今回のゲストは元宝塚歌劇団・星組娘役トップスターの妃海風(ひなみふう)さん。自分の好きなもの、なりたい姿を明確にされている妃海さん。常にときめく心を持っていらっしゃるから「陽 」のオーラが溢れ出ています。今回は宝塚時代のお話をお聞きしました。
妃海風さんの前回、前々回のインタビューはこちら▼
宝塚時代は、生きることに必死でした(笑)
妃海風さん(以下 妃海さん)
……。もうね、本当に何にもない(笑)! 生きることに必死でした(笑)。
美夢
気持ち、分かります(笑)。じゃあ、特にメイクにこだわった役は?
妃海さん
『太陽王』という作品のとき、ドレスが全部くすみカラーだったんです。すごく絶妙な素敵な色だったのですが、「これはいつもの宝塚メイクではなじまないな」と感じて、ファンデーションから何から何まで全て見直しました。リップもイヴ・サンローランを全色試したりして。これまでのマニュアルにとらわれなくても良いんだと気づけて、それまで苦手意識の強かった舞台メイクが楽しくなりました。『LOVE & DREAM』という作品のときは自分の大好きなプリンセス像を体現するために、化粧品ひとつひとつにこだわり、愛をこめてメイクしていましたね。
下級生のとき、フィナーレで、口紅以外全部落ちちゃって(笑)
美夢
ほかにも舞台メイクにまつわる思い出はありますか?
妃海さん
あります、あります! 最下級生の頃の話ですけど、私すごい汗かきでして、お芝居が始まってショーをして、最後大階段の上で手を振るときには口紅しか残ってなかったことがあるんですよ。
美夢
えええ! そんなタカラジェンヌ、見たことない!(笑)
妃海さん
嘘みたいだけど本当で。メイクも取れ、まつ毛も取れちゃっているから、しょうがないから着替え場所にぽいっと置いて、口紅だけで。最下級生の頃は「きれいに舞台に立つ」という意識が低くて、それよりも全力で一生懸命パフォーマンスすることがすべてでした。
美夢
確かに下級生の頃はやることも多いし、慣れないから大変でしたね。
妃海さん
上級生の方々も最初は笑っていたのですが、だんだん「妃海は何で今日も口紅だけになっちゃったのだろう?」と組全体で考えてくださるレベルの問題になってしまい……。下地をこれにしてみて、このファンデーションを使ってみてと言われるがまま色々やったのですが、何をしても最後は口紅だけになっちゃう。結局髪の毛につけていた整髪料が原因で、頭の汗のせいで全部メイクが取れてしまっていたことが分かりまして。整髪料を替えたら落ち着きましたが、今思い返すと本当にとんでもないですよね(笑)。
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