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サバの味噌煮、成功の秘訣は「多めのみりん」
小田先生
では、煮汁を作っていきましょう。今回は20cmのフライパンを使います。
オギ
20cmのフライパン、思いのほか万能ですね。
小田先生
1〜2人分の煮物には、このサイズがぴったりなんです。今回のレシピは、カボチャの甘煮のときと同様、みりん多めにしてあります。魚の煮物もみりんをたくさん使った方が煮崩れを防ぎやすくなるんです。みりんには、味の染み込みをよくしたり、臭みを取る効果もあります。
オギ
一つで何役もこなすんですね。なんてありがたい調味料!
小田先生
火にかける前に、まずフライパンに水、みりん、醤油、砂糖、酢を入れていきます。
オギ
酢も入れるんですか? 意外です。
小田先生
酢は臭みを取ってくれるだけでなく、味にキレを出してくれるんです。
オギ
サバの味噌煮って、甘ったるく感じるときもあるので、確かに合いそうですね。
小田先生
味噌を後から入れるレシピもありますが、今回は他の調味料と一緒に最初にまとめて入れます。
小田先生
調味料は、ここでしっかり混ぜておきましょう。味噌がダマになったまま煮立てると、溶け残ってしまうので、火にかける前にしっかり混ぜて溶かしてくださいね。
小田先生
味噌がしっかり溶けたら、中火にかけて煮立てます。
小田先生
複数の調味料を使うと、調味料同士がなかなか混ざり合いません。それらを煮立てることで一体化し、まとまりが出ます。また、みりんには、アルコールが含まれているので、それを飛ばすためにも煮立てる必要があるんです。
オギ
アルコールを飛ばす……よくレシピにも書いてありますが、なぜ飛ばす必要があるのでしょうか?
小田先生
アルコールが多いと、特有の香りや苦味が残りやすいんです。
オギ
味に影響するんですね!
小田先生
プクプクと煮立ったら、皮を上にしてサバを投入します。煮立ったところに入れることで表面が固まり、サバ特有の生臭さやクセが出にくくなるんです。
オギ
下処理や使う食材・調味料だけでなく、調理工程にも生臭さを抑えるコツがあるんですね。全然知らなかった……。
小田先生
サバは生臭くなりやすいので、あの手この手で封じ込めるんですよ。煮立った状態をキープしたまま、ネギを加えます。
小田先生
サバをフライパンに入れたら、この状態でまず6〜7分ほど煮汁がプクプクとした状態のまま煮ます。魚を煮る時間はだいたい「10分以内」と言われています。10分以内なら身が硬くならず、ふっくら感が保てるからです。
小田先生
おお。よく覚えていましたね。みりんに多く含まれているアルコールは、水に比べて沸点が低いので、100℃以下でも沸騰します。また、蓋をしていないので、煮汁の温度が一気に上がる心配もないんです。
オギ
料理って本当に科学ですね。あと、煮汁からサバがはみ出ているのですが、どうやって味を染み込ませるのでしょう?
小田先生
サバをひっくり返すと煮崩れの原因になるので、スプーンで煮汁をすくって上からかけてあげましょう。
オギ
……煮汁をすくいかけながら、6~7分ずっと見張っていなければいけないんでしょうか?
小田先生
5分くらいなら煮詰まらないので、5分タイマーをかけておけば、ちょっとくらい目を離しても問題ないですよ。
オギ
そろそろ6分経ちますね。
小田先生
これはお好みですが、長ネギに歯ごたえを残すならここで取り出しましょう。クタクタの食感が好みなら、そのままでも。
小田先生
ここからさらに2~3分煮立てます。
オギ
サバに照りが出て、ふっくらしてきました!
小田先生
この照りは、煮汁をしっかり沸騰させているからこそ出せるもの。沸騰させることで、みりんに含まれる糖が水分と結びつき、煮汁の粘度が増すんです。粘度のある煮汁だとサバの表面に留まりやすくなり、照りが生まれます。
オギ
みりんって煮崩れも防いでくれるわ、照りも出してくれるわ、何役もこなしてくれるすごい調味料なんですね。
小田先生
さらに、粘度のある煮汁のほうが熱の入り方がゆっくりなので、ふっくら柔らかく仕上がります。そろそろトータルで10分ほど経つので、ショウガを加えます。
オギ
皮も無事で、身もちっとも欠けてない……。私のボロボロに煮崩れた味噌煮と全然違う!
小田先生
最後に長ネギを戻して完成です。
完成!
オギ
ふわっとした柔らかい食感! 自分で作ると、いつも身が硬くてパサパサしているのに……。味もコクがあるのに甘ったるくなく軽やか! ショウガもいい働きしてくれてます。
小田先生
甘めの味付けが好みなら、砂糖を大さじ2に増やしてもOK。味噌を入れずに、醤油を大さじ2にすれば、サバの煮つけが作れます。
オギ
味噌煮のレシピを応用すれば、煮つけになるんですね。「応用」なんてメシマズには考えられない技です。メシウマに一歩近づけた気がします(笑)。
【今回の学び】「みりん多め」の効果がすごすぎました
みりんを多めに使うだけで煮崩れナシ、ふっくらツヤツヤに仕上がるとは! 高価な調味料を使わなくても、みりんを多めに使い、煮る時間をちゃんとコントロールするだけで、ごちそうが作れることがよくわかりました。あと、サバはもちろんなんですが、感動したのがちょっと歯ごたえのある長ネギ。適度な噛みごたえに感動しすぎて絶賛していたら、小田先生に「(サバじゃなくて)そっち?」と突っ込まれることに。もちろんサバも美味でしたが、クタクタの長ネギしか知らなかったので、衝撃が大きすぎました(笑)。
次回予告:アクアパッツァ
撮影/国井美奈子 監修/小田真規子 イラスト/大窪史乃 取材・文/伊藤彩子
Edited by 西村 美名子
公開日: