連載 VOCE特別インタビュー

『プリキュア』が脚本家としての分岐点に。女児向けアニメ新作『ワッチャプリマジ!』にこめる思い

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少女が見せる“真っ直ぐな覚悟”に魅せられて

現在は、『コウノドリ』のようなあたたかいヒューマンドラマや『おじカワ(おじさんはカワイイものがお好き。)』のようなコメディを書くことが多いのですが、当時在籍していた劇団では救いのないドロッドロの話ばかりを書いてました。“皆殺しの坪田”という異名を持った私は、『プリキュア』により「明るくて、キラキラした精神を見ると、ちょっとだけ頑張りたくなる」という事実に気づかされたのです。そして、色々なジャンルの作品にチャレンジする勇気をもらいました。

ワッチャプリマジ
過去に坪田さんが手がけた『プリティーリズム・レインボーライブ』(2013〜2014年放送)。
(c)T−ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / PRR製作委員会

これまで『極上めちゃモテ委員長』『プリティーリズム』『HUGっと!プリキュア』といろいろな女児向けアニメにチャレンジすることができました。あの日、何かから逃げ出したかった私に『プリキュア』が見せてくれた“真っ直ぐな覚悟”。それにより得た体感が、ドラマであっても、映画であっても、私の作品の根底に流れていると思います。

大人になるにつれ、世の中の汚いところが見えてくるし、「努力すれば夢は叶うなんて綺麗ごとだ」と、みんなどこかで感じるようになると思うんです。「頑張ったからって報われないぜ」と。中にはそんな風に頑張る事を斜に構えて笑ってしまう人もいるかもしれない。そして、笑われることが怖くて頑張れなくなるという負の無限ループ! だけど、そんな時にたとえ虚構の存在だとしても頑張っている人の姿を見ると、前を向けるかもしれない。「頑張るのは、恥ずかしいことじゃない」と皆が思えたら世界は素敵な方向に向かうのではないでしょうか。

私事ですが、最近プリマジの勉強として見始めた『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』(日プ2)に“ド”がつくほどハマりまして……練習生の皆さんの夢に向かってひたむきに頑張る姿。応援する国民プロデューサーの熱意に非常に感動したのです。私は、あそこまで一生懸命にできないかもしれないんだけど。でも、ちょっとだけ彼らのように頑張りたいと思いました。「エンターテインメントを舐めるなよ!」は日プ2のトレーナーKENZO先生の言葉ですが、「舐めるなよ」とまではいかないまでも、やっぱりエンタメはそういう前向きな心を宿す力はあると信じたい!

愛している女児向けアニメというジャンルについて熱く語ることは、もはや布教だと思っています。騙されたと思って、皆さん女児アニメを観てみてください。瞳に星が宿っちゃいますから。どんなカラコンよりキラキラしますから。

ワッチャプリマジ
『プリティーリズム・レインボーライブ』
(c)T−ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / PRR製作委員会

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情けなくてもいい。勇気づけられる人がいる限り、人は夢を見ることができる

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