ここまでこられた巡り合わせに心から感謝しています。
美夢
退団はれいこさん(※編集部注:元宝塚歌劇団・月組トップスターの月城かなとさん)と一緒に、と決めていらっしゃったんですか?
海乃さん
そうですね、退団についてはこれまで何度も考えてきました。いろいろなことの“巡り合わせ”が重なりましたね。
美夢
私はれいこさんと海ちゃんのコンビがすごく好きだったので最後までお二人のコンビを観られて幸せでした。
海乃さん
そんなふうに言ってくださり、ありがとうございます。
美夢
私は海ちゃんが研1の頃から知っていますが、本当にどんどんきれいになって! その秘訣は何でしょう?
海乃さん
うれしいです……。私は下級生の頃から自分に自信が全然なくて、いつも「これで良いのかな?」って思っていました。経験と共に少しずつできることが増えてきて、観てくださっている方が「あの場面、とても良かったよ」などと言ってくださると、これで良いんだ、という確信が生まれて。
美夢
うんうん。
海乃さん
自分のやることに自信を持って、堂々とする。これができたときに人は輝くし、エネルギーを発することができるのだと……宝塚に10年以上いて学びました。もちろんそうなれない瞬間もたくさんあったのですが、やっぱり大切なのは心が元気でいることと、自信を持つことですね。
美夢
自分が変わったなと感じられたのはどのくらいの時期なのでしょうか?
海乃さん
新人公演を卒業して、『出島小宇宙戦争』という作品に出演させていただいたとき、自分の持っているものに自信を持ってお客様に提供しようという気持ちが芽生えたんです。それまでは、言われたことをきちんとやろうというタイプで、それができていることが良いことだと思っていました。自分のオリジナリティみたいなものはあまりなかったんですね。
美夢
真面目さゆえに……という感じですね。
海乃さん
『出島小宇宙戦争』では、自分が良いと思ったことを自信を持って届けるということの大切さを学びましたし、自分自身がすごく楽しかったんです。お客様からも良かった、楽しかったというお声をたくさんいただき、ここまでこられたならもう満足だなと感じて、一度卒業を考えました。
美夢
そうなんですか。
海乃さん
でもコロナ禍になってしまって、いろいろなことがストップしてしまったんですね。公演が再開して少し落ち着いてきたタイミングで、トップ娘役就任のお話をいただき……あの時期がなかったら、就任前に卒業していたと思いますし、『出島小宇宙戦争』で感じたことをもっと早くに感じていたら、下級生時代に辞めていたかもしれません。
美夢
なるほど、それが“巡り合わせ”ということなんですね。
海乃さん
そうなんです。でも今はここまで来られた“巡り合わせ”に心から感謝しています。
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海乃美月のこれからは?