教えてくれたのは……
PROGRESS BODY代表
松尾タカシさん
ウォーキングやエクササイズレッスン、健康グッズの開発も手がける、アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士。身体機能を活性化しながら姿勢を正し、身のこなしを美しく変える独自メソッド「PROGRESS BODY」を開発。
日本人は世界でもっとも歩き方が下手!?
「実は日本人は、わたしの知る限りでは、世界でもっとも歩き方が下手なグループに入ると思います」
そんな刺激的な分析をしてくれたのは、PROGRESS BODY代表の松尾タカシさん。世界各国のアスリートから一般人の歩行を研究し、身のこなしを美しく変えるメソッドを提案する松尾さんが、日本人の歩き方の特徴として挙げてくれたのが「小股歩き」、「前かがみ」、「内股」、「すり歩き」、「O脚」、「X脚」……。
「世界標準とされる歩き方は立体的(=3D)です。しかし多くの日本人の歩き方は足を上げずに、すり足気味になっています。身体の使い方が平面的(=2D)になっているのです」
「日本人の歩き方はハトのよう」「トイレを我慢しているみたい」
「外国人男性に聞いた日本人女性の歩き方に関する調査」(オムロン ヘルスケア㈱、㈱ワコールによる共同リサーチ)によると、98%もの男性が日本人女性をカワイイと回答しています。さらに魅力的に感じる部分については、1位/顔・メイク、2位/雰囲気、3位/髪型、4位/体型、5位/服装と続きます。
しかし、「残念だ・カワイくない」という部分については、「歩き方」という回答がダントツの1位(64%)! とくにハイヒールでの歩き姿に関しては90%もの人が不格好と答えています。さらに、「自信がないように見える」、「トイレを我慢しているようだ」、「どうしてハトのように歩くのか」、「前かがみで歩くので老けて見える」という衝撃的なコメントまで! 日本女性の歩き方について、外国人男性からどれだけ“残念”だと思われているのかが分かります。
たしかに、街で歩いている人々を観察すると、後ろ姿を見るだけで外国人と日本人の違いは歴然としています。骨格や筋肉が違うヨーロッパ系やアフリカ系の人たちと差異があるのはわかりますが、中国や韓国など同じアジア系の人たちとも明らかに違うのです。外国人はみな背筋を伸ばし、お尻をかるく振り、大股で堂々と歩いています。中国や韓国の方々にも、日本人の歩き方の感想を聞いてみると、「韓国では内股で歩いている女性はほとんど見かけません」、「日本人は中国や韓国の人と顔のつくりは似ていますが、歩き方で見分けができます」と、またもや残念な意見が。
正しく歩けないと、美しさや健康にも影響が
世界標準の歩き方とかけ離れているといっても、カワイければいい!と思う方もいるかもしれません。しかし、それは大きな間違い。正しい歩き方=世界標準ウォークを身につけるか否かで、あなたの美しさや健康に大きな差がついてしまうのです。
正しく歩けないと、骨格がゆがみ、脚やお尻の筋肉が効率的に動かなくなります。たとえば悪い歩き方では偏った筋肉(太ももの前側や外側、ふくらはぎの筋肉など)を使うことになり、太ももの外側部分が発達し太くなりがちです。また骨盤が後傾してしまい、大腿骨が外側に向き、扁平で横に広いお尻になったり、ヒップラインが垂れやすくなります。
また上半身においても、日本人的歩行の特徴である前かがみ気味の歩き方だと猫背になりやすく、さらにデコルテが消えてバストが落ちてくることも。さらには丸まった背中は大きく見えてしまい太っていると思われがちに……。
「なにより悪い歩き方では、小股でちょこちょこと進むので歩行速度が上がらず、結果として代謝が落ちて太りやすくなります。人類が二足歩行をはじめて600万~700万年といわれます。つまり“歩く”という運動は、人間にとってもっともサステナブルなエクササイズといえます」(松尾さん)
つまり美しく正しい歩き方=世界標準の3Dウォークで合理的な動きをマスターできれば、それだけで手軽でかんたんなエクササイズになるのです。
次回は「日本人が上手にできない、世界標準ウォークの3原則」についてご説明していきます。
『きれいに歩けば長生きできる 世界標準3Dウォークの奇跡』(松尾タカシ著)
Edited by VOCE編集部
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