「何事にも当たり前はないので、感謝を持ち続けていたい」
―今回発売されたアンミカさんの日めくりカレンダー、どれも前向きになれる言葉ばかりで素敵でした。ご自身が今まで大切にされてきた言葉を紹介しているとのことですが、アンミカさんが日々幸せに過ごすためにしていることはありますか?
「日頃から心がけているのは、小さな感謝を持ち続けていくことと、やっていただいたことにきちんとありがとうと声をかけること。当たり前になりがちなんですが、何事にも当たり前はないという気持ちを持ち続けていないと……、と思っています。『有ることが難しい』と書いて“有難い”。物が少ない時代からこの言葉がありますが、目の前に“有ること”に目を向けて、感謝をするというのが語源。有ることが当たり前になった今、“ありがとう”を言うきっかけが少なくなったり、軽い言葉になっているように感じます。日々過ごしている自分もそうなりがちなので、自分自身の戒めのためにも、この日めくりカレンダーに記録しました」
―小さな感謝を持つことで、前向きに取り組むことができるんですね。ちなみに、アンミカさんは昔からポジティブ思考だったんですか?
「幼少期はネガティブでしたね。3月末生まれで背も低くぽっちゃりしていて、すらっとした外見の兄弟と比較をされたり、顔に怪我を負ってしまい、笑うと唇がめくれ上がる後遺症が残って、私は笑うと『相手を怖がらせてしまうんだ。笑っちゃいけないんだ』と思い込んでいたんです。小学校中学年くらいまでは自信のない子供時代を過ごしていました。でも、それを見かねた母親が『大人になったら心地いい美人になるための4つの魔法があるんだよ』ということで、4つの魔法を通じて、心地いい美人になる教育をしてくれたんです。一つ一つができるようになると、『ミカちゃんはいつも背筋を伸ばしているね』、『人の目を見ながら、笑顔で話を聞いていて素敵だね』などと、友達のお母さんや学校の先生など、大人に褒められるようになっていって、自信が持てるようになりました。この頃にネガティブだったからこそ、よりポジティブのありがたみが分かるんだと思います」
「私が一番美しいと思うのは、“心地いい美人”なんです」
―アンミカさんが今思う、“美しい人の定義”とはどんなものですか?
「これは、幼少期に母親から教えてもらったときから、どれだけ時代を経ても変わらないのですが、“心地いい美人”です。またすぐに会いたくなる何か目が離せないような味のある美人さんって周りにいませんか? 目が合うとついこちらもその人の笑顔が移ってしまって顔がほころんでしまうような、瞳の奥に優しさが映った笑顔で、配慮深い行動や言動、ユーモアがあるなど、真の美しさは顔の造作だけではないと思うのです。 アートの美に通ずるような、見ているだけでワクワクとする好奇心を刺激したり、そばにあるだけでどこか心地よく魅了されるもの。そういうのが“美しい人の定義”としてあるのかなぁと思っています」
―“心地いい美人”でいるために、意識していることはありますか?
「日ごろから相手の痛みに配慮ができる人でありたいな、とは思っています。日めくりカレンダーの中にも大好きな“和顔愛語”という言葉を入れています。笑顔で愛ある言葉を使って、幸せを分かち合い、巡らせ、和合する。これが、幸せだと思っています。 自分だけが満足して幸せなのは我欲だと思うんです。お金も誰かが喜ぶ顔が見たくて、目の前の事に一生懸命打ち込み、結果、周りを巡り自分にも戻ってくる。お金はその人のエネルギーだから、エネルギーが回ることでお金も巡り、みんな幸せになるんだと思うんです。なので、独り占めはひとりぼっち、シェアしたらみんなハッピーという言葉は 大好きです。社会に貢献せず、独りよがりに満足することは幸せなのでしょうか? 幸せを分かち合い、喜ぶ顔を巡らせていく和が、これからの時代はとても大事に、よりなるのではないかと思っています。
母親から昔教えていただいたことの一つで、今も心掛けていることが、『自分から笑顔の種をまいて、愛ある言葉を使い、相手に配慮深くある』こと。例えば、誰かの相談に乗らせていただいたときに、『そんなんやめとき!』というよりも『辛かったら投げつけるんじゃなくて手放してみようか』、『短気やな!』よりも『決断力早い!』、『押し強いなぁ』よりも『積極的!』など、愛ある言葉を使いネガポジ変換の工夫で、笑顔と和を周りと紡ぐことができるんですよね」
―美容と幸せの関係性って繋がりがあると思いますか?
「あると思います。相互作用ですから。今の自分は幸せだと受けとめ、日々の小さなことに感謝の気持ちを持つ謙虚な人は、それだけでもきっと内面から美しい。そういう人は、心に余裕もできて、美へのモチベーションも高まるのだと思います。その心の余裕が清潔感あるファッションや美しく落ち着いた所作に繋がるのではないでしょうか。
男性、女性関係なく、美しいものを見た瞬間に感動で、“ハッ”と息をのむでしょう? その瞬間って平和だと思うんです。美の基準は様々ですが、美には平和を育む力があると思っています。なので、これからの時代、知恵がある人が知恵を出し、愛のある人が愛を巡らせ、お金のある人がお金を巡らせ、美しい人は美しさをシェアする。そうすることで、みんなが平和に生きることができ、幸せに導かれると信じています」
【アンミカ先生、教えて! 3つの美悩み相談室】
お悩み①「マスクをずっとつけていて、肌荒れが治らず悩んでいます」
「肌には悪玉菌と美肌菌という常在菌がいると近年言われていますが、マスク蒸れで毛穴が開いて雑菌が増えやすい環境にあることで、悪玉菌の方が増えてしまうのだとか。だからマスク生活において、肌荒れする人が増えているのですね。あなたがきちんとコロナの対策をされてきたからこそ、肌荒れの今の悩みがあるということなので、ここからは改善していきましょう。
肌荒れを改善する方法ですが、悪玉菌が住みにくく、美肌菌が住みやすい肌へと導いてくれる菌活化粧品がいくつかのブランドから発売されているので使ってみましょう。 実際に私もマスク生活の中、肌の悩みが多くなったので、菌活化粧品に変えました。私が使っている“エスプリーナ”の化粧水は、美肌菌のエサとなる乳酸菌BIO-proや、植物幹細胞などの美容成分が入っているので、美肌へと導いてくれるんです。今はいろいろなブランドから菌活化粧品が発売されているので、ぜひ自分に合うものを見つけて使ってみてください。
また、肌に良いマスクを使うことも大切。抗ウイルス・抗菌・不織布で、縁取りのカラバリも豊富でおしゃれを楽しめる “ナナンワールド”の三層マスクが私のオススメです」
お悩み②「鼻は低いし、まぶたは一重。自分のパーツに自信が持てません」
「自分の顔は見慣れるもの。流行の顔や理想の顔と比べて、ないものねだりになっている部分があると思いますが、実はコンプレックスというのは一番のチャームポイントでもあるんですよ。
私の講演会ではいつも『隣同士に座った初対面の人を、3分間褒めあって下さい』という時間を作るんです。初対面なのに意外と3分間で収まりきらないぐらい盛り上がっちゃうんですよ。A『おでこの形が綺麗ですね』、B『え〜、私おでこが広いのがイヤなんです』A『でも出しているじゃないですか。いいなぁ、私は出せないですよ!』なんて流れになり、お互いの自信になっていくのを見るのがワクワクします。
例えば、一重まぶたで悩む方もその切れ長の目が印象的で神秘的だったり、鼻が低いことに悩んでいた方も、そこにその方のお顔の愛らしいバランスがあったり、周りから見ると意外とそれがうらやましいということもあったりして、鼻が低くても愛らしさがあるなど、やっぱりないものねだりだったのかしらと気づき、コンプレックスがチャームポイントに変わっていくこともあるのです。
今はメイク用品も幅広くあるので、その人のチャームポイントを活かした可愛さをいくらでもアピールできる時代です。親からいただいた財産ですし、自分のチャームポイントを自分で愛してみて、キャラクターとして周りに押し出すという努力をしてみるのも大切だと思いますよ。しかし、整形ももちろんOKだと思います。そのコンプレックスのせいで自分の行動が制限されるほど落ち込んで辛いのであれば、整形をして気分を高め、自信を持って人生を謳歌するのもよいと思いますよ」
お悩み③「年齢を重ねるたびにシワやシミ、たるみが気になってくるのが怖いです」
「肌がピチピチにうるおっていてハリがあり、徹夜をしてもメイクのりは全然いい。シワも少ない。というような20代の肌が美の基準になっているとするならば、いったんその想いを手放してみましょう。“若くいなくてはいけない”と思うアンチエイジングは、どうしても美に歪みが出てしまいます。
歳を重ねることが怖いと言う気持ちがわからないということはないです。20代から30代は特に、一番比べてしまう年代だと思います。けれども、VOCE世代の方たちにラッキーだね!とお伝えしたいことがあるんです。この時代、いろいろな美をキープする方法がたくさんある。ジェンダー、世代の違い、美が多様化している今、価値観も様々です」
「ずっと美しくありたい。ということであれば、心の美しさと毎日自分を大事にする丁寧な暮らしを続けることでナチュラルな美は保てます。そこにプラスα、自分の筋肉の落ち具合や脂肪のつきやすい部分、内臓のウイークポイントを見つけて重点的にケアをしていくことで、健康的に美しく生きていけると思います。自分の性格や体調をしっかり知って、大事にしてあげることができれば、それだけでも十分あなたは美しいから。
私がいつまでも美しいと感じる人は、モデルのカルメン・デロリフィチェさん。彼女は60歳を超えてからトップモデルになったんですが、とてもチャーミングで、カッコよくて、その人の人生が内側からにじみ出ているように輝いているんですよ。同じ笑顔でも、慈しみ深さをわかってくれるような笑顔は本当に美しいですし、これこそが本当の心地いい美人だなと思っています」
アン ミカ
PROFILE:1972 年生まれ、韓国出身大阪育ち。1993 年にパリコレ初参加後、モデルやタレントとして幅広く活躍。現在はジュエリーデザインやコスメなどのプロデュースのほか、エッセイ執筆、講演会の講師など多岐にわたり活動している。著書に『アン ミカ流 ポジティブ脳の作り方 365日毎日幸せに過ごすために』、『アン ミカのポジティブ美容事典』など。
衣装協力/saaageboutique、ottodame、abiste
『ポジティブ日めくりカレンダー 毎日 アン ミカ』
アン ミカ初の日めくりカレンダー。「HLLSPD」、「和顔愛語」、「人生はお天気」、「自分の機嫌は自分でとる」、「遠回りだからこそ見える景色がある」など、自身がこれまでの人生において大切にしてきた言葉たちを厳選して紹介している。
撮影/大坪尚人 ヘアメイク/ K.Furumoto(&’s management) スタイリング/加藤万紀子 取材・文/高橋夏実
Edited by VOCE編集部
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