お茶を点てて、季節を感じる和菓子とともにいただく。シンプルなそのお作法の中に“おもてなし”の真髄がありました。
“味わう”こと以上の学びがたくさんあるお稽古でした
以前も話に出たかもしれませんが、僕、日本の文化がとても好きなんです。日常的にも風情を感じる陶器に心惹かれることがあるので、今日はこうして和装に身を包んで、和の雰囲気に浸れるだけで心が弾みました。茶道は以前、ドラマや映画の撮影で体験したことはあったのですが、プライベートでは今回が初めてで、とても待ち遠しく思っていました。
僕が今回「星のや東京」さんで体験させていただいた茶道は“日本おもてなし体験・茶の湯”というもの。こちらの旅館の宿泊者さん限定のアクティビティで、お茶を点てたり季節を感じる和菓子をいただいたりすることを通して、日本人だからこそのおもてなしや茶の湯のスピリットを体感できるというものだそうです。茶道をより親しみやすく感じられる内容にアレンジしてくださっていると思うのですが、そのおかげで茶道に対する「僕にはハードルが高いかもしれない」という固定観念が自然となくなり、気軽に楽しむことができました。いい意味で身近に感じることができたのも今日の大きな収穫でした。
そんな僕が実際にお茶を点ててみた感想は、シンプルにすごく難しかったです。均一なリズムでスピーディにシャカシャカシャカと点てていくのですが、そこにはシンプルな動作ゆえの奥深さがありました。先生におもてなししていただいたあと、僕が先生におもてなしをする流れで、特別に飲み比べをさせていただきました。先生が点ててくださった方が軽やかで味わい深く、なんだか癒やされて……きっとほんの少しの塩梅で空気の入り方や温度、お湯とお抹茶の混ざり方が変わって、口当たりがなめらかになるんだろうなと思いました。先生と僕の点てたお茶の味にここまで大きな差があるのには驚きました。
そして何より、お茶の席で礼儀作法や所作を学ぶことで、背筋がスッと伸びるのも気持ちがよかったです。相手の方にお茶をお出しするときに器を正面に向けてから差し出す。そんな動作にも相手を思う心が込められていて素敵だと思いました。
今年は、茶道以外の和の文化にも触れてみたいです。
「静寂な空気に包まれた畳に正座して気持ちを整えます」
「お作法をきちんと学んで茶