初体験のドキドキをむしろ楽しむタイプです
とにかく明るく、よく笑う。ポジティブオーラ全開な彼女は、初体験だというメイク撮影の現場でも、臆することなくとびっきりの笑顔を見せてくれた。「卓球の試合でも、テレビの収録でも、緊張はしません。むしろそのドキドキ感を楽しんじゃうタイプ。周囲からは『めちゃくちゃ明るい』とか『マイペース』と言われます。伝えたいことはちゃんと口にするタイプ。だって言わなければ何も変わらないですよね。相手が年上でも年下でも、そこは揺らぎません」
実は大のメイク好き。今回の撮影もとても楽しみにしていたそう。「真凜ちゃん(フィギュアスケートの本田真凜選手)が私のメイクの先生。今はなかなか会えないけど、コロナ禍になる前はオフの日にメイクを教えてもらっていたんです。試合のときはすっぴんだけど、オフの日にはメイクを楽しんでます。ダークレッドやパープルなどのかっこいい系のリップに目元は透明マスカラとかシンプルメイクが好きですね。今日のメイクにはもう、感動しかありません。スタイリストさんが選んでくださった服に、ヘアメイクさんのメイク。どれも私にとってはチャレンジングなものだったけど、プロの技が結集すれば自分でも驚くほどの変身ができる。試合とはまた違う、ワクワク感を味わえました」
「憧れるのはかっこいい女性像! BLACKPINKみたいな強さが理想です」
練習中、ボルテージを上げるための曲を流しています。その中の1つが、BLACKPINK。ライブDVDも繰り返し観ているうちに、自分でも踊れるようになっちゃいました。まさにアーティスト!って感じのかっこよさが大好き。
「手強い試合ほど、ワクワクします。強い相手に勝つ喜びは格別だから」
どの試合でも相手が手強く、ピンチになるほど、燃えるタイプ。戦ってる間中、ワクワクしてるし、こんな強い相手に勝てたら最高じゃんって考えてます。他の人の試合を見るときの方がドキドキしますね。
延期に心が揺れた1年前。でもそれをバネに躍進!
ギリギリまで開催が危ぶまれた異例のオリンピック。代表選手としてその渦中にいた彼女は、何を思っていたのか。「昨年、延期が発表された時はさすがに心が揺れました。けれど、当時の実力で優勝できるか?と聞かれたら、自信を持ってイエスと即答できなかった。だから延びたぶん、時間をもらえたと考え、粛々と準備をやり切ろうと思いました。その後もどうなるかわからない状況が続きましたが、選手の私にできるのは、“ある”と思って準備することだけ。1日平均6〜7時間。必要ならばさらに練習量を増やし、中国人選手に勝てる力を身につけよう、とにかくそれだけを考えました」
結果は、女子シングルスで銅メダル、女子団体で銀メダル、混合ダブルスで金メダルと、金・銀・銅を全制覇!
「結果が出せたことはめちゃくちゃうれしいです。でも、私がこだわるのはあくまで試合に勝つこと。勝って、勝って、勝ちまくることで、メダルは後からついてくるもの。卓球の大会って、メダルがあるのは大きな3大会くらいで、他はないんですよ。ですから、メダルをとったことでみんなが喜んでくれるのは本当にうれしい。それが、私が頑張ったこと、そして勝ったことの証だと思うんです。あと、今日みたいなご褒美的なお仕事をさせていただけるのも嬉しいですね。オリンピックが終わった今、やりたいことといえば、美味しい焼き肉屋さんに行くことくらいかな(笑)」
ブレない強さでまっすぐ突き進んでいくその姿を、これからも見守り続けたい。
伊藤美誠選手の東京オリンピック2020激闘を振り返る〜卓球 <女子シングルス>
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撮影/中村和孝(人物)、伊藤泰寛(静物) ヘアメイク/中山友恵 スタイリング/川崎加織 取材・文/中川知春 構成/河津美咲
Edited by 河津 美咲
公開日: