「僕、意外と周りを引っ張っていくのは好きなんです」
―今回、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でロミオ役のオーディションを受けられた理由と、決まったときのお気持ちを教えてください。
「2019年にはロミオの親友・マーキューシオ役として出演させていただいたんですが、そのときにロミオを一番近くで見てきて、ある意味嫉妬というか、素敵だなと思うタイミングがすごくあったんです。だからこそ、俳優としてロミオを演じられるチャンスがあるのであれば何としても自分の手で取りたかった役ですし、オーディションを受けないという選択肢はなかったですね。決まったときは非常に光栄でした。嬉しい反面プレッシャーもありましたが、自分が作品を引っ張れる存在にならなきゃいけないなと思っています」
―オーディションでロミオ役を勝ち取れたポイントはここなんじゃないかな、と思うところは?
「正直、あんまり……(笑)。もちろん全部出し切りましたけど、それこそ2年前にご一緒したときからの顔見知りの方々がたくさんいたのでそのプレッシャーがあって、適度に緊張していたのが良かったのかもしれないですね。知っているからこそ変に気を抜かず、前回のマーキューシオとは違う、ロミオとしての緊張感みたいなのがアピールポイントだったのかもしれないです。あ、真面目だ! みたいな」
―(笑)。座長として生かせるようなご自身の強み、今の時点で何か自覚していることはありますか?
「意外と引っ張っていくのは好きです。最近まで気付かなかったんですが、学級委員や部活動の部長に選ばれたり何かを任せられることが多かったなと思って。“黒羽麻璃央”という名前だとすごく目立つので(笑)、名前負けしないように頑張るという子供時代を過ごしてきたんですよね。だから今回も、座長として引っ張っていくことがプレッシャーに感じるということはないです」
「好きだったら、恋愛の困難は諦めずに乗り越える」
―時代が変わっても『ロミオ&ジュリエット』が演じ継がれている理由や魅力とは、何だと思いますか?
「一つは、みんなが愛に飢えているのではないか、というのはありますね。ラブストーリーといえばロミジュリ、みたいな作品になっているじゃないですか。色々な障害の果てに二人は死を選んでしまうけど、それでも一緒にいたいという想いは単なる悲劇ではないし、愛と死は表裏一体みたいな面があると思う。二人の愛と死によって両家が平和を築き上げられるように。それから、愛を伝えるのがすごくストレートですよね。今ってまっすぐなものがカッコ悪いと思われる時代でもあるけれど、『君のことを愛している。結婚しよう』と瞬時にサラッといえてしまう恥ずかしいくらいの潔さ、激しさがあるので、みなさんがそういうのを欲しているのかもしれないですよね」
―もしロミオとジュリエットのように障害のある恋をしてしまったら、乗り越えるor諦める?
「困難は頑張って乗り越えます! さすがに両家の争いほどのことはないとは思うけれど(笑)」
―黒羽さんは、ストレートに愛を伝えられるタイプですか?
「そうですね、好きだと思うたびに好きって言っちゃいます。伝えないと伝わらないと思うし、重くないと価値がないと思ってしまうので。すみません、僕、重い男なんです(笑)」
―(笑)。ご自身が愛を感じる瞬間ってどんなときですか?
「寄り添って、同じ方向を見てくれるときに愛を感じるかも。男女の恋愛間での話だったら、お互いを見つめ合うんじゃなくて隣に寄り添いながら、自分が目指している方向を一緒になって見てくれているような状況に愛を感じますね」
―普段、カッコいい男でいるために心がけていることはありますか?
「いい意味で自由な人でいること。もちろん色々なしがらみやルールの中で生きているけれど、その中で無理をせず、自分のやりたいことや好きなものをとことん追求していける方って、すごく自由度が高くてカッコいいなぁと思うんです。特にリリー・フランキーさん、木梨憲武さん、所ジョージさんを見て思うんですけど、自然体でどこか自由な感じがして、すごくカッコいいですよね」
「愛こそが美。……言ってて恥ずかしくなっちゃった(笑)」
―美容に関することで、大きいなと感じた出会いや出来事ありますか?
