目次
心の健康を保つために必須の栄養素とは?
✔ タンパク質
✔ ビタミンB群
✔ 鉄
✔ 亜鉛
✔ マグネシウム
✔ ビタミンD
奥平先生が考える心の健康のために欠かせない栄養素はこの6つ。
反対にこの6つの栄養素が不足すると、プチメンタル不調につながりやすいそうで……。
心の健康に欠かせない必須の栄養素1:「タンパク質」
タンパク質が不足するとプチメンタル不調につながる理由
栄養専門精神科医 奥平智之先生
酵素やコレステロールもタンパク質から作られています。そのため、タンパク質が足りないと消化酵素が不足して消化吸収力が落ち、心を健やかに保つために必要な栄養素を十分に取り込めなくなります。また、タンパク質も含めカロリー不足でコレステロールが不足すると、うつや不安症状が出やすくなります。タンパク質は、心を安定させるセロトニン、よろこびや快楽に作用するドーパミンなどの脳内ホルモン(神経伝達物質)の材料であることからもメンタルケアに欠かせない栄養だということを理解していただけると思います。
タンパク質は、今あるものが分解され、新しいものに入れ替わります。ですが、ストレスがかかると分解するほうが優位になるため、より多くのタンパク質が必要になります。ストレスを感じるときには、タンパク質をたっぷり摂る食生活を心がけましょう。
タンパク質が不足しているサインはコレ!
- 筋肉量が少ない
- 肌にハリツヤがない
- むくみやすい
- 風邪をひきやすい
- ストレスが多い
心の健康に欠かせない必須の栄養素2:「ビタミンB群」
ビタミンB群が不足するとプチメンタル不調につながる理由
栄養専門精神科医 奥平智之先生
ビタミンB群は、心に効く栄養素の代表格。脳内ホルモンは、アミノ酸(タンパク質)から作られていますが、 “幸せホルモン”と別名を持つセロトニンや“ときめきホルモン”といわれるドーパミンなどを分泌するには、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、葉酸などのビタミンB群も必要です。ビタミンB群は、互いに補い合いながら働くため、どれかを単体で摂るよりもB群全体で摂るとより効果的です。ビタミンB群が不足すると、集中力の低下ややる気が出ない、憂鬱な気持ちになりやすくなることがあります。寝つきが悪くなるなど、睡眠の質が悪くなることも考えられます。
ビタミンB群が不足しているサインはコレ!
- 集中力がない、頭がぼーっとする
- 肌荒れしやすい
- 口内炎、口角炎がよくできる
- 肉・魚・卵をあまり食べない
- 精神的ストレスが多い
心の健康に欠かせない必須の栄養素3:「鉄」
鉄が不足するとプチメンタル不調につながる理由
栄養専門精神科医 奥平智之先生
脳内ホルモンの生成や脳細胞を含む全身の細胞の機能維持に関わるミトコンドリアのエネルギー産生において必要不可欠のミネラルが鉄です。鉄を意識的に摂取していない女性のほとんどは“テケジョ(鉄欠乏女子)”だといえるほど、鉄が足りていない女性が多いと感じます。こういった話をすると、「血液検査で問題なかった」「貧血ではないから鉄は足りている」という人が少なくありません。ですが、一般的な血液検査の数値上では参考基準値内で、貧血に至ってなくても“隠れ鉄不足”である可能性は大! 鉄が不足すると、イライラや気分が落ち込む、急に不安になる、疲れやすいなどの症状が出やすくなります。
鉄が不足しているサインはコレ!
- 冷え性
- 爪に丸みが少ない、割れやすい、柔らかい
- 疲れやすい、軽い運動でも動悸や息切れがする
- あざができやすい
- 髪の毛が抜けやすい
あなたは大丈夫? “テケジョ(鉄欠乏女子)”診断
親指のアーチをチェック。きれいなアーチがあり、厚みがある場合は、OK。アーチがなく、平らで薄くて柔らかい小さな子どものような爪をしているなら“テケジョ”かも!
