目次
教えてくれたのは…
桐村里紗先生
内科医、認定産業医。予防医学に力を注ぎ、執筆、講演活動、Webメディアで最新情報を発信する。におい評論家としてテレビにもたびたび出演。著書に『日本人はなぜ臭いといわれるのか~体臭と口臭の科学~』(光文社新書)ほか。
夏の電車の中のニオイ。なぜこんなに気になるの?
桐村先生
夏は高温多湿で細菌やカビが発生しやすい時期ですから、冷房が効いているとはいえ、電車の中も湿度は高めです。そのうえ、駅までの道のりでたくさんかいた汗は乾きにくく、人の体から汗と皮脂の混合臭が皮膚ガスとなって、湿度が高くてニオイがこもりやすい車内に蔓延します。中には前日のお酒やたばこのニオイまで混ざっている場合も。
車内の環境のニオイと人間から発するさまざまなニオイが混ざった複合臭、空気中に漂っているのが夏の電車の中です。複合臭は汗だけの単体のニオイよりも、よりクサく感じられるので、電車の中のニオイがツラいと感じる人が多いのだと思います。
ニオイの分子が鼻の奥につくことで「クサい!」を感知
桐村先生
人間の鼻の奥には、ニオイを感知する嗅細胞(きゅうさいぼう)とニオイ分子をからめとる嗅毛(きゅうもう)があります。この嗅毛に、空気中に漂ったニオイ分子がくっつくことで、ニオイを感じとっているのです。
特に夏の電車は湿度が高く、換気があまりよくありません。そのような場所では、環境と人から発せられる複合臭の分子が空気中に留まって嗅毛にニオイ分子がつきやすいので、ニオイを感知しやすのです。
男性よりも女性のほうがニオイに敏感!?
桐村先生
概して男性よりも女性のほうがニオイに敏感な人が多いようです。実際に女性のほうが、嗅細胞(嗅覚の細胞)が男性に比べて多いことがわかっています。ですから、女性のほうがニオイを感じやすいのは仕方がありません。さらに、年齢とともに嗅覚は衰えてくるので、若い女性ほどニオイに敏感な人が多いと思います。
次ページ
周りのニオイが気になるときの対策とは
- 1
- 2