教えてくれたのは……
産婦人科医
高橋幸子先生
埼玉医科大学勤務。講演会等で性教育の啓発を積極的に行う。著書は『マンガでわかる! 28歳からのおとめのカラダ大全』(KADOKAWA)。
\その違和感、見逃しNG!/
性感染症から自分の身を守る“超入門”!
腟の違和感→“性感染症”かも!?
マッチングアプリの流行で性感染症が拡大中!
高橋幸子先生
今、マッチングアプリの流行で性感染症が増えています。気軽に知り合える分、相手を深く知る前にセックスをすることで性感染症のリスクが高まっているようです。自分の身を守るためにも、セックスをする前にいっしょにお風呂に入るなどして、相手の体に発疹やかゆみがないかをチェックしましょう。
Q. 性感染症を疑ったことはありますか?
VOCE公式Xにて、読者367人にアンケート調査。30%の人は疑ったことがあるという結果に。
性感染症は恥ずかしいことではないから即病院へ! 放置すると不妊症にも
高橋幸子先生
性感染症はセックスをすれば誰でもかかる可能性があるもので、恥ずかしい病気ではありません。かゆみやおりものの量が増えたなど、いつもと違う症状に気づいたらすぐに病院へ行きましょう。早く対処すれば治る病気も、放置すると症状が長引きます。さらには、クラミジア感染症や梅毒は放置すると、不妊症につながることも。将来の妊娠、出産などに備えて、気になる症状があれば早めの検査がおすすめです。
\check!/
おりものの色を見よ!
性感染症が気になったら、まずチェックすべきはおりものの色。白、透明、黄色ならかゆみの有無を確認。緑はカンジダ、ピンク、赤、茶、黒は出血の疑いがあるので、即、病院へ!
かゆみがあれば病院へ、かゆみがなければ様子見でOK
【白】【透明】【黄】
かゆみの有無にかかわらず、すぐ病院へ!
【ピンク】【赤】【茶】【黒】
不正出血・がんの疑いあり
【緑】
腟カンジダの疑いあり
こんな症状があったら注意! 3大性感染症
今、急増中の性感染症。その正体を知れば、早期検査の重要性を実感できるはず。早く性感染症に気づくために外陰部を手鏡で見る、お風呂で触るなども習慣に。
01. 腟カンジダ症
おりものの異変で気づきやすい
カンジダという真菌(カビ)が腟や外陰部で増殖して感染を起こす病気。一度感染すると、性行為がなくても、疲れたときやストレスなどによって再発することがある。
◆症状・特徴
- 白くモサモサしたおりもの、もしくは緑のおりものが出る
- 強烈なかゆみに襲われる
◆原因
性行為のほか、不潔な環境などがきっかけで感染すると症状が出る。また一度感染すると、再発しやすいので要注意。
◆治療法
分泌液などで細菌培養検査をしたうえで、抗真菌剤が処方される。塗り薬と腟坐薬の2種類がある。重症な場合は飲み薬の処方も。
02. 梅毒
コロナ禍で急拡大!
感染したばかりは自覚症状がなく、発見が遅れがちな病気。約3ヵ月後からは全身に花が咲いたような発疹ができ、数年かけて血管や脳に影響を及ぼし、死に至ることもある。
◆症状・特徴
- 数年〜数十年がかりで症状が進行
・3週〜 性器・肛門・口にしこりができる
・3ヵ月〜 全身に赤い発疹ができる
・3~10年〜 脳や血管に影響が出る
◆原因
性行為のほか、オーラルセックスなどで皮膚や粘膜からも感染。また妊婦が感染すると胎盤を介して胎児にも影響を与える。
◆治療法
血液検査をして早期に梅毒とわかれば、お尻への筋肉注射1回で治療終了。性器まわりのしこりが気になったら、早めに検査を!
03. クラミジア感染症
不妊症になる可能性あり
はじめは自覚症状がないので、気づかずに感染している人が多い。放っておくと卵巣や卵管が癒着して腹痛を起こし、悪化して卵管がつまると、不妊症や異所性妊娠の原因に。
◆症状・特徴
- 自覚症状がないことが多い
- 鼻水のような水っぽいおりものが出る
- 軽い腹痛があることも
◆原因
性行為などで粘膜や分泌物に直接触れることによって感染する。コンドームをしないで性行為をすると、感染のリスクが高まる。
◆治療法
抗生物質を1回服用して治療しても2割の人は完治しないことがある。約3週間後に再検査して完治を確認するまでを治療と考えて。
\他にもある!/
気をつけたい性感染症
性器ヘルペス
性行為などで起こるウイルス性の感染症。再発しやすい感染症で初感染は症状が重く抗ウイルス薬で治療を行う。一年で6回以上再発を繰り返す場合は飲み薬で予防することも。
◆症状・特徴
- 外陰部にブツブツや水ぶくれができる
- 激しい痛みがある
尖圭(せんけい)コンジローマ
性行為による粘膜の接触で、外陰部や腟の中に、鶏のトサカのようなイボができる。イボが小さければ塗り薬で治療。大きくなるとレーザーで焼いたり、切除する処置も。
◆症状・特徴
- 性器周辺に鶏のトサカのようなイボができる
腟トリコモナス症
性行為によって感染する。男性は無症状が多いが、女性がかかっている場合はパートナーもほぼ感染しているので2人で治療することが重要。女性は抗生剤の腟坐薬で治療する。
- 泡状のブクブクしたおりものが出る
- 激しいかゆみがある
淋病
コンドームなしの性行為で感染する可能性が高く、放置すると不妊症や異所性妊娠の原因になることも。クラミジア感染症と症状が似ているが、淋病は点滴・注射で治療する。
- 自覚症状がないことが多い
- 鼻水のような水っぽいおりものが出る
HIV(エイズ)
性行為による粘膜感染が原因。自覚症状はほぼない。気になったら保健所で無料・匿名で検査ができる。一日1回薬を服用する治療などにより平均寿命まで生きることができる。
- 風邪のような症状が出るが、ほぼ気づかない
- 数年〜十数年後、頻繁にカンジダや風邪にかかるように
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性感染症のよくある質問に回答!
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