教えてくれたのは……
内科・皮膚科医
友利新先生
都内のクリニックに勤務しながら、医師という立場から美容と健康を追求し、美しく生きるための啓蒙活動を展開中。2004年第36回準ミス日本という経歴をもつ、美貌の医師。
Instagram:@aratatomori
YouTube:友利新公式チャンネル(内科・皮膚科医)
化粧品処方開発者
ぽんかんさん
化粧品メーカーにてスキンケア製品の処方開発を手掛ける、現役の化粧品開発者。客観的で冷静なコメントが信頼できるとXで大人気!
X:@cosmeresearch
ズバリ、毎日のシートマスクでバリア機能が低下することはある?
ぽんかんさん
シートマスクの使い方を間違えれば、バリア機能が低下することはあると思います。たとえば、推奨時間が10分と説明書にあるのに30分、1時間と長く肌に置いてしまうとか、スペシャルケアとしてつくられ、高濃度の成分が含浸しているものを毎日使うとか。メーカーが想定していない使い方を続けてしまうと、肌荒れの原因になることもあるでしょう。
シートマスクはバリア機能を一時的に壊して、美容成分を浸透させているってホント?
ぽんかんさん
バリア機能を担っている角層は、角層細胞がレンガのように重なっています。その隙間を細胞間脂質が埋めることで外的刺激から守っているのですが、シートマスクの液で浸されることで、(ふやけるように)レンガの構造が揺らいで、成分が浸透しやすくなります。この状態をバリア機能を壊していると言えなくもないけれど、あくまでも一時的なもの。推奨時間を守っての使用であれば浸透させたあとは元に戻るように設計されています。
シートマスクを使う上での注意点は?
友利新先生
毎日使うのであれば、気を付けるべきはシートマスクの種類。高濃度に美容成分が入っている“美容液代わり”のものではなく、水溶性の成分主体の“化粧水代わり”にできるシートマスクを選ばないと、毎日使いが刺激になることもあります。一般的には、洗顔後すぐに使うマスクなら化粧水代わりにしてもいいと思います。取り入れることで肌状態がよくなることが大前提。乾燥する、赤みが出るなどのトラブルが発生するようであれば、すぐに中止すべきです。
結論! シートマスクは毎日使ってもいいの?
友利新先生
メーカー推奨時間以上に肌に置いたり、高濃度に美容液成分が入っている“美容液”タイプのものを毎日使ったりと間違った使い方をするとバリア機能が乱れて肌トラブルに繋がることもあると思います。水溶性の成分主体の“化粧水タイプ”のシートマスクを規定時間使う分には毎日使いも問題ないのでは。もちろん、肌の調子と相談しながら使ってみてください。
大容量のマスクには防腐剤が多いってホント?
ぽんかんさん
個包装のものと比べると、その傾向はあると思います。でも大容量の方が防腐剤が多くなるとされる理由として、「何度も手を入れるから」「空気に触れることが多いから」などがありますが、これは使うたびに指を突っ込むジャ-タイプのクリームも同じですよね。大容量のシートマスクが化粧品の中でもとりわけ防腐剤が多いということではないです。そこまで気にする必要はないのでは。
友利新先生
10分ぐらいでは防腐剤が肌に浸透することはありません。また、防腐剤に殺菌作用があるわけじゃないので、皮膚常在菌がそれで変化することもないですよ。
大容量パックより個包装タイプのほうが衛生的?
ぽんかんさん
手や空気に触れる機会が少ないということでいえば、個包装のほうが衛生的と言えるかもしれません。菌汚染のリスクが少ないため、防腐剤の量も少なくできる場合があります。
また、大容量のように何度も開け閉めしたりしないため、成分の揮発がなく(成分濃度の変化がなく)、品質(効果、使用感、含浸している液の量)が安定しているというのもメリットの一つです。
シートが乾かなければ長時間つけていてもいい?
ぽんかんさん
乾いていないように思えても推奨時間を過ぎれば乾燥してくるし、そうなるとせっかく肌に浸透した潤いがシートに逆戻りしてしまうこともあります。シートマスクは時間をしっかり守ることが、効果実感を高めるポイントに。
友利新先生
角層に入る水分量は決まっています。それを超えてマスクを肌にのせておくと、ふやけて乾燥してしまうことも。決められた時間以上のマスクは逆効果ですよ。
シートマスクを避けるべき肌状態は?
友利新先生
肌がゆらいでいるときは厳禁です。肌がゆらいでいるときはバリア機能が低下しているため、過剰な水分補給で角層がさらにダメージを受けることがあるんです。敏感肌用と書かれていても、それはほとんどの場合、肌荒れ防止成分が配合されているだけ。バリア機能を育む基本のお手入れで、肌の立て直しを!
改めておさらいしたい美肌の基本、そもそもバリア機能って?
シートマスクの毎日使いと切っても切れない関係にあるバリア機能。美肌の基本ともいえるバリア機能について改めておさらいしよう。
友利新先生
バリア機能とは乾燥や紫外線、雑菌などの外的刺激から肌を守りつつ、内部からの水分蒸散を防ぐ機能のことです。表皮の一番外側にある、ラップ1枚ぐらいの厚さしかない角質層が、このバリア機能の働きを担っています。
バリア機能が乱れると肌はどうなりますか?
友利新先生
肌を守っている機能が低下するため、外的刺激を受けて肌トラブルを起こしやすくなってしまいます。潤いが保てなくなって乾燥しますし、毛穴が目立ち、ニキビや吹き出物、赤み、ひりつきなどのトラブルが出てくることもあるでしょう。
バリア機能が低下するNG行動は?
友利新先生
摩擦、間違ったスキンケア、そして紫外線。これがバリア機能を低下させる三大要因です。老化を促進させる三大要因でもあるんですけどね。
バリア機能を育む正しいスキンケアとは?
友利新先生
基本的に、シートマスクやコットンパックは水分を与えるもの。このあとに油分を与えないと保湿していることにはなりません。適切に水分を与えてから油分で保湿をすること、こすらないこと、しっかり紫外線対策をすること。これがバリア機能を育む基本ケア。
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イラスト/もちづきいずみ 取材・文/穴沢玲子 構成/剱持百香
Edited by 剱持 百香
公開日:
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