将来のお金の不安はこれで解決! 新NISA入門
教えてくれたのは…
ファイナンシャルプランナー
深田晶恵さん
(株)生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカー勤務を経て1996年にFPに転身。個人向けのコンサルティングのほか、テレビや雑誌など各メディアで活躍中。すぐに役立つアドバイスが大人気。『日本一わかりやすいお金の教科書』(講談社)など著書多数。
\VOCEアンバサダーにアンケート/
Q.投資に興味はありますか?
半数近くがもう始めているとのこと。みんなエラい! 「若い世代ほど投資に積極的」といわれるけれど、それがここにも表れている?
興味があるなら新NISAで投資デビュー!
このところの物価高や円安で、ただでさえプチ贅沢品だったデパコスがますます高級品に。好きなコスメを買い続けるためにも投資を始めてみたい!というわけで、今いちばん気になる新NISAのことを、FPの深田晶恵さんに教わろう。
「みんな新NISAに興味はあって、やったほうがいいのかな?とそわそわしているのではないでしょうか。関心があるならやってみましょう! 投資の練習はできるだけ早く始めたほうがいいんですよ」
深田さんによれば、新しくなったNISAは、お金のプロたちが太鼓判を押すほどのいい制度。すでに投資をしている人も初めての人も、活用しない手はないのだ。
「NISA口座を開いたら、『つみたて投資枠』で投資信託をつみたて購入します。長期・つみたて・分散というワードを聞いたことがありませんか? これは投資の王道といわれる方法。失敗するリスクを減らすためには、一度にたくさん投資せず、毎月数万円ずつを長期でつみたてていくのが基本です」
「つみたて投資枠」で買える投資信託は、リスク分散できて手数料が安いものが選ばれているので安心。その中からどれを買うかは後ほど紹介するとして、まずは下の「3つの掟」を心に刻もう。
「この掟さえ守っていれば投資は難しくありませんし、新NISAは誰にとってもメリットの大きい制度です。お金と向き合うきっかけにできるといいですね」
◆「投資で失敗しない」3つの掟
【1】商品は金融機関で選んでもらわない!
誰かに頼りたいのはわかるけど、手数料の高い商品をすすめられることも。自分で選ぼう。
【2】まとまったお金を一度に投資しない!
一度に大金を投資すると、その後に株価が下がったときのダメージ大。つみたてが鉄則!
【3】手数料の高いものは選ばない!
商品ごとに異なる手数料(信託報酬または運用管理費という)は、0.1%程度だと◎。
投資に興味はあるけれど……始められない人たちの声
「損しないか心配」
⇒リスクはゼロではないので生活費等は残しておく
株価は値動きがあるものなので、当然ながら上がったり下がったりする。長期・つみたて・分散はそのリスクを減らすためのものだけれど、絶対に損をしないとは言い切れない。あくまで投資は自己責任だ。「ですから、投資は余裕のある資金でやりましょう。持っているお金を全部投じてしまったら、損をしたときに生活していけなくなるかもしれません。生活費や数年以内に使う予定のお金まで投資に回さないこと。そのバランスも大切です」。
「貯金じゃダメ?」
⇒貯金とは別に、老後に向けて投資してみては
「貯金か投資か、どちらかを選ぶのではなくて、どちらもやっていくと思ってください。近い将来の結婚や引っ越し、家を買う頭金などに使う予定のあるお金は貯金しておくべきですが、遠い将来の老後に向けては投資に回して、お金を増やすことを目標にしてみては」。今は低金利なので、貯金でお金を増やせないのはご存じのとおり。ライフステージごとに使うお金を切り分けて、貯金と投資をコツコツ続けていくのが賢いやり方。
「面倒だし、お金に余裕もない」
⇒支出を見直して月1万円以上は投資に回す
何事も最初の行動を起こすまでは面倒に感じるもの。スマホやPCで簡単に口座開設できて、一度つみたて設定するだけなので、がんばろう。お金に余裕がない場合は、「スマホ代、保険、サブスクなど毎月払っている固定費の見直しをしてみましょう。むだを削って投資に回す分を捻出します。投資額は無理のない程度でいいのですが、少なくとも月1万円。せっかく投資するなら、増える喜びも損をする痛みも感じられる金額にしましょう」。
今年1月に神改正! 新NISAって何?
一般NISAとつみたてNISAに分かれていた制度が、1つになってバージョンアップ。一生モノになった新制度の概要をおさらい!
そもそもNISAとは?
投資で増えたお金にかかる約20%の税金がタダになる制度
今さらだけど、NISAって何が得なんだっけ?という人もいるのでは。「ずばり、税金がお得なんです。通常の口座では、投資をして増えたお金に対して約20%の税がかかります。たとえば500万円の元本が800万円になったとしたら、増えた300万円の約20%、60万円ほどの税が引かれます。これが非課税=0円になるのがNISAです」
改正されてどう変わったの?
上限1800万円! 無期限で運用OKに
つみたてNISA(40万円×20年)、いわゆる一般NISA(120万円×5年)と2つあった制度を大幅に拡充して1つにしたのが新NISA。さらに、売却して空いた枠に再び投資できるという新ルールも。もはや一生モノの財布といえそう。
\超お得/
1年で120万円(成長投資枠も含めると360万円)、生涯で1800万円分の投資ができる!
