目次
煮物攻略の鍵は「具材の切り方」
小田先生
まず、ジャガイモの皮をむいていきましょう。
オギ
あれ? ピーラーを使わないんですか?
小田先生
ピーラーでもいいのですが、できれば包丁がおすすめです。ピーラーで表面を削ると表面がザラザラになって、でんぷんがたくさん出て煮汁にとろみがつきやすいんです。包丁のほうが、表面がつるっとむけるので、仕上がりもきれいです。そして、芽もきちんと取り除きましょう。苦みやえぐみが出てしまうので。
オギ
「芽はちゃんと取らないと死ぬ」って家庭科の先生に言われた記憶があるので、これだけはしっかり取っています!
小田先生
死ぬことはないと思いますが(笑)、ソラニンなど毒性がある成分を含んでいるのは確かなので、きちんと取り除きましょう。皮をむいたら、水を張ったボウルに入れてさらします。
オギ
水にさらすのは、どうしてですか?
小田先生
ジャガイモのでんぷん質を取り除くためです。でんぷんが残っていると、煮汁にとろみがついて、調味料が具材の中に入っていきにくくなるんです。
オギ
あと、先に全部皮をむくのにも理由があるんでしょうか。私はいつも、皮をむいたらすぐにひと口大に切っているのですが。
小田先生
そのやり方だと、形や大きさを揃えることができません。だから、先に皮をむいて、すべてのジャガイモの形や大きさをちゃんと確認してから切ってほしいんです。
オギ
すべてのジャガイモの形や大きさを確認する?
小田先生
ジャガイモは、1つ1つの形や大きさにバラつきがありますよね。何となく1つずつひと口大に切っていくと、形や大きさが不揃いになって、火が通る時間にもバラつきが出てしまいます。だから、全部のジャガイモを見て、「このくらいの形や大きさに揃えよう」と考えながら切っていく必要があるんです。
オギ
「煮崩れている部分があるのに、なぜか硬い部分もある」っていう失敗パターンを回避できるかどうか、この段階で決まるんですね。
小田先生
今回は、3~4等分くらいの大きめサイズに切っていきましょう。
オギ
こんなに形と大きさがキレイに揃ってるジャガイモ、初めて見ました! むく・切るという手間は同じなのに、ちょっと順番を変えて一瞬「考える」時間を設けるだけで、ここまで差が出るんですね。
小田先生
面倒に感じるかもしれませんが、実は手間自体が増えているわけではないんです。少し「考えながら」作業していくだけで、メシウマになれるんですよ。
玉ねぎも、火が通る時間をジャガイモと揃えるために、主役級の大きさに切っていきます。8等分くらいの大きめサイズですね。それに、煮上がったときにちゃんと形が残っていると、玉ねぎの甘みが楽しめるんです。
小田先生
肉については、牛肉か豚肉か好みが分かれるところですが、今回は豚肉で。味つけは、豚肉を使うならあっさりめ、牛肉を使うなら比較的しっかりめがおすすめです。
豚の肩ロースを半分に切ったら、下味をつけましょう。しょうゆ→砂糖の順に投入して、ボウルの底に汁気がなくなるくらいまで、しっかり揉み込みます。
オギ
肉は、煮汁で味がつくからと、いつもそのまま鍋に投入していました。
小田先生
それでも間違いではないんです。一般的なレシピだと、「ジャガイモ、玉ねぎ、肉を炒めてから調味料を投入」という順番なので。でも、それだと味にパンチがなく、肉自体も硬くパサパサになりがちなんです。
オギ
確かに肉はオマケ的なイメージです。
小田先生
それだと「肉じゃが」ではなく、「じゃが肉」になってしまい、せっかく肉を使うのにもったいないですよね。主役はもちろんジャガイモですが、肉も主役級になれるよう下味をつけましょう。そのほうがジャガイモと肉の味にメリハリが出て、おいしさが増すんです。
オギ
肉じゃがといえば、あとはニンジンですよね?
小田先生
今回はニンジンなしのレシピです。私は、肉じゃがの必須食材はジャガイモ・玉ねぎ・肉の3つだと思うんです。もちろんニンジンを入れてもいいのですが、火通りが悪い。メシマズさんは面倒を見る食材をなるべく減らすのが成功のコツです。
オギ
まさにメシマズ仕様のレシピなんですね! でも、自分で作るときは「とにかく煮ればすべて火が通る」と考えていたので、「食材1つ1つの面倒を見る」なんて細やかに考えたことがなかったです。結果、ニンジンに火を通すため、ジャガイモの煮崩れは見て見ぬフリをしていました。
小田先生
だから最初のうちは、加熱時間を気にしないといけないものを増やさないほうがいいんです。
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「炒める順番」でおいしさが決まる!?