心の健康に欠かせない必須の栄養素4:「亜鉛」
亜鉛が不足するとプチメンタル不調につながる理由
栄養専門精神科医 奥平智之先生
亜鉛不足に伴ううつ症状は、少なくありません。それは、亜鉛が脳に影響をおよぼす酵素や脳内ホルモン(神経伝達物質)の生成を促す働きがあることが関係しているというのがひとつの理由。記憶の中枢である海馬に亜鉛が多く存在しており、長期的に欠乏することで記憶力の低下にもつながる可能性があります。
また、亜鉛が欠乏すると、味覚異常を招く恐れも。薄味に感じる、味がヘンに感じるようなことがあれば、亜鉛不足のサインかもしれません。アルコールの過剰摂取や心身のストレスは、活性酸素や炎症をもたらし、それを打ち消すために亜鉛の必要量が増すため、お酒を飲む機会が多い人やストレス環境に身を置きがちな人は、積極的に摂るほうがいいでしょう。
亜鉛が不足しているサインはコレ!
- 味が薄く感じる、嫌な味がする
- 爪に白い斑点がある
- 風邪をひきやすい
- 傷の治りが悪い、跡が残りやすい
- 疲れやすい、やる気が出ない
心の健康に欠かせない必須の栄養素5:「マグネシウム」
マグネシウムが不足するとプチメンタル不調につながる理由
栄養専門精神科医 奥平智之先生
マグネシウムが不足するとうつ症状や不安な気持ち、慢性的な疲労、緊張を感じやすくなります。ストレスがあると、ビタミンやミネラルが消費されます。マグネシウムも、心身のストレスで消費されたり、尿からの排泄が増したりするため、マグネシウムが不足しやすくなり、心のプチ不調の悪循環に繋がります。加工食品をよく食べる人も注意が必要。加工食品に広く使われているリン酸塩は、マグネシウムや亜鉛などのミネラルと結合し吸収を阻害するため、マグネシウム不足にも繋がります。
マグネシウムには、さまざまな消化酵素の働きをサポートする役目も。消化酵素の働きが弱まると、消化吸収力が落ち、心を健やかに保つために必要な栄養素の吸収が低下する可能性があります。
また、マグネシウムは、睡眠にもいい影響があります。マグネシウムを毎日しっかりとると、筋肉がゆるんで眠りやすくなるだけでなく、胸が開いて、深い呼吸をしやすくなり、リラックスにもつながります。おやすみホルモンのメラトニンの産生にも大切です。
マグネシウムが不足しているサインはコレ!
- 足がつりやすい
- まぶたがピクピクする
- 加工食品を食べることが多い
- 頭痛、肩こりがある
- 血圧が高い
心の健康に欠かせない必須の栄養素6:「ビタミンD」
ビタミンDが不足するとプチメンタル不調につながる理由
栄養専門精神科医 奥平智之先生
亜鉛やタンパク質もですが、ビタミンDが不足するとリーキーガット症候群の一因になります。リーキーガット症候群は、小腸の保護役を担う粘膜の上皮細胞間の結合が緩み、本来は体内に取り込まれない腸内細菌や毒素、未消化のタンパク質などが体内に入っていろいろな症状を引き起こします。うつ状態や認知の低下などの原因にもなります。室内で仕事をしている女性の約8割は、ビタミンDが不足しているといわれています。
ビタミンDが不足しているサインはコレ!
- 冬から春にかけて憂うつな気分になる
- 花粉症
- 室内で過ごすことが多い
- 魚をあまり食べない
- 風邪、インフルエンザになりやすい
参考:奥平智之『最新版 マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』主婦の友社 2022年
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イラスト/二階堂ちはる 取材・文/金子優子 構成/剱持百香
Edited by 剱持 百香
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