【執筆したのは……】
鎌塚亮
1984年生まれ。会社員。セルフケアをテーマに文章を執筆。メンズメイク初心者。
Twitter: @ryokmtk
note: 週末セルフケア入門
スキンケアをしているのに「老けた?」と言われた衝撃
ちょっと驚いたことがありました。久しぶりに会った人に「老けた?」と言われたのです。スキンケアをしているので、それまでの自分に比べて若々しくなっているかと思いきや、そうでもなかったわけですね。
もちろん、スキンケアは無意味ではなかったと思います。まったくの初心者から始めて、そろそろ一年。肌に合った化粧水と乳液を見つけてからは、肌荒れも激減しました。お酒を飲むと、途端に肌が荒れることも分かりました。美容なんて自分に関係ないと思っていた頃に比べて、はるかに生活は快適になっています。
その人に会ったのは二年ぶりでした。そりゃまあ、老化が止まっているとは思ってはいませんでしたが……。「あっ、そうだね。うん、そうだよね。二年くらい経っているからね~~」と応えながら、ちょっとがっかりしていました。一連の美容は、結局自己満足にすぎなかったのかな……と。
「人によく見られたい」と思ってはいけないのか
美容は誰のためでもない、自分のため。だから、自己満足でいいのだ。そう頭では分かっていても、やっぱり人によく見られたい気持ちがあったのです。でも、この気持ちは悪いものでしょうか? これは、容姿で人を判断するような社会に迎合することでしょうか? “若い=良い”なのか? ありのままの自分でいいんだ、自分らしさを大切にすればいいんだと思いながらも、どこかでそう思い切れない部分がある。
それは「ありのままの私」が、そんなにいいものではないからです。そのことは、私が一番よく知っています。ありのままの私は、くたびれた部屋着を着た、だらしない中年男性でしかありません。とてもお見せできるものじゃない。洋服やヘアセットやメイクでなんとか誤魔化して、ようやく人前に立っているのです。はじめて「自分を肯定しよう」と聞いたときは「無茶を言うなあ」と思いました。もともと素敵な人は、ありのままでもいいだろうけど……。
年をとることは、情けないところからやってくる
「若く見られたい」なんて、呪いみたいなものだと思います。「老けた」と言われてショックを受ける必要はありません。生きていたら年をとるのですから、堂々としていればいいはずです。でも、人目を気にしない、居直った人になりたいわけじゃない。それなりに身ぎれいにしておきたい。ここは塩梅が難しいところです。
年をとることは、思っていた以上に情けないところからやってきます。二日酔いが抜けないとか、トイレが近くなるとか、そういうことです。身体的には、単に不快なことが増える。そうして自分の身体がままならなくなってくるので、弱った部分を察知し、配慮することに意識が向かっていきます。だから、おのずと「老い」の進行に敏感になるのでしょう。
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