これまでの人生最高の喜びは、オーディションに合格したこと
──2014年の厳しいオーディションを勝ち抜き、2017年にTHE RAMPAGEのメンバーとしてデビュー。その後の数々のドラマや映画への出演に加え、今年の春にはソロ写真集も発売された。これまでの華々しい活躍の中で、特にうれしかったことは?
川村「う〜ん……。うれしかったことは、たくさんあるのですが、一番はやっぱり、オーディションに合格したことですね。ずっと夢見てた人生を、この手に掴んだ瞬間でしたから。特にオーディションの三次審査のときは、とにかく不安だった。“受かるのは俺しかおらんやろ!”なんて気合を持って臨んだオーディションだったけど、それまでの人生で会ったことがないようなうまい人しか残っていなくて。どう考えても、僕は歌のレベルでいったらど底辺だなって感じてしまっていたんです。
だけど、不安の中でもどこかで“HIROさんはわかってくれる”という予感はあったんです。今はまだ歌をはじめとしたスキルが足りてないかもしれないけど、僕の中に眠っている可能性をきっと信じてくれるんじゃないかって。小さい頃からなんとなくこの世界に入っていくだろうって感じていたんです。だからオーディションでどれだけ不安になっても、折れずに可能性を信じ続けられたのかな」
──結果、三次審査も勝ち抜き、無事合格を果たした。そのときの大きな喜びが、今の活動を支えている?
川村「実はそれはないんですよね。もちろん、オーディションに合格したことは人生最大の喜びだし、すごくうれしかったけど、“支え”とは違うんです。なぜなら今はもっともっと高いところを目指しているし、自分にはこの道しかないと信じているから、あの喜びを支えにしているようでは上にはいけない気がしていて」
──これまでさまざまな経験を積んできた中で、川村さんにとって、一番悔しかったこと、辛かったことを聞いてみると……。
川村「デビュー前の活動休止期間ですね。オーディションが終わってからしばらくの間、活動休止となってしまったんです。その期間中、三代目さん(※三代目 J SOUL BROTHERS)のライブのお手伝いをすることになったんです。手伝いといっても、ステージに上がることは皆無でした。
じゃあ何をしてたかっていうと、EXPG STUDIOというLDHが主宰しているダンススクールがあるんですけど、そこの生徒さんたちが当時のツアーではサポートダンサーを務めていたんですね。何十人もいる生徒さんたちのお世話や、ライブの際の誘導から始まって、スタッフさんにお弁当を配ったり、機材を運んだり。あらゆる裏方仕事のサポートをしていました。それをメンバー16人で黙々と手分けしてやっていたんです。頑張ってせっかくオーディションに合格したのに、僕たちは歌うことも、踊ることもできない。先輩方のキラキラした熱いステージを見ているだけしかできない。それはもう、死ぬほど悔しかったですね。この悔しさをバネに、絶対にデビューしてあのスタージに立つんだって誓いました。辛くて、悔しくて、しんどくて。当時は『これもいい経験になるに違いない』なんて思うことは絶対にできなかったし、正直二度とあんな思いはしたくない。
だけどね、今になって思えば、あの経験がプラスに働いていることはたくさんあります。メンバー同士の絆とか、仕事への向き合い方とか数えきれないほど。当たり前のことだけど、ライブひとつにしたって、僕らだけの力じゃできないんですよね。100人、いやもっと多くのスタッフさんたちの協力があって、初めてできることなんです。そして、その全員がそれぞれ、めちゃくちゃ大変な作業を頑張ってくれている。もちろん、当時も頭では理解していました。だけど、あの経験を通して実感できた。それは自分にとっても、グループにとっても大きな収穫だったと思います。だから今、どんなに練習やスケジュールがきつくても、自分ばかりが大変だとは思わないし、常に感謝の気持ちを持っていられる。この気持ちは、これからもずっとなくさずにいたいですね」
──生きていれば誰でも、辛いこと、しんどいことはあるもの。芸能界というひときわ厳しい世界に身を置いているならば、なおさらだろう。いろんなことが重なって、どうにもできずに「もうダメだ」って折れそうになったときには、どうしてる?
川村「そんなにストレスに弱いほうじゃないと思うけど、さすがにキャパを超えるようなことが続くと、もうイヤだ〜!なんて、いいたくなることももちろんありますよ。そういうときの僕は動きたくなくなっちゃって、何をするにもいつもの倍以上の時間がかかっちゃったりして、なかなか浮上するのが難しくなります。
だけど、落ち込んでるときって、なぜか大事な人たちの顔が浮かぶんですよね。親とか、メンバーとか、事務所の先輩方とか、友達とか。それが救いになっているのかはよくわからないんだけどね。支えてほしいとか、話を聞いてほしいっていうよりも、彼らが存在してくれること自体がもう励みになるんです。いつだって気にかけてくれて、心配をしてくれているのもわかっていますしね。みんな、気持ちの表し方はバラバラです。僕がメンタルやられているときに、ストレートに『なんでも相談してな』って伝えてくれる人、僕に直接は何も聞かないけど、周囲に様子を聞いて、そっと見守ってくれる人。どっちもめちゃくちゃうれしかったし、僕自身彼らのことを大事にしていきたいって強く思いますね。
ちなみにメンバーでいうと、武知海青や鈴木昂秀はストレートに気遣う気持ちを表してくれる人。しんどかったときに『返信はいらんから』って連絡くれるようなタイプ。ほんま、いい奴やな〜!」
──語れば語るほど、人にも仕事にも、とにかくまっすぐで、熱いオトコであることがわかる、川村壱馬さん。後編では、彼の得意分野でもある美容のこと、将来の夢や野望など盛りだくさんでお届けします。
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撮影/岩谷優一(vale.) ヘアメイク/oya(KIND) スタイリング/庄将司 取材・文/中川知春
Edited by 松本 薫
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