言葉の響きだけで妙に感動できたりするのが舞台。
──野田秀樹さんの作品を実際にナマの舞台で拝見すると、難解かなと思ったことが、いろんなカタチで響いてくるという体験が何度もあります。
「不思議ですよね。全部が分からなくても、言葉の響きだけで妙に感動できたり、身体表現で何を表しているのかがより具体的に理解できたりとか。戯曲として素晴らしいというのもありますし、人間がそれをしゃべって表現することで完成している部分は大きいような気がしますね」
──野田さんとはもう20年来のお付き合いだと伺いました。野田さんと松本さんとのご関係をご存知のお友達などから、舞台出演について何かコメントはありましたか?
「特にないかな。『久々に舞台やるんだね』みたいなことは言われましたが、僕自身も野田さんとの関係性について声高に言ってきたわけではないので、ご存じない方も多いでしょうし。とはいえ、野田さんの舞台に出るのは本当に初めてだから……。『あゝ、荒野』の前に、劇団 夢の遊眠社時代の戯曲をお借りした、蜷川幸雄さん演出の作品に出たことはありますけれど」
──『白夜の女騎士(ワルキューレ)』という作品ですね。
「そうです。正直、そのときも『これ、どういうことなんだろう』って思いながら喋っている言葉もありました(笑)。でも、頭で理解するスピードよりも言葉が押し寄せてくるスピード感やテンポ感で圧倒されてしまうんですよね。リズムだけでも、ただ気持ちいいという感覚もあったので、すごく不思議だなと思いながら当時は演じていました」
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NODA・MAPのカンパニーの一員として