最近、コスメキッチンや伊勢丹新宿店のビューティアポセカリーなどでも目にするようになったCBDアイテム。インフルエンサーや美容のプロなどで愛用している人も多いが、“麻”由来ときくと、大麻との関係性など、少々不安になるのも事実。そこで、VOCE本誌でもおなじみの皮膚科医、髙瀬聡子先生と、CBDブランド『H THINK』代表の瀧井真一郎さんに根掘り葉掘り聞いてきました。
教えてくれたのは……
『ウォブクリニック中目黒』総院長
髙瀬聡子先生
皮膚科医/美容皮膚科医/キレーション療法認定医。VOCEスキンケア企画のご意見番的ドクター。2018年にイギリスに渡り、デトックス治療や栄養療法について学び、インナーケアにも精通。医師、歯科医師による『臨床CBDオイル研究会』のボードメンバーでもある。
教えてくれたのは……
『H THINK』代表
瀧井真一郎さん
Made In JapanにこだわったCBD製品を展開する『H THINK』を2020年4月にローンチ。ファウンダーであり、アスリートのトレーニング・食事指導や、メディアでも有名なクリニックで乳がん患者の術後のストレッチ指導も行う、健康のスペシャリスト。『H THINK』ディレクターの畑中清志さんとともにCBDに関する正しい情報を提供する。
そもそもCBD(カンナビジオール)って何?
「麻(別名:ヘンプ、大麻草)には、カンナビノイドと呼ばれる、生理活性物質が100種類以上含まれていて、CBD(カンナビジオール)もその中のひとつ。たとえばトマトにもたくさんの成分が含まれていますが、その中のひとつ、リコピンが注目されるのと同じです」(畑中さん)
麻そのものではなく、麻に含まれる成分のひとつということ。とはいえ、大麻との違いがどうしても気になるところだけど……。
「マリファナなどいわゆる大麻に多く含まれているのは、同じカンナビノイドの中でも、“ハイ”になる成分THC(テトラヒドロカンナビノール)。CBDとはそもそも違う成分で、まったくの別物。麻を原料にしているため、CBDを原料として日本に輸入する際も、THCが含まれていないことが法律によって決められています」(瀧井さん)
さらに、『H THINK』では、THCがほとんど含まれていない産業用ヘンプを用い、茎から抽出。輸入元のアメリカの工場でも専用の製造ラインをつくってもらうなど、原料から品質にこだわっているのだそう。
ちなみに、アメリカでは、THCの含有量が0.3%以下ならOKとなっているため、個人輸入したものは、正直グレーなケースも。製品を選ぶときに、注意しておきたいポイントです!
私たちのカラダにどう作用する?
「私たち人間も含め、脊柱動物は体内に、もともと内因性カンナビノイドというのをもっていて、これが全身にあるとされる受容体(レセプター)とくっつくことで、細胞同士の連携やバランスを調整。食欲や睡眠、疼痛、免疫などのコントロールをすることがわかっており、エンド・カンナビノイド・システムと呼ばれています。この内因性カンナビノイドは強いストレスや栄養障害、女性ホルモンの影響などによって欠乏することがあり、それを補ってくれるのが植物性のカンナビノイドであるCBD。全身にある受容体とくっついて、さまざまなバランスを最適化してくれるのです」(髙瀬先生)
つまり私たちのカラダの中には、CBDの仲間がいて、心身ともに健やかでいるためにめちゃくちゃ働いているのです。
CBDに期待できる具体的な効果は?
「基本的には、私たちのカラダ&精神を本来あるべきフラットな状態にしてくれるもの。また、抗炎症作用が強く、腸炎など“炎”という字がつく疾患には効果を発揮するといわれています。自己免疫疾患や神経系の疾患にも効果があるとされ、アメリカでは小児てんかん用の薬としてエピディオレックスという薬もあります」(瀧井さん)
「人の攻撃性を低下させるという作用がまずひとつ。不眠症やアレルギー、更年期障害など、さまざまな疾患に対しても効果があるとされ、ステロイドを含めいろいろ試してみたけど、どれも効かない人には最終的にCBDを、という流れができつつありますが、日本ではまだ臨床研究が始まったばかり。エビデンスをとっている状態です。しかも、これらの疾患に対する臨床研究は、あくまでも医師の処方のもとに扱う、高濃度の医療用CBDの場合。一般的に市販されているもので期待できる効果としては、緊張して眠れないときなどのリラックス作用や、肩こりや筋肉痛などの緩和です」(髙瀬先生)
アメリカでは、スポーツ界でCBDが盛んに取り入れられており、運動後の筋肉の疲労や炎症をおさえるためにCBD配合のクリームなどが使われたり、冷静にプレーをするためにCBDグミなどを摂取することもあるのだとか。それに倣い、日本のスポーツ界でも用いられることもあるそう。
「興奮している場合は心を静め、気持ちが落ち込みすぎていたらニュートラルな状態にまで戻してくれる作用があります」(瀧井さん)
CBDのデメリット、副作用、依存性は?
“万能”な存在にも思えるが、誰もが効果を実感できるかというと、そうも言い切れないとも。
「自律神経に似ていて、数値で表すことはできないのですが、きちんと内因性カンナビノイドが足りている、もしくはエンド・カンナビノイド・システムが正常に機能している人は、あまり効果を実感できないかもしれません」(髙瀬先生)
逆にいうと、何かしら不調を感じていて、ストレスも抱えているなら、効果を感じる可能性は十分あり、やっぱりマルチな存在。でも、そんなおいしい話ってあるの?というところで、依存性などのデメリットについてもチェック。実際、アメリカのニューヨーク州では、CBDの食品への添加が禁止されていた、とも聞くが……。
「医療用で使うCBDにおいては、量依存や濃度依存は可能性としてはありえますが、一般に市販されているオイルやクリームなどは、濃度が調整されており、そのような心配はないとされていて、もちろん致死量もなし。また、アメリカで使用を禁止されているのは、品質などに対する規制が整っていないため。現時点では、副作用など安全性の問題で禁止されたわけではありません」(髙瀬先生)
※現在は、「食品や飲料へのCBD添加や販売は問題ないとするが、アルコールやタバコ製品にはこれを認めない」と規制方針が変更されています。
「コーヒーや紅茶に含まれるカフェインのような依存性はなく、一定量以上をとっても、効果を感じないだけといわれています。問題があるとすれば、やはりきちんと日本の基準をクリアしているかどうか。今は輸入される段階でTHCの含有の有無までチェックされているので、正式なルートで輸入されているものについては心配ありません。信頼できるところからの購入をオススメします」(瀧井さん)
以上、気になるCBDの基礎知識。眠れない、疲れがひどい、ソワソワする、肩コリがひどいなどの症状がある人は試してみる価値十分。ただし、信頼できるブランドのアイテムを買うことが鉄則です!
オススメのとりかた&アイテムは次回の記事でご紹介します!
構成・文/楢﨑 裕美
Edited by VOCE編集部
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