お話をお伺いしたのは……
髙瀬聡子先生
ウォブクリニック中目黒総院長。美容皮膚科医。VOCEをはじめ、多くの雑誌やテレビなどの媒体で、スキンケアについて取材を受けること多々。皮膚科医のノウハウを盛り込み、使い心地にもこだわったドクターズコスメ「アンプルール」の開発も手掛ける。著書に『健康な肌のための新常識 いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社)など。
名前のとおり脂が漏れて起こる皮膚トラブルです!
脂漏性皮膚炎のできる部位は、頭皮、鼻(とくに小鼻のキワ)、眉など、いわゆる皮脂分泌が盛んなパーツ。過剰に分泌された皮脂が肌の刺激となって炎症を起こし、トラブルを引き起こします。
症状として代表的なのが、炎症によって起こる赤み。さらにムズムズとした不快感やかゆみを感じることもありますが、かぶれなどほかの皮膚トラブルと比べるとかゆみは軽めなのが特徴です。
また、炎症が起こることで、肌はみずから状況を改善しようとして、急いで肌の生まれ変わり=ターンオーバーを進めます。すると角質が通常よりも分厚くなり、表面の角質が白く剥がれ落ちてくることも。頭皮の脂漏性皮膚炎の場合、これがいわゆるフケのようなものになります。
「頭皮がかゆくて、ポロポロ白いものが落ちてくる」「鼻のまわりなど皮脂が多いパーツで乾燥してないはずなのに、肌の表面が白くがめくれてる」といった場合は、脂漏性皮膚炎の可能性大です!
残念ながら、根本解決が難しい。なぜなら原因が複数で曖昧だから
実はとても厄介です。それは、多くの皮膚トラブルのように「薬を塗れば治る」、もしくは「一時的なものでおさまる」というものではないから。
皮脂の過剰分泌がイチバンの原因であることがその理由のひとつ。
遺伝的な肌タイプやストレスによって皮脂が過剰に生成されるため、皮脂の分泌量をコントロールするのは皮膚科の治療の中でも困難なテリトリー。乾燥肌の改善よりも難しいんです。そこに間違ったスキンケアをすることで助長させてしまっているケースもよく見受けます。
また、過剰皮脂のほか、ストレスやフルフル(マラセチア真菌)というカビの一種が関与しているとも。ストレスをすべてなくすのは現代社会のおいてムリなのは周知のとおりですが、フルフルもとても厄介な存在。直接的に関与しているのであれば、フルフルの繁殖を防ぐ抗真菌剤でガツンと対処ができますが、そうとも限らない。フルフルが繁殖しやすいのは、汗や皮脂の分泌が増え高温多湿になる梅雨から夏にかけてですが、その時期に脂漏性皮膚炎が増えるわけではないため、フルフル対応だけではどうにもならないのです。
肌の持病のようなものととらえ、上手く付き合っていくべし
クリニックでは、かゆみが強い場合は、かゆみを抑える薬を処方できますし、炎症がひどければステロイドの外用薬を塗ることで症状をおさめることができます。
また、ステロイドを塗り続ければ症状が出るのを抑え続けることができます。ただし、副作用のことを考えても永遠にというのは現実的ではありません。
なので、症状が軽い場合は、必ずしも皮膚科にいけなければというものではなく、ある種、持病のようなものとして上手くコントロールしていくのがベターなように思います。
‟脂漏性皮膚炎もち肌&頭皮“のお手入れ5箇条
では、赤みやかゆみを予防するためにどうすべきか。またなってしまったらどうすべきか。
そのポイントは余分な皮脂を落とすことと抗炎症ケアです。
☑汗や皮脂をシャンプーや洗顔料できちんと洗い流す
ただしこすらないこと。こすると刺激になり、炎症を激化させるので注意!
☑皮脂の代謝を促す
皮脂の分泌を止めることはできないため、スムーズな代謝を促すのが得策。
有効なのがビタミンB2やB6。B2は豚肉やマグロなどの赤身の魚など、B6はサンマやイワシ、レバー、卵チーズなどに多く含まれますが、サプリを使用するのも手です。
☑抗炎症成分を含むコスメを使う
起きている炎症を鎮静する成分=抗炎症成分が入ったコスメがオススメです。
代表的なのがグリチルリチン酸2Kやトラネキサム酸があがります。
顔なら肌荒れ改善をうたっているコスメのほか、美白系にも比較的、配合されています。
頭皮の場合は、フケ、かゆみを防ぐ薬用ヘアケアに多く配合されているのでチェックを。
☑きちんと潤す!
脂漏性皮膚炎になりやすいのは、一般的に皮脂が多いタイプ、いわゆるオイリー肌や混合肌の人が多いため、ベタつきやテカリを敬遠するあまり、ついお手入れをあっさりしがちですが、それは逆効果。かえって乾いて症状を悪化させます。
仕上がりが軽めでもきちんと潤うコスメは増えているのでぜひ活用してみてください。
☑角質ケアをストップ!
意外と多いのが、このタイプ。皮脂が多く毛穴が目立つからといってピーリングや角質ケアを頻繁にやってしまうと、ただでさえ早まっているターンオーバーをさらに早めることに! 未熟な細胞が肌の表面に並ぶため、肌のバリア機能が低下し、刺激に弱い状態になって、さらなるトラブルの温床になる可能性大。
症状が出ているときは、ピーリングや角質ケアはやめ、普段もやりすぎないように注意しましょう。
◎‟脂漏性皮膚炎もち肌&頭皮“にオススメコスメ
ミノン 薬用へアシャンプー、薬用ヘアコンディショナー
敏感に傾いた頭皮をやさしく守りながら、汚れや皮脂はきちんとオフ。かゆみ、フケを防いでくれるうえ、髪の仕上がりもサラサラなめらかで使い勝手も◎。ともに<医薬部外品> 各120ml オープン価格/第一三共スキンケア
コラージュフルフル泡石鹸
ふんわりとした泡が1プッシュでできる洗浄料には、その名のとおり、フルフルに対応する抗菌成分がイン。顔はもちろん、ボディやデリケートな部分にも使え、ニオイ対策としても有効。<医薬部外品> 150ml ¥1800/持田ヘルスケア(持田製薬グループ)
サエル ホワイトニング ローション コンセントレート
抗炎症成分、グリチルリチン酸2K配合の美白化粧水。まろやかな肌あたりにスーッと肌になじみ、美白しながら炎症も鎮静。これをコットンにたっぷり含ませてパックするのもオススメ。<医薬部外品> 125ml ¥5000/ディセンシア
ディオール カプチュール ユース レッドネス ミニマイザー
保護効果のあるコットンから抽出されたペプチドを配合。炎症が起きやすい肌を穏やかに整え、なめらかに。季節の変わり目や赤みやむずむずを感じ始めた初期段階など、先回りケアとして。30ml ¥11500/パルファン・クリスチャン・ディオール
ライース クリアセラムNo.6
過剰な皮脂分泌の抑制効果を認めらた薬用有効成分ライスパワー® No.6を配合。皮脂を抑えるだけではなく、肌が乾かないことも確認されているため、オトナ肌でも安心して使えるのが魅力。<医薬部外品>30ml ¥5000/勇心酒造(4/25発売)
<取材を終えてひとこと>
なかなか厄介な脂漏性皮膚炎。実は私も季節の変わり目などで皮脂バランスが乱れてテカりやすくなると、必ず鼻の横が赤くムズムズしてくるタイプ。改善は難しいとのことだけど、先生のアドバイスに従ってケアをしていると、確かに赤みやムズムズが本当に出にくくなるんです。とくに角質ケアのやりすぎは、まさしく思い当たるところだったので目ウロコでした。気になる方、ぜひ試してみてください。
取材・文/楢﨑裕美
Edited by 楢崎 裕美
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