連載 VOCE特別インタビュー

【板垣李光人】すべての表現の根本には“芝居”がある

公開日:

今の状況を維持するために
どうすべきかを考えている

話を聞いていて何しろ驚くのは、板垣さんがものすごく理知的なことだ。11歳で俳優としてデビューした人を、一般的な十代と比較するのが間違っているのかもしれないが、まだ19歳とは思えないほど、言葉に揺らぎがない。

「そんなことないです、グラグラの時もありますよ。今でこそ、大河ドラマの現場にいると『すごい場所にいるんだな』と実感しますが、中学生の頃に出演した『花燃ゆ』の時は、現場の空気とかぜんぜん分かってなかったし。最近は本当にいろんな、貴重な経験をさせてもらっていて、『しっかりしないといけないな。グラついていられないな』っていう意識が、より高まってきたように思います。自分の好きな表現の場をいただきながら、今回のドラマに主演させてもらったり、大河ドラマに出させてもらったり。本当に贅沢だし、ありがたい状況です。最近よく考えるのは、今の状況を維持していくために何をすべきかってことです」

後悔しないよう、
やりたいことはなるべく早くやりたい

そして、現状とは無関係に、常に考えていることは、意外にも「死」について。

「結構哲学的なことを考えている事が多いんですよね。『何のために生きるのか』、『どこから来て、どこへ行くのか』、『死ぬまでにどれくらいあって、自分はその間に何ができるのか』。それこそ『今自分の周りにいる人たちが、突然いなくなってしまった』、みたいなことも。でもそういうことを考えるのって、自然なことにも思えるんですよ。だって、今この瞬間に、何かすごい大きなものが落ちてきて、この場で死んでしまうことだってあるかもしれない。実は「死」ってすごく身近なことだと思うんです。だからこそ、後悔しないよう、やりたいことはなるべく早くやりたいし、欲しいものは手に入れたい。自分のファッションブランドを作ったり、趣味で書いている絵で画集も出したいし、海外での仕事も経験してみたいです」

板垣光李人さん

自分は自分だけのものを
培っていきたい

ここしばらくは韓国のコンテンツにハマっている。「どんなドラマが好きですか?」と聞けば『SKYキャッスル ~上流階級の妻たち』のタイトルが挙がった。ここまでの話を聞いていれば納得の、人間の欲望を抉る大ヒットサスペンスである。「さすが!」と膝を打ち、「ならば海外進出はいつ!」とつい畳み掛けてしまうこちらを、優雅かつ冷静な笑顔で受け流し、板垣さんはやはりまったく揺らがずに言う。

「まあ自分は自分のペースなんで。それこそ面白い映画やドラマを見れば『この人のお芝居いいな』とは思いますが、『よし、自分もそれをやってみよう!』というふうにはならないんですよね。それはあくまでその人のものだし、自分は自分のものを培っていかなきゃいけないと思うし。自分がやりたいと思えば、やると思いますしね」

『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。』

カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。

仕事に夢中で自分のおしゃれは二の次の漫画編集者・町田和子は、ひょんなことから高校の後輩である相馬周と再会。完璧な美しさを持つメイク男子となっていた周が、和子をずっと好きだったことを知り、お試しで付き合い始めることに……。同名漫画をドラマ化したラブコメディ。毎週木曜日23:59〜放映中

プロフィール

板垣李光人
いたがき・りひと/2002年生まれ。11歳で俳優デビューし、美少年ぶりが話題となった『仮面ライダージオウ』を経て、『約束のネバーランド』『ここは今から倫理です。』大河ドラマ『青天を衝け』など話題作に次々と出演。本作がドラマ初主演作となる。

撮影/岡本俊(まきうらオフィス) ヘア&メイク/笹本恭平(ilumine.) スタイリング/佐藤英恵(DRAGON FRUIT) 取材・文/渥美志保

Edited by 大森 葉子

公開日:

こちらの記事もおすすめ

    You May Also Like...

    あなたにおすすめの記事

      Serial Stories

      連載・シリーズ