「2人で金メダル」を獲得した、女子レスリング川井姉妹。約束した日について語ってくれました

梨紗子さん

レスリングの話は……、まったくと言っていいほどしませんね。

友香子さん

しませんね。どんな話してるかな？

梨紗子さん

ずーっとインスタ見てますよね、お互い。それで『これ美味しそう！』とか『これ可愛い！』とか『ここ行ってみよう！』とか。友香子とだけでなく家族で集まっても、レスリングの話題はほとんど出ませんね。

梨紗子さん

そうですね。『●●におすすめのコスメ』とかまとめてあるアカウントはじっくり見ちゃいますね。あとは、広告が入ってくるとついポチッと。いまだけお試し、みたいなコピーを見ると手が出ちゃうんですよね。メイクでもスキンケアでも、自分に合うものが分かってないというか、いつも探しているので。それで、すぐ買っちゃう（笑）。情報収集という意味だと、髪を切りに行ったサロンで雑誌をずっと見るとかしていますね。自分でメイクするのは週に1回とか2回とか。でも、見ているのは好きなんですよ。……あれ、私だけしゃべってる。友香子もしゃべって！

梨紗子さん

好きなテイストがちょっと違うので、そこは各自です（笑）。使うコスメに関しては、実は一番下の妹が詳しいので教えてもらいます。欲しいコスメがあったら、どのブランドがいいかとか、妹が使っているのを見て『それどこの？』とか。

友香子さん

聞かないと教えてくれないんですよ妹は（笑）。今みたいに梨紗子がわーっとしゃべってて、次に私がしゃべって、妹はいちばん静かにしているのが、三姉妹のいつもの状態。コスメについては、妹が本当に詳しいのは間違いないんですけど、こちらから聞かないと教えてくれない（笑）。

梨紗子さん

いえ、それはたまたま友香子と二人っきりで話すことがあって。『一緒に金メダルを獲れたら最高だよね』ってやんわり話したのを覚えています。いつ頃だったかな、リオの前？

友香子さん

梨紗子がリオオリンピックの代表に内定したころ。私は高校生で、同世代の選手にも勝てないし、日本選手権にも出られないし、っていうときに合宿でたまたま話す機会があって、そのときに『いつか二人で金メダル獲れたらいいね』って。なんでやろね？

梨紗子さん

たまったま、周りに誰もいなくて二人きりになったんですよ。いつも二人になるとレスリングの話をしないくせに、なんでやろ？　いまだに何で真面目な話になったか分からないけど、話したのは覚えてますね。

梨紗子さん

私はロンドンオリンピックが終わって、そこからリオまでの4年間で、自分がまさかこの階級（注：梨紗子さんはリオオリンピックを目指すために63kg級に階級を変更）の代表になれると思わなかったという話をして。4年前に想像もできなかったところに私はいる、だから友香子もリオから東京までの4年間、どうなるか分からないけどやってみよう、変えていくのは自分だから、っていう話をしました。友香子はオリンピックなんて想像もできなかったんです、リオの頃。それでもやってみようと。そしたら本当に、4年後……5年後か、こんな結果になって。

友香子さん

本当に想像できなかったです。金メダルなんて無理だと思うけど『やれるところまでやってみようとかな』とか、それくらいに考えてました。振り返っても、リオから東京の4年間と延期になった1年、5年間でここまでこれるとは、まったく思ってなかったです。

友香子さん

うーん。『もしかしてオリンピックの代表になれるかも』と思えたのが2018年になってからなので結構、ギリギリですね（笑）。そこから、代表に内定したあとも、実際、金メダルは難しいかなと思っていたんですけど、1年の延期でいろんな部分を強化することができて『絶対いける！　自分のいいところを出し切れば絶対いける！』と思うように。延期された1年間で金メダルへの自信が上がりました。

梨紗子さん

私は『延期、しんどーい！』っていう1年でした。調子のいい波、悪い波があるし。調子が悪いときは『本当は、今ごろオリンピックって終わってるはずなのに』って思ったり。友香子とはちょっと違ってました。ほかの競技で、引退する選手もいましたよね？　延期がプラスにもマイナスにもなっていて、難しいなと。怪我をしないタイプだったのに、ギックリ腰にもなって……。

友香子さん

電話が来て『腰があがらないけど、なにこれ？』って。それはギックリ腰だねーって、めっちゃ笑いましたね（笑）。

梨紗子さん

めっちゃ笑ってたよね（笑）。梨紗子は初めてのギックリ腰だったのに！

友香子さん

いろいろあった1年でしたけど、すごく弱かったときから『姉妹で金メダル』ってとりあえず口にしてきて……、現実味がなかったんですけど、少しずつレベルアップしていって、実際に目標を達成することができたので、やっぱり目標とかは口に出すものだなと。どちらかが銀メダルでも喜べなかったと思うので、理想としていた形で東京オリンピックを終えられたので、すごい安心しているし、すごいうれしいです。