教えてくれたのは…
東海大学理学部化学科教授
関根嘉香教授
皮膚ガス研究の第一人者として、ニオイについてのわかりやすい解説でメディアに引っ張りだこ。
「なんかクサい」は皮膚から発するガスが原因だった!
いい香りもクサいニオイも。皮膚ガスは個人差がかなり大
関根先生
“皮膚ガス”とは体の表面から発している体臭のもとになるガスのこと。大きく分けて表面反応由来、皮脂腺由来、血液由来の3つに分かれます。夏の汗臭は表面反応由来。皮膚表面の汗や皮脂が常在菌によって分解されクサいニオイを発します。ニンニクを食べたとき体臭を発する場合がありますが、それは血液由来のもの。加齢臭や疲労臭などもすべて皮膚ガスです。その種類はかなり多く、800以上にものぼります。これらが混ざり合い自分だけの独自のニオイが形成されるため、皮膚ガスは個人差がかなりあるんです。ただし、皮膚ガスがすべてクサいわけではありません。中には果実のようないい香りもあります。ただ、汗臭は不快に感じる方が多いですね。これは汗の成分が常在菌に分解されイソ吉草酸(きっそうさん)等が発生するのが原因ですが、汗をかいて1時間ほど放置していると蒸れたような酸っぱいニオイを発します。汗をかいたら放置せずすぐ拭くことでニオイを軽減できるでしょう。
◆「皮膚ガス・ニオイ」豆知識
・汗のクサさに男女差はない!
関根先生
汗クサさに男女差はありません。普段からよく汗をかく男性と、あまり汗をかかない女性を比較すると、女性の汗臭のほうがキツイという研究結果も。汗をかく習慣があるかどうかが大きく影響します。
・汗をかく習慣がない人はクサくなりがち
関根先生
汗がにおう・におわない、の大きな違いは汗の質。普段あまり汗をかかないと、塩分濃度が高く乾きにくいベタベタ汗になりがち。常在菌が活発化しやすい環境になり、クサい皮膚ガスを発生しやすくなります。
・「自分のクサさ」には気づけない!
関根先生
嗅覚は外敵からの危険を察知する重要な器官。新しいニオイに敏感でいるために、毎日接して慣れてしまっている自分のクサさには気づくことができません。
・自分のニオイを知るにはビニール袋!
関根先生
一日着たシャツをビニール袋に入れます。一度外の空気を吸い込んでからビニール袋の中をかいでみましょう。そのとき感じるのがあなたのニオイです。
\夏こそ注意!/
皮膚ガス発生地帯を解説
皮膚ガスは全身から発しているが、特に汗や皮脂と混ざり合ってクサい皮膚ガスが発生しやすい場所はココ! 湿度が高くなる梅雨以降は念入りにケアを。
- 皮脂臭・汗臭・加齢臭にご注意。帽子をかぶるのも有効!
- 汗腺・皮脂腺が多い胸元も汗をかいたら放置は厳禁!
- 汗臭に加え、ワキガが原因の場合も。メンタルストレスの影響も大!
- デリケートゾーンも汗腺(多)! ホルモンバランスの影響もかなり大きい
- 汗臭×蒸れのダブルパンチ! 夏の足元は通気性が大事
◆CHECK!
- 汗をかきっぱなしだと1時間後にはニオイが発生!
- ニオイがキツくなりがちなのは朝より夕方!
- 閉め切った環境では2m離れていてもにおう!
関根先生
汗を放置するとクサい皮膚ガスに。ストレスや疲れは汗臭を強くしたり、疲労臭という皮膚ガスを発するので、疲れがたまる夕方は特に注意。ニオイが気になったら部屋の換気を。
紫外線や光化学スモッグも皮脂の酸化を促してニオイに影響するので日焼け対策もお忘れなく。
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皮膚ガスを止める方法とは?
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