連載 VOCE特別インタビュー

『カラフラブル』にこめた、息苦しい社会をサバイブする方法とは?【脚本家・坪田文】

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自分の「軸」を持つと安定感が変わる

脚本のテクニックはまだまだ磨かなければならないし。スケジュールが厳しすぎて納得できないものを書いてしまい落ち込むこともある。勿論、今でも人の意見は気になるし、全く気にしないと頑なになるのもこれまた息苦しいもの。ただ、創作に限らず自分の足で人生を歩いていく中で悩み、迷いの道に入ったとしても、おぼろげでも立ち返る“軸”を持っていると安定感が違います。それは、家族を幸せにしたいだとか。好きなものは諦めないとか。何でもいいと思うのだけど。

『孤独のグルメ』の五郎さんの“一人で食べる食事”みたいなものから始めてもいいかもしれません。誰にも邪魔されないワガママで自分のみと向き合う時間。私にとっては『美容』スキンケアやメイクをしている時間がそれです。美容についても『正解』を探しがちな人は多いですよね。インフルエンサーさんが紹介している商品にすぐ飛びついちゃったり(これは、私も!)、誰かが良いと言っているものがつい欲しくなっちゃう。

“脳内にいるいじわるな人”=自分ツッコミをやめよう

けれど、正解というのはそれぞれの個人の中にあるもの。色々試して、失敗したり、感動したりしながら「こういう時はこのスキンケア」と自分に適したものがわかってくる。メイクもそうで、自由に楽しみたい。メイクはなりたい自分を演出すること。こう言うと、脳内にいるいじわるな人が「けど、メイクするって他人に良く見られたいってことじゃーん」「自己顕示欲まる出しじゃーん」とか語りかけてくるんですけど。そんな意見はポイですよ。

「良く見られたいって思って何が悪い?」だし。好きな人やパートナーに「カワイイねって言われたい!」って気持ちも自分のためじゃないですか。「今日は、思いっきりモードに行くぞ!」「極楽鳥みたいなメイクするぞ!」って気合い入れるのも自分の自由なんですよ。それは、誰にも邪魔されることじゃないんだなー!!

そうやって自分を見つめて、研究する時間がきっと自分の『軸』を作っていく。不安定で変容していく社会。板挟みにならない人生は無いかもしれない。だけど、しっかりした自分の『軸』を持っていれば、この息苦しい世の中もサバイバル出来るのではないでしょうか?

皆、それぞれの美しさがあり、それぞれの心の色を持っている。それを自信もって、尊重しあえる世界を作りたい。綺麗事と笑われてしまうかもしれないけれど、少しでも、たった一人でも、何かが、誰かが、変わるきっかけが作れたら……様々な事象に板挟みになりながらも『カラフラブル』を書く時、忘れない様に持っていた『軸』です。

作品自体はゴリゴリのコメディなので、疲れた夜のお供に是非!

【column】
最近買ったもの

『カラフラブル』はスケジュールが鬼で(10年脚本家をやっていますが一番ヤバかった)3カ月ほど外に出る機会が無かったのですが、バイレードのアイシャドウパレットを買ったことで気分が天元突破にアガりました。カラフルな色がこれでもか!と詰め込まれたパレットで一見使い辛そうな“面倒くさい”雰囲気のパレットなんですが、塗ってみると意外となじむ! 透明感があるカラフルなんですよね。そして、個性的でビビッドな色同士を混ぜるとまた新しい色が生まれる……! まさにカラフラブル!!

みたいなことを初対面の板垣李光人君に熱く語ったら、若干戸惑いながらも話を聞いてくれました。優しい子……! ごめんね。いきなりコスメヲタトークして……。けど、コスメ好きな人を見るとどうしても「同志!!」とテンションが上がってしまいます。

【今回の作品】
『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。』

仕事に夢中で自分のおしゃれは二の次の漫画編集者・町田和子は、ひょんなことから高校の後輩である相馬周(めぐる)と再会。完璧な美しさを持つメイク男子となっていた周が、和子をずっと好きだったことを知り、お試しで付き合い始めることに……。同名漫画をドラマ化したラブコメディ。毎週木曜日23:59〜放映中。

プロフィール

坪田文(つぼたふみ)
『コウノドリ』『おじさんはカワイイものがお好き。』『だから私はメイクする』などの話題のドラマを次々と手がけている脚本家。ドラマだけでなく、アニメ『HUGっと!プリキュア!』他、映画、舞台の脚本も手がける。現在は、萩原みのりさん主演『RISKY』、吉川愛さんと板垣李光人さんがダブル主演する『カラフラブル』が放映中。
Twitter:@tsubofumi
Instgram:tsubofumi

過去の対談記事はこちら▼
コスメで手に入る、自転車が初めて乗れた日の無敵感【神崎恵×脚本家・坪田文対談】

坪田さんと美容家・神崎さんのコスメ放談(動画)はコチラ▼
『だから私はメイクする』最終回放映直前インスタライブ

主演の板垣李光人さんインタビュー記事はこちら▼
【前編】世界のカラフルさを伝えたい
【後編】メイク、ファッション…表現の根本には“お芝居”がある

Edited by 大森 葉子

公開日:

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