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教えてくれたのは……
ノエル銀座クリニック副院長
藤井香綸先生
形成外科専門医。昔から美容が大好きで形成外科を学び、その技術と知識を活かして美容医療の道へ。美容医療や美肌に関する豊富な知識を持ち、インスタグラムでは、ほっこりイラスト付きで最新情報を紹介する「みるくもち先生」としても活躍。VOCE WEBにもたびたび登場し、わかりやすい解説が大好評!
【Instagram】dr.milkmochi
【顔脂肪と加齢変化】20代から減り始め、10年間でヒアル5本分の脂肪が失われる!?
初期エイジング対策(https://i-voce.jp/feed/2713008/)より
藤井香綸先生
ドクターによって見解が異なるとは思いますが、私としては、顔の脂肪は“大切にしたい派”。というのも、顔の脂肪は加齢とともに減りながら下垂していきます。研究でも10年間で平均5cc減るとされていて、これはヒアルロン酸注射5本分に相当するといわれています。脂肪が減って落ち始めるのは20代後半からで、徐々に進行していき、目に見えて顔に現れてくるのが30代前半。特に日本人は下あごの骨が小さく、落ちてくる脂肪を支えきれない人が多い。頬骨も、横には張っているのですが、年齢とともに前面の頬骨がやせて急勾配になり、どかっと脂肪が垂れてしまうことも。口まわりやフェイスライン、顔の中心などにお肉が“モチャッ”と溜まりやすいブルドッグ顔は、日本人をはじめアジア人に多く見られる傾向です。
あらゆる脂肪がたるんで“顔の下半身”に押し寄せる!
顔の脂肪の中で大きなものは、頬骨周辺にある「メーラーファット」、口角の横から下にかけて存在する「ジョールファット」、そして深部脂肪の「バッカルファット」のおもに3つ。加齢で減るのはどの脂肪?
藤井香綸先生
『バッカルファット』と呼ばれる深部脂肪はあまり減らないとされていますが、加齢とともに、“本来、存在してはいけないエリア”にはみ出して、垂れ下がることも。CT画像で見ても、若いときのほうが上部に位置していることがわかっています。バッカルファット以外の脂肪はほぼすべて減っていき、たるみと重力で顔の下半分に押し寄せて溜まっていきます。実際に脂肪の体積自体は少なくなっているはずなのに、溜まることで脂肪が増えた印象に見えてしまうこともあるんです。
若い世代ほど、“顔の脂肪を大切にしたい派”が増えている!
藤井香綸先生
来院する方たちの中で、20代後半の方は美容意識が特に高く、老いることに対して何かしら先手を打ちたいと考えている。そういう人たちは、『脂肪は大事にしたほうがいいですよね』という感覚の人が多いです。また、50代60代は、たるみが進行して輪郭が四角くなってきた結果、原因が脂肪だと認識しているわけではないけれど、『この落ちてきている“何か”を今すぐなんとかしたい!』と考える傾向が。昔は、脂肪がたくさんあると『取る』一択だったかもしれませんが、今はSNSなどでもさまざまな議論が行われ、選択肢も増えました。取ってしまうとなかなか戻せないし、数年後どうなるかわからないということも意識の中にあるのかなと思います。患者さんの知識が、ここ数年でグンと高まったなと感じます。
“脂肪=余分なモノ”というだけではなく、先を見据えた脂肪対策が、たるみや老け顔を防ぐために大きなカギを握りそう!
脂肪のつき方にはどんなタイプがある?
藤井香綸先生
脂肪が多めで顔がパンッとしているタイプと、もとの脂肪が少なくすっきりした顔立ちタイプと、大きく2つに分けられます。そして、脂肪のつき方は、骨格も大きく関わっています。中学生のときから顔全体がシュッとして大人びているとか、大人になっても可愛らしいとか、そういった印象が脂肪のつき方ともリンクしている気がしますね。この2タイプは加齢で現われる悩みも異なるので、ケア方法やクリニックでの治療方針も変わってきます。たとえば、パンッとした脂肪多めさんは、脂肪が垂れて顔のフォルムがぼやけやすいので、フェイスラインや顎下だけ脂肪吸引するとすごくキレイになります。すっきり顔の脂肪少なめさんは、頬がやせこけていく分、ヒアルロン酸注入などで整えてあげるのがおすすめです。
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顔脂肪をケアして「たるみ・老け顔」を防止!