「食事に気を遣うようにしてからは、肌の調子がすごく良くなった気がします。今までは好きなものをお腹いっぱいになるまで食べていたんですが、食べる量を減らしたり、寝る3〜4時間前は何も食べないようにしていたら、悩みだった肌荒れが急になくなったんです。胃の調子が良くなったのかな。今も半日断食をしたり、食事の量を調整したり、特別なものをプラスして摂るよりも何かを削ることを心がけています」
―半日断食や食事制限、続けるためのコツを教えてください。
「僕が食事に気をつけているときやダイエット中は、毎日体重を測るようにしていますね。朝起きて1回と、お風呂入る前に1回。全然落ちない期間ももちろんあるけど、具体的な数字に現れるとすごくやる気が出てくるし、痩せてる!って思えると、やってきたことが正しかったんだなって自信に繋がるんですよね」
―ちなみに、美と愛に関連性ってあると思いますか?
「愛こそが美、愛そのものが美だと思うんですけど……、今自分で言っててすごく恥ずかしくなっちゃった(笑)。色々な愛の形があるけれど、愛情を抱けるというのはそれだけで美しいことだなと思うんですよ。簡単に愛していると言ったり、愛情を注ぐことはできるけど、そもそもは愛って相当重いものだし、美しいもの。美の要素として、愛があるんじゃないかなと思いますね。……何言っているんだろう、恥ずかしい(笑)」
―とっても素敵なお言葉ありがとうございます! それでは最後に、黒羽さんが今愛を持てるものを教えてください。
「家にある桜の木を愛しています。ただ、愛情を込めて育てていたんですが、この間1週間くらいおうちを空けたら見事に散っていました。ずっと差しておこうかなとも思うんですが、今ではもう桜も葉っぱも散ってしまって……。僕の愛がちょっと足りなかったのかなぁ(笑)」
黒羽麻璃央(くろば・まりお)
PROFILE:1993年7月6日生まれ、宮城県出身。2010年、第23回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞し、芸能界入り。2012年ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで俳優デビューを果たすと、ミュージカル『刀剣乱舞』(’15-16)や『黒子のバスケ』(’16-18)など舞台のほか、ドラマ『寝ないの?小山内三兄弟』(’19/主演)など幅広く活躍。現在配信中のParaviオリジナルストーリー『リコハイ!!』では、桜井ユキ演じる主人公と奇妙な同棲生活をする年下イケメン男子を演じている。
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
©️Photo by Leslie Kee(SIGNO)
モンタギュー家とキャピュレット家が代々憎しみ合い、争いを続けてきたイタリアの街・ヴェローナ。ある日の舞踏会で、キャピュレット家のひとり娘・ジュリエットとモンタギュー家のひとり息子・ロミオが運命的に出会う。お互いが敵対する家の者だと知りショックを受ける二人だったが、気持ちを抑えきれず永遠の愛を誓い合う。しかし、両家の若者の間でいさかいが勃発し、親友・マーキューシオがジュリエットの従兄弟・ティボルトに刺され、逆上したロミオがティボルトを殺害してしまう。ヴェローナから永久追放されることになったロミオは、夜が明けるまでの時間、ジュリエットとの結婚初夜を過ごす。これが永遠の別れになるとは知らず、夜明けと共にロミオはマントヴァへと旅立っていく―。
【東京公演】2021年5月21日(金)〜6月13日(日)
【大阪公演】2021年7月3日(土)〜7月11日(日)
【名古屋公演】2021年7月17日(土)〜7月18日(日)
※詳しくは公式サイトをご覧ください
www.rj-2021.com
【出演】黒羽麻璃央/甲斐翔真(Wキャスト)、伊原六花/天翔愛(Wキャスト)、味方良介/前田公輝(Wキャスト)、新里宏太/大久保祥太郎(Wキャスト)、立石俊樹/吉田広大(Wキャスト)、小㞍健太/堀内將平(Kバレエカンパニー)(Wキャスト)ほか
撮影/大靍円(昭和基地 ¥50management) ヘアメイク/Haruka(Lomalia) スタイリング/ホカリキュウ 取材・文/高橋夏実
Edited by VOCE編集部
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