Q:白髪が生える原因は遺伝? それとも生活習慣?
一般的に白髪が生えはじめる平均年齢は、男性で34歳、女性で35歳。ちょうどその前後は髪のハリ、ツヤやボリュームなどの悩みを持つ方も増え始め、髪質に変化が現れる「髪の曲がり角」にあたる年齢です。
ちなみに、最初に白髪になるのは髪の毛ではなく鼻毛で、鼻毛の次に髪の毛、ひげ、体毛、最後に眉毛の順番で白髪になることがわかっているそうですよ。髪の毛そのものを作る工場(毛母細胞)と、その髪の毛に色を付ける工場(色素細胞)は別物です。このうち色素細胞だけが弱り、色素を作れなくなると白髪となって生えてくるわけです。
そもそも、どうして年を取ると白髪が増えるのでしょうか?髪の毛は、はじめから黒い色で作られているわけではありません。髪の毛は毛母細胞で作られているのですが、この段階ではまだ髪の毛は無色透明です。そこに、メラノサイトからメラニン色素が送られます。このメラニン色素によって、髪の毛の色が決定されます。白髪というと『白い色の髪』だと考えがちですが、実は何らかの原因でメラニン色素が作られず、無色透明のまま生えてきてしまった髪の毛なのです。
白髪の原因は、以下の6つに大別することができます。
1:遺伝・年齢
白髪は遺伝性が高いと言われています。医学的には完全には証明されていないものの、海外の統計情報では白髪と遺伝の因果関係の高さがいくつか示されており、白髪の原因のひとつに数えられています。この遺伝によって起こる白髪は、メラニン色素が髪に送り込まれにくいという体質に原因があるようです。特に若白髪や子どもの白髪は遺伝性の場合があります。
人間の全ての細胞は老化により活動が低下します。白髪の原因となるメラニン色素を作り出すメラノサイトも同様です。個人差が大きいものの、白髪発生の平均年令は30代中頃。40歳で80%、50歳で90%以上の人が少なくとも1本以上白髪が生えています。しかし、高齢であっても美肌、黒髪をキープしている人も多くいらっしゃいます。加齢による白髪は、加齢によって失われるホルモンや酵素を、食事やサプリメントで補いながら、若年時と同じように分泌することで、改善したり、発生を遅らせたり、予防することができます。
2:ストレス
ストレスは白髪だけでなく様々な病気を引き起こします。白髪の場合、ストレスによる活性酸素がメラノサイトの活動不全を引き起こした状態。仕事のストレスにより、白髪が少しずつ増え、気づけば白髪だらけになった例など、ストレスと白髪の関係をあげれば、きりがないほどです。
3:妊娠、出産
妊娠や出産(授乳)は胎児に栄養が必要なことから、必要な栄養素が不足しがちです。特に白髪の原因・防止に効果のある栄養素の多くは、妊娠時にはたくさん必要になります。また、妊娠による環境の変化や出産後の育児もなれない経験から、精神的ストレスを増加させ、これらが白髪の原因となることがあります。
続いて4つめは・・・意外な食べ物が原因に!
4:栄養不足
黒い色素メラニンはチロシンという栄養素から作られます。言い換えるとチロシンがないと黒髪となるメラニン色素は生成されません。チロシンはアミノ酸の一種で、チーズや大豆に多く含まれる栄養素です。さらにメラニンの元になるチロシンを合成して白髪を防ぐ、フェニルアラニンも必須。これは体内で作ることができない必須アミノ酸の一種なので、肉、牛乳、チーズなどの食べ物から積極的にとりましょう。その他、ビタミンB群や銅などのミネラルを含んだ食品をバランスよく摂ることも大事です。
5:ヘアケア製品選びの間違い
ブリーチをすると白髪がどっと増えた、という人がいます。ブリーチはもともと髪の毛の色を抜くことを目的とした製品のため、白髪の原因となる過酸化水素が多く含まれているので避けたほうが無難です。ヘアケア製品も過酸化水素が含まれていないものを選ぶように、よく表示を確認しましょう。
ヘアケア剤ではありませんが、歯のホワイトニング剤には歯を白くするため、強力な過酸化水素が含まれています。イギリスで行われたある実験では、歯のホワイトニング剤を使用した結果、30歳未満の女性の白髪率が200%増加しました。ホワイトニング剤(過酸化水素など)が経口摂取により髪に何らかの影響を与えたと考えられ、白髪の原因である可能性が推測されています。
6:生活習慣
喫煙が白髪の原因になることがあります。喫煙はメラノサイトを活性化するビタミンB12を壊し、また、白髪の原因となる過酸化水素を分解してくれるビタミンCも破壊します。アメリカサイエンス誌によると、喫煙者は非喫煙者と比較して、4倍以上白髪の発生率が高いと発表しています。
また、紫外線は色素幹細胞DNAを損傷する原因のひとつです。頭皮を紫外線から守ることにより白髪の原因を減らすことができます。髪は夜(22:00~翌2:00)が最も成長する時間です。睡眠不足や夜更かしなどで睡眠が不足すると、白髪はもとより必要な髪の毛の成長を阻害します。
【著者プロフィール】
医療法人社団東洋会 銀座肌クリニック 院長、理事長・百枝加奈子
東京女子医科大学医学部卒業後、都内複数の美容外科にて17年間に渡りコムロ美容外科を含め、美容外科医、美容皮膚科医としての経験を積み、植毛指導医の資格も持つ。2014年しわ、しみ、たるみ、にきび、脱毛まで、肌の悩みに総合的に対応した「銀座肌クリニック」の院長となる。「美容医療を通して人生を豊かに」をモットーに、どんな小さな悩みにも真摯に向き合い、ひとりひとりに合わせた解決法の提案と心の通ったカウンセリングが評判。
銀座肌クリニック
http://www.hada-clinic.jp/
Edited by 百枝 加奈子
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