つまり……低リスクな投資ができて、ず〜っと税金がかからない制度!
◆失敗しないPOINT
まずは「つみたて投資枠」だけでOK!
初心者さんは、低コストの投資信託がラインアップされている「つみたて投資枠」から使っていこう。この枠内だけで月10万円、年間120万円まで投資できるので十分なはず。
ネット証券なら簡単! 新NISAの始め方
思い立ったが吉日。まずはNISA口座を開設しよう。スマホなどで簡単に申し込める証券会社がほとんどで、困ったらチャットなどで問い合わせもできる。
1. 金融機関を決める
NISAの口座は1人1つのみ!
深田さんのおすすめは、楽天証券、SBI証券などのネット証券。商品数が多く、クレジットカードでつみたてできる方法も。
2. 身分証を準備
マイナンバーカード or 運転免許証
3. スマホやPCからガイドに沿って入力
住所、氏名、メールアドレスなどを入力。みんなの手が止まるのは「納税方法の選択」のところ。NISAなので税金はかからないが、証券口座を開くために必要な項目だ。悩まずに「確定申告が不要」の特定口座(源泉徴収あり)にチェックを入れればOK。
\5分程度でできます!/
手続き完了
申し込みから1〜2営業日後に、口座が開設される! 早い!
4. 商品とつみたて金額を設定
商品は1つか2つにしておこう
ログインしてつみたて設定の画面を開き、商品を選んで、つみたて額を決め、クレジットカードつみたて、もしくは口座引き落としなどの設定をすれば、毎月自動的に買い付けてくれる。
みんな知りたい! 新NISA商品の選び方
つみたて投資枠の商品は厳選されているといっても200本以上! どうやって投資信託を選ぶべきなのか、深田さんに考え方とおすすめ商品を聞きました。
全世界と日本に“分散投資”が正解!
「1本か2本に絞りましょう。1本で分散投資できるのが投資信託のいいところです」。おすすめは、圧倒的な手数料の安さで業界をリードしてきたeMAXIS Slimシリーズ。全世界、または全世界(除く日本)+日本の組み合わせでもいい。「資産の一部を日本株にしておくと、株価や経済ニュースを身近に感じられるのでは?」
深田さんおすすめはこの3つ!
【1】eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)/三菱UFJアセットマネジメント
米国株など全世界の株に幅広く投資する投資信託
運用管理費(手数料):0.05775%
【2】eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)/三菱UFJアセットマネジメント
【1】から日本株だけを外した投資信託
運用管理費(手数料):0.05775%
【3】eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)/三菱UFJアセットマネジメント
東証株価指数(TOPIX)と連動することを目指した投資信託
運用管理費(手数料):0.143%
【1】のみor【2】と【3】の組み合わせがおすすめ!
もっと知りたい! 【新NISA】Q&A
Q.改正前にNISAを始めている人はどうしたらいい?
A.新NISAとは別枠として残ります
以前からNISA、つみたてNISAをしていた人は、1月から自動で新NISA口座が開設されていますよね。昨年までつみたてた分を新NISAに移すことはできませんが、運用自体はそのまま期限を迎えるまで続けられます(つみたてNISAは20年、一般NISAは5年)。必要に応じて現金化してもいいですし、運用を続けてもいいと思います。
Q.つみたてたお金がマイナスに! どうしたらいい?
A.何もしない、が正解です。あわてて売らないこと
元本がマイナスになることもあるはずです。下のグラフを見てもわかるように、そもそも最初の5年くらいはあまり増えないもの。複利の効果で大きく増えはじめるのはだいぶ先です。暴落が起きたときにあわてて売ってしまうのがいちばんの悪手なので、一時的にマイナスになっても動じずに、つみたてを継続しましょう。
Q.NISAを始めたら、貯金はしなくても大丈夫?
A.貯金と投資、どちらもしましょう
前にも触れたように、近い将来必要になりそうなお金については投資ではなく、貯金をしておきましょう。新NISAでは、引き出して空いた枠に再投資もできますが、基本的にはなるべく引き出さないようにし、時間をかけて大きく育てたいですね。
Q.NISA内の商品を売却する(取り崩す)タイミングは?
A.60歳以降をイメージして
必要になったらいつでも売却できる(取り崩せる)のが新NISAのメリットではありますが、基本的には老後まで持ち続けるつもりで。時間をかけて元本が積み上がっていくにつれ、利益も大きくなるからです。ただ、将来、子どもの進学や住宅購入などどうしてもまとまったお金が必要なときは、一部を取り崩してもいいと思います。
Q.損益はしょっちゅうチェックしたほうがいい?
A.年1回でOK
つみたて設定したあとは基本的にほったらかしでいいんですよ。でも、年に一度、たとえば年末に、資産の棚卸しをしてみるのはどうでしょうか。NISA口座の分がどのくらい増えたか(減ったか)だけではなく、家計全体として1年でどのくらい貯められたか、収支を振り返って、来年の投資と貯金の計画を立てましょう。
イラスト/ちばあやか 取材・文/黒澤彩
Edited by 岡部 奈央子
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