教えてくれたのは……
ウォブクリニック中目黒 総院長
髙瀬聡子先生
皮膚科医。ウォブクリニック中目黒総院長。専門は皮膚科と美容皮膚科。丁寧でわかりやすいカウンセリングによる美容医療は人気が高く、本誌を始め雑誌やテレビなどでも活躍中。
トータルビューティアドバイザー
水井真理子さん
トータルビューティアドバイザー。エステ、アロマ、東洋医学を学んだ経験から、肌だけではなく心や体にもアプローチするお手入れを重視。パーソナルな診断を得意とし、ひとりひとりの肌の状態を正確に読み取る。
話題の“薄肌”ってどんな肌?
髙瀬聡子先生
表皮から真皮までの厚みの差のことを言っているのだと思いますが、そもそも医学的には“薄肌”や“厚肌”という言葉はありません。一般的に皮膚組織の厚みは角質層が0.01~0.03mm、表皮が0.1~0.3mm、真皮が1~3mmと確かに個人差はあります。でも薄いからスキンケアアイテムがしみやすいということはないんですね。もちろん、生まれつき皮膚がとても薄い人はいます。でもそれは皮膚疾患なので、子供時代から治療をしているはず。
“薄肌”の特徴は?
水井真理子さん
SNSで見る限り、薄肌は角質層が薄い肌のことでしょう。さまざまな原因によってターンオーバーが早くなり、健康な角質細胞が育っていない肌だと思います。だからちょっとした刺激で赤みが出やすく、乾燥もしやすいんでしょう。それに対して厚肌は、不要な角質が溜まっているゴワついた肌のことを言う場合もあれば、角質層がきちんと育っている健康肌を示す場合もあるようです。
“薄肌”になる原因は?
髙瀬聡子先生
原因としてもっとも考えられるのは、ピーリングやレーザーなどの美容医療を受けすぎていること。そういう人はつねに顔に赤みがあるんですよ。“透明感”や“つるっとなめらかな肌”が美容のトレンドに上がるようになったここ数年、こういう赤み肌の人は増えています。あと、角質ケアコスメの使いすぎも“薄肌”になる危険性大。表面はツルッツルなんだけど常にうっすら赤みがある肌は、スキンケアの見直しが必要です。
水井真理子さん
クレンジングや洗顔で摩擦を起こしていたり、美顔器を強く肌に押し当てていたり。物理的な刺激を日々与えていることも、“薄肌”の原因になります。
“薄肌”だけど健康な肌状態ってありえますか?
髙瀬聡子先生
皮膚が薄くても、赤みやヒリつきがなく乾燥などの悩みがなければ、健康な状態だといえます。
“薄肌”と“ビニール肌”はどう違う?
髙瀬聡子先生
皮膚の表面には皮溝という細かい溝と、それに区切られ隆起している皮丘があります。これがキレイに整っていると“キメが整った美しい肌”になるのですが、ビニール肌というのはこの皮溝も皮丘もなくなっている状態です。角質ケアやピーリングのやりすぎで角質が必要以上に削られたり、ターンオーバーが早すぎて未熟な角質細胞が増えたりすることで、キメがなくなりツルツルになってしまっているんです。“薄肌”は、キメはあるけど薄くて刺激に弱い肌なので、見た目も肌状態も少し違います。とは言えどちらも健康な角質層が育っていない状態に変わりはないので、過剰なケアを見直す必要があります。
“菲薄化”(ひはくか)と“薄肌”は別物?
髙瀬聡子先生
菲薄化というのは、肌の厚みが加齢とともに薄くなっていくこと。表皮や真皮が菲薄化すると、乾燥したりバリア機能が低下したりしてゆらぎやすくなりますし、シミや肝斑、シワなどのエイジングサインが深刻化することもあります。年齢を重ねるにつれて“薄肌”になってきたのであれば、それは菲薄化が原因かもしれません。
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薄肌におすすめのスキンケアは?
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