定番。ただし、これまでは温めることで発汗を促してデトックスしようとか(ちなみに、汗をかくことと老廃物の排出とは、直接の関係はなし)、毛穴の汚れを落としやすくするといった、排出&清浄が主眼だった。
それに対して、近頃、洗練度を増してきた温め&血行促進ケアは、美肌育成とエイジングケアの要、代謝アップが目的。
単独でも高いケア効果を発揮し、他のコスメの効果も最大限に引き出す、ベーシックにしてスーパーなホットアイテムへと進化している。
何をしても効かないのは肌冷え問題があやしい
代謝アップとは「食事と呼吸からエネルギーをつくったり、古い組織を新しいものと交換したり、といった働きを整えること。これは主に酵素による化学反応なので、やはり、温度が高いほうが活発(※1)になるし、温度が下がると低下してしまいます」と、千葉科学大学薬学部教授・平尾哲二さん。
肌表面は身体の深部に比べて温度が上下しやすく、冷たい外気や冷房etc.ですぐ冷えて(※2)しまう。そうなると代謝も低下して、潤いも血色も生み出せないし、コスメもケアも十分な効果が発揮できないことに。
「化粧品の効果が感じられない、効かないと言う人は、肌温の低さとも関係しているかもしれませんね」(平尾さん)
※1 化学反応は温度が高いほど活発になり代謝が高まるとはいえ、高ければ高いほどいいわけでもない。あまり高温になると、肝心の酵素の働きのバランスがくずれて、かえって生命活動がスムーズに行えないことに。高すぎず低すぎず、やっぱり36~37度くらいが、具合がいいみたいだ。
※2 お風呂や厚着などで温まるのは体表面が中心で、体温には大きく影響しない。体深部の体温自体がそう簡単に上下しては、夏の暑さや冬の寒さに耐えられず、生命の危機だ。逆に、身体の表面温は簡単に上下しやすく、血流も滞りがちに。偏った食生活や過度な緊張も冷えの元。
通だけが知ってる裏効果、ケア前半使いが決め手に
こんなに重要な代謝や血行を助けてくれるのが温め系コスメなのだ。
それなのに、なかなかスキンケアの主流にならないのには、深い事情が。化粧品は法律上では角質層にのみ働きかけるもの(※3)と考えられていて、血流、ましてや代謝を促すなんてもってのほかなのだ。
ケアの結果、血流や代謝が促されることがあっても、化粧品自体の効果としてアピールするのは違法。(※4)というわけで、どんどん進化しているのに特徴を公言できず、裏メニュー効果に甘んじることに。
でも、そこは美容通のVOCE読者、裏効果も賢く上手に引き出したいもの。秘訣は、ケア前半に投入し、まず肌温や血流を上げておくこと。ベネフィークの温感クレンジングは、その点でも理にかなった設計だ。炭酸バブの長い研究成果から血流促進効果を目指したソフィーナ iPも洗顔直後に使うのが鉄則。最新フォースCも、ビタミンCの浸透を高めるため、マッサージ使いがオススメだ。
※3 化粧品がケアできるのは、数週間以内に垢としてはがれ落ちる角質層のみ。医薬部外品でも表皮までで、毛細血管は真皮にあるから、血流に言及するのはNGだ。温熱作用で毛細血管は拡張し血流が増すものだけど、それは化粧品の守備範囲外。「結果的に効果が出ちゃった」という扱いに。
※4 違法なのは、メーカーや販売者側が効果をアピールしてセールスすること。使った女性たちや広告ではない雑誌記事が「効果があった」という感想を表現するのは自由だ。このへんの微妙さが化粧品の効果をわかりにくくしている点も。鋭く読み解いて、賢く使いこなしたいもの。
A.SOFINA
炭酸パワーで血流を促し速攻で肌をぱっと明るく
炭酸入浴剤入りだと身体が芯から温まるのは、微細な炭酸ガスの粒子が血管に入り込み、血管を広げて血流を促すから。このメカニズムを応用した美容液。炭酸ガスと美容成分をたっぷりふくんだふわふわの泡で、芯から元気な美肌に整えてくれる。洗顔後、化粧水の前に。
ソフィーナ iP 美活パワームース 〈医薬部外品〉90g ¥5000(編集部調べ・11/13発売)
B.HELENA RUBINSTEIN
ビタミンCカクテルを温熱効果でブースト!
ターミネーターばりに戻ってきた、伝説のビタミンCコスメ。最新版では、贅沢に3種のハイレベルなビタミンCを配合したうえ、肌にのせた瞬間に放熱するサーマ デリバリー システムで浸透を強力にサポートと、先進の設計に進化している。さらに独自のマッサージメソッドで、最高の結果を目指して。
ヘレナ ルビンスタイン フォース C.3 50㎖ ¥22000
C.SHISEIDO
ケアの最初に肌温を上げ効果倍増の高感度肌に
進化型あったかコスメの代表作のひとつ。肌にのせると水分によって発熱し、じんわり温かく。汚れを落としやすくすると同時に、肌温を上げてケアが効きやすい高感度肌に整える。その後ローションで冷やし、マッサージで温めて、と温冷を繰り返すことで、さらにケア効果が倍増。
資生堂 ベネフィーク ホットクレンジング 150g ¥4000(編集部調べ)
撮影:国府泰
取材・文:近藤須雅子
構成:立原由華里
Edited by 立原 由華里
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