メイクもファッションも大好き。ユニフォームにも、小さなこだわりを詰め込んでいます
「試合中には難しいけれど、オフの日にはファッションを楽しんでいます。BLACK PINKみたいなかっこいいスタイルが憧れで、メイクもダークレッドやパープルのリップみたいな渋い色をよくつけます。だから、今回のような撮影でプロにメイクしていただけてすごくうれしい! あと、着物が好きなんです。それも、レースの半襟とかあえてスニーカーを合わせちゃうとか、ちょっと今っぽいアレンジの着物が好み。もっと気軽に外出できるようになったら、そういうスタイルで街を歩きたいですね。
実は着物好きが高じて、ユニフォームを着物っぽい柄のデザインでお願いしたことがあるんです。私たち選手って、ハードなトレーニングをするから腕の筋肉のつき方が左右で大きく違ってくるし、ちょっとキツいと感じるだけでも集中の妨げになります。だから、ユニフォームは既製品ではなくすべて特注なんです。和柄のユニフォームは海外の選手にも好評で『どこに売ってるの?』なんて聞かれたりもしました。本格的な着物も、気兼ねなく外出できるようになったら着てみたいですね。ヘアアイロンで髪も巻いたりしてみたい。今は下手だけど、練習しておきます!」
YouTubeからサーブのヒントを得ることもあります
「どんなに優れたサーブでも、進化させなければいずれ研究、対策されてしまいます。でも、どんなに研究されても平気なんです。それが追いつかないくらいの、努力と工夫を私はしてるから」
メイクやファッションの話をしている時の彼女は、20歳という年齢ならではのキラキラとした魅力を放っているけど、卓球の話となるとそれが一変! “世界”を相手に戦い抜いてきた、一流アスリートだけが持つ風格を漂わせる。
「対策されても平気。対策されればされるほど、自分は強くなれると思っています。前回の試合と全く同じボールをださないために、日々新しいサーブの研究をし、進化し続けているから。新しいサーブの研究をするとき、意外かもしれないですけど、実はプロの卓球選手ではなく、卓球関連のYouTubeを参考にすることが多いんです。オリンピックのような大きな試合で決め手となるようなサーブには、技術だけでなくオリジナリティも必要なのですが、プロではない方がYouTubeにあげているサーブには、選手だと思いつかないようなものが多く、かなり参考になるんですよね。もちろんそのままではなく、美誠流に改良して取り入れています。長年研究してきたからか、動画を観て、一回やってみればすぐに自分のものにできるし、アレンジもできる自信があります。今、私が持っているサーブは40~50種類くらいあると思うのですが、その中には卓球動画の技をアレンジしたものもたくさんあるんですよ」
ハートの強さも天下一品! 初めてだというメイクの撮影現場でも臆さず、インタビュー中も常に笑顔。その天真爛漫な魅力にスタッフ全員がメロメロに。
「よくいわれるのは、マイペースとか明るいとか。初対面でも全然人見知りしないし、とにかくしゃべりまくるタイプです。この勢いがあれば、言葉が足らなくても言いたいことはだいたい伝わると思っています(笑)。人間関係でも、クヨクヨと悩むことはありません。もちろん敬語は使いますが、年上だろうと年下だろうと、年齢は気にせずに言いたいことは全部言っちゃう性格です。小さい頃から、自分よりずっと年上の人たちに囲まれてトレーニングをしてきたというのも関係しているのかもしれません。混合ダブルスでペアを組んだ水谷選手にも、言いたいことはきちっと言います。例えば、私と水谷選手では12歳の年齢差があるので、練習の仕方も時間も全然違うんです。私は1日6〜7時間は練習したいけど、水谷選手は2時間くらいがちょうどいい、とか。でもそのペース配分がわかる前は『いつ練習するの!?』と、お母さんと一緒に責め立てましたね。思ったことはお腹に溜めずにどんどん伝えるタイプですし、特に水谷選手とは自宅が近所で私が4歳くらいからのお付き合いなので。オリンピックが終わった今、一番言いたいのはバラエティで私の話をしすぎ! ということです。私が出てないのに、めっちゃ私の名前出してるじゃん! 美誠のこと好きすぎ(笑)。もういいから!と毎回思っています」
大きな舞台を終えて、今思うこと。
「オリンピックの期間中、宿泊施設では選手・関係者と外部の人々との接触を遮断する“バブル方式”が採用されていたためコンビニすらいけず、大変でした。今は“やっと解放された〜”という気持ちでいっぱい。そして、今日みたいな今まで経験したことのないようなお仕事をさせていただけることがなによりうれしいですね。あとは、おいしい焼き肉を食べたい、買い物がしたい、温泉でゆっくりしたいという願望もあるけれど、そろそろ次(11月の世界卓球選手権)を見据えています。オリンピック中は、“何が何でもメダルを!”という気持ちではなく、とにかく目の前の試合に勝つってことだけを考えていたら、メダルが付いてきたという感覚でした。何が起こるかわからないワクワク感を楽しみながら、これからもこのスタンスで頑張り続けたい」
伊藤美誠選手の東京オリンピック2020激闘を振り返る〜卓球 <表彰台>
・白ワンピース
ドレス(レンタル価格)¥165000(CECILER BAHNSEN)、イヤリング¥8800、ブレスレット¥30800(レンタル価格)/NUMBER 5 ダブルリング¥31900、リング¥34100/ASAMIFUJIKAWA ブーツ¥28600/ダイアナ 銀座本店(ダイアナ)
・ブルードレス
ドレス¥75900/アプレドゥマン(マサコ テラニシ) イヤカフ¥133100/リーフェ ジュエリー
撮影/中村和孝 ヘアメイク/中山友恵 スタイリング/川崎加織 取材・文/中川知春 構成/河津美咲
Edited by 河津 美咲
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