連載 VOCE特別インタビュー

【井手上漠】『情熱大陸』出演決定!性別にとらわれない新時代のモデル「コンプレックスを武器に」

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性別によって美容が好きだと言いにくい現状はおかしい

──そもそも美容を仕事にしたいと思ったきっかけは?

小学4年生から美容が大好きだったのですが、その当時はまだ私のまわりでも「男がメイクかよ」と否定的な意見が多く、偏見の目が当たり前にありました。私自身、メイクが好きだということを堂々と言えなかったんです。美しいものを見ると心が癒やされるというのは人間が元来持つ性質でもあるはずなのに、性別によって美容が好きだと言いにくい現状はおかしいとずっと思っていて。例えばコスメは女性が使うものというイメージを、コスメブランド自体から変えていけば、世の中の考え方も何か変わるかもしれないし、「女性にする男性的メイク」とか「男性にする女性的メイク」とか、性別を差別ではなく区別して、それぞれにとって新しいメイクを提案していけたら面白いのかなとか。私が美容を発信する中でジェンダーの垣根を壊していけたら、すごく面白いものが出来上がってくるのではと思い、今、いろいろと構想しています。

──美容を好きになったのはいつ頃ですか?

私は3歳のときにウェディングドレスに出合い「この世にこんなに美しいものがあるのか」と感銘を受けたのが、美しいものに惹かれた一番最初の記憶です。その魅力に取り憑かれてから、キラキラしたもの、フリフリしたもの、かわいいものが大好きになりました。なんなら「ウェディングドレスになりたい」とすら思っていたくらい(笑)。そうして美しいものに惹かれるようになり、小学校4年生のときにたまたま観たテレビで「20代、30代で出てくるシミ、そばかす、シワなどのエイジングサインは10代の頃にどれだけ紫外線対策ができているかによって変わってくる」という話を聞いて、「え、もう今から始めないといけない!」と思ったんです。10代といってもまだ10歳くらいだったんですけど(笑)。子供ならではの単純な考えですけど、今やっておけばずっと美しくいられる!と思い、そのとき初めて日焼け止めを手に取りました。そこからはUVケアをしていないと落ち着かなくなり、日焼け止めを塗らないと外に出られないほどに。後にUVカット機能がついた下地というものがあると知り、UV下地からファンデ、アイシャドウ、リップとどんどん色々なコスメと出合い、メイクが大好きになりました。それからずっと今も好きでい続けています。

──メイクをしたとき、周囲の反応は?

メイクを始めてからもずっと恥ずかしくて人には見せられなかったのですが、あるとき母親にバレました。母のメイク道具を使っていたので「絶対怒られる!」と思ったら、開口一番「眉毛曲がってない?」というまさかの指摘で(笑)。それからは母から怒涛の眉毛レッスンがあり、実際に眉毛を整えてもらったりして。母が怒るどころか応援してくれたのが嬉しくて、そこからはどんどん自分でも勉強するようになりました。母も美容が好きなので、今では良いコスメがあったら「これいいよ!」ってシェアし合っています。

──21歳になって、お母様への思いの変化はありましたか?

これまでは親が私のことを心配してくれていたのに、今は私が親を心配することが増えて、自分でも大人になったなと感じます。母もまだ若いので、もう私のことは心配せずに自分の人生を楽しんで欲しいと思っています。「もう自立したよ、大丈夫だよ。私は今、成長できる環境にいるよ」と伝えているのですが、やっぱり親はいつまでたっても子供のことが心配なようです。1級の資格を取った時に実家に帰ったのですが、母の眉毛が曲がっていたので直してあげたんです。そのときに、昔母に直してもらった眉の描き方を今度は私が母に指摘しているなんて、自分はすごく大人になったなととても感慨深かったです。母もすごく喜んでいました。

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弱さを見せる強さ

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