お話を伺ったのは…
ハーバード大学・ソルボンヌ大学客員教授
根来秀行(ねごろひでゆき)先生
医師・医学博士。最先端の臨床、研究、医学教育の分野で国際的に活躍し、現在は新型コロナウィルスワクチンの開発にも力を注いでいる。『ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法』(KADOKAWA)など著書多数。
心と体のトラブルは呼吸次第!!
正しい腹式呼吸で疲れない体に!
スマホやPCの見すぎで、胸だけで浅い呼吸をする「IT猫背」が急増中。こんな人こそ深〜い腹式呼吸を身につけて、不調やストレスと無縁の生活を!
深い腹式呼吸で自律神経を整える
交感神経と副交感神経のバランスをとりながら呼吸、体温、脈拍など生命に不可欠な活動を時間管理しているのが自律神経。このバランスが崩れると不調が起こりやすくなるそう。そんな不調対策法として根来先生が推すのは呼吸法。その理由は?
「なぜなら自律神経を意識的にコントロールできる唯一の方法が呼吸法だからです」
特に横隔膜を動かす深い腹式呼吸が、自律神経を調整するのにピッタリ!
「横隔膜周辺は自律神経が集まる場所。横隔膜を上下に動かす腹式呼吸を行うと自律神経が刺激されます。特にゆっくり息を吐くとリラックス時に働く副交感神経が優位に。腹式呼吸を取り入れて自律神経のバランスを整えましょう」
腹式呼吸をすると
横隔膜と腹筋群が使われる
Let’s Try 腹式呼吸のやり方のポイント
【POINT 1】最初に息を吐く
特に腹式呼吸では息を「吸う」より「吐く」ことに意識を向けることが大事。そこでまず息を吐いて、肺の中の空気を出し切ることからスタートしよう。
【POINT 2】吐く息は、吸う息よりもゆっくり長く
吸う息も吐く息も「鼻から」行い、吐く息を「できるだけ長くする」ことを忘れずに! おなかがゆっくりとへこんでいくのを感じながら鼻から細く長く吐く。
【POINT 3】息を吐くときは肛門からチャックを閉めるように
息を吐くときは、肛門→恥骨→へそ→横隔膜へと、ゆっくりチャックを引き上げるように細く長く同じペースで行うように心がけよう。
【POINT 4】腹式呼吸で鼻から吸って吐く
息を吐くときに口から吐く人も多いが、自律神経を整えるために腹式呼吸を行うときは鼻呼吸がベース。鼻呼吸を行うことが普段の口呼吸の予防にも。
【POINT 5】肩の力を抜き、がんばって息を吸わない
一気にたくさん息を吸い込もうとすると、肩に力が入って横隔膜をスムーズに動かせなくなってしまう。息を吸うことをがんばらずに自然に鼻から息を吸い込もう。
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肩に力が入る人は……
呼吸前に肩ほぐしを!
腹式呼吸をすると肩に力が入ってしまう人は呼吸前に肩ほぐしを行って。横隔膜や肋骨まわりの筋肉をほぐして、深い呼吸に!
左右の肩甲骨を離す
イスに座って胸の前で手を組む。ゆっくりと息を吐き、手を前に伸ばして左右の肩甲骨を離し、気持ちよくなるまで背中を伸ばす。
肩をギュッと上げてストンと落とす
思いきり両肩に力を入れて耳に近づけたら、ストンと力を抜いて両肩を下に落とす。肩の力が抜けるまで、数回くり返す。
撮影/恩田亮一 イラスト/Ayumi Nishimura 取材・文・構成/山本美和
Edited by 岡部 奈央子
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