「ミステリアスな部分は、自分にもあるかもしれない」
―百田さんが初ヒロイン・生駒吉乃役を務めることでも注目を浴びている映画『すくってごらん』ですが、最初に出演が決まったときのお気持ちを教えてください。
「お話をいただいたときは、“私で大丈夫かな。なんで私なんだろう”、という複雑な気持ちがありました。ヒロイン役というものが初めてですし、歌うシーンも結構多かったので。今までミュージカルにも携わらせていただいたことはあるんですが、歌って、やればやるほど難しいなぁと感じていたものでもあったんです。でも、作品の中で、自分ではない吉乃が、お芝居の中で歌っている世界ってどんな感覚なんだろうなというのがとてもワクワクしたので、挑戦させていただきました。違う世界に飛び込むというのはすごく勇気が必要だったし、レコーディングも難しかったけど、この作品に関わらせていただいて本当に良かったなと思っています」
―ヒロインを演じるために工夫をしたことはありますか?
「私が演じさせていただいた吉乃は、すごくミステリアスで女性らしい、魅力的な雰囲気を持つ女の子なんです。のほほんとしていて、何を考えているのかよくわからないけどそこに惹かれる、みたいな。なので、そういう女の子になれるように仕草を特に気をつけていましたね。油断すると私は、すぐ雑な感じになってしまうので(笑)。奈良出身の役でもあるので、奈良の方言を教えていただきながら、吉乃だったらどんな風に喋るのかなぁと想像してちょっとゆっくり喋ってみる、みたいなことを意識していました」
―吉乃と百田さんで、似ている部分や共通する点はありますか?
「どうだろう。すごくわかりやすいって言われるときもあるし、何を考えているのかわからないって言われるときもあるから、もしかしたらそういうミステリアスな部分がちょっと似ているのかもしれないですね。私も吉乃のように、自分の心の中にある気持ちというのを外に出すことがあまり得意ではないので、そういうところはわかるなぁと思いながら演じていた気がします」
―尾上松也さん演じる主人公の香芝誠が、吉乃に一目惚れをするという恋愛模様も見どころの一つ。香芝が吉乃に惹かれた理由ってどんな部分だと思いますか?
「男性がイメージする“女性らしい女性”というのが、吉乃にあったんじゃないかな。優しくて、おしとやかで、穏やかで、ホワッとしてて。何を考えているかわからないから興味がそそられるみたいな感じ。香芝さんも、最初から恋心があったというよりは、“この人、なんなんだ?”みたいな興味本位で金魚すくいのお店に連れていかれるというところからストーリーが始まるので、そういうミステリアスな部分もかなり魅力的な要素になっているのかなとも思います」
―逆に百田さんご自身が、魅力的だなと感じる男性の要素はありますか?
「素直な男性は、すごく素敵だなぁと思いますね。この作品の中だと柿澤さん演じる王寺昇がそうなんですが、男性ってちょっとカッコつけてしまう部分があるイメージなんです。吉乃はそういう王寺に惹かれていますが、個人的には香芝さんの方が好き(笑)。笑っちゃうくらい真面目で不器用なんですけど、だからこそ一途な気持ちを隠しきれない感じが可愛らしく見えるなぁと感じるんですよね」
「肌乾燥&体の冷え対策は、1年中怠りません」
―作品の中では、金魚すくいをきっかけに成長していく香芝の姿が描かれていますが、百田さんが今まで生きてきた中で、成長するきっかけとなったものを教えてください。
「歌ですね。ももクロを結成し始めた頃の私は音楽とは無縁で、本当に苦手だったんです。スポーツばかりやってきていたのに、ひょんなことから歌うことになっちゃったから、大嫌いだった時期もありました。でも、逃げずに向き合っていく中で少しずつ音楽が好きになったり、歌うことの楽しさというのを知ることができたのは結構収穫でしたね! 自分の人生に歌が楽しいと思うなんてこと、あると思っていなかったから。今回の作品でもそうですし、以前、土屋太鳳さんと共演させていただいたドラマの中でも歌うシーンが多かったりもして、そういう場所に呼んでいただけるのはすごく嬉しいし、逃げずにやってきてよかったなぁと思っています」
―これから先どんな女性になっていきたいか、理想像はありますか?
「ポケットから、さっとハンカチが出てくる女性(笑)! なかなか入れ忘れちゃうので。ポケットティッシュや絆創膏もそうですけど、小さいバッグの中からきちんと出てくる気配り、みたいなことを自然にできるような女性になっていきたいです」
―(笑)。それでは最後に、美容面についてお話を聞かせてください。百田さんが美しくいるために心がけていることは?
「乾燥と冷え対策。めちゃくちゃ乾燥肌で、油断すると本当にすぐ乾燥するし、肌のトーンが暗くなってしまうんですよ。それで写真の写り方も変わってくるので、肌を常にうるおわせるというのはすごく気を遣っています。基礎化粧品での保湿は、サボらず毎日が基本。目元や乾燥しやすい部分は、日中もメイクの上から常に水分を与えてあげるように心がけています。あとは冷え性なので、常に温かいドリンクを飲んだり、腹巻きやレッグウォーマーで内からも外からも体を冷やさないようにしています。ちなみに今気になっているのは、酵素風呂。体の芯から温まるというのを聞いたので、試してみたいなと思っています」
百田夏菜子(ももた・かなこ)
PROFILE:1994年7月12日生まれ、静岡県出身。週末ヒロイン「ももいろクローバーZ」のリーダーで、担当カラーは赤。2016年、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のメインキャストに抜擢され注目を浴びると、アニメ映画『かいけつゾロリ ZZのひみつ』(’17)、『ブラックパンサー』日本語吹き替え版(’18)で声優、同年ドラマ『プラスティック・スマイル』ではドラマ初主演を務めるなど、幅広く活躍する。
映画『すくってごらん』
©︎2020映画『すくってごらん』製作委員会 ©大谷紀子/講談社
些細な出来事がきっかけで、東京本店から田舎町へ左遷されたエリート銀行マン・香芝誠(尾上松也)。持ち前のネガティブな性格と左遷のショックから仕事だけを生きがいにしようと心に決めるが、偶然かつ運命的に出会った美女・吉乃(百田夏菜子)のことが頭から離れない。金魚すくいの店を営む彼女に一目惚れしたのだった。なんとかお近づきになろうとするが、秘密を抱える吉乃の心もまた閉ざされたまま。香芝は金魚すくいのように、彼女の心も救う(すくう)ことは出来るのかー?
全国公開中
出演/尾上松也 百田夏菜子 柿澤勇人 石田ニコル ほか
ドレス ¥45000、イヤリング ¥6500/共にミントデザインズ ブーツ/スタイリスト私物
撮影/tAiki ヘアメイク/チエ(KIND) スタイリスト/関志保美 取材・文/高橋夏実
Edited by VOCE編集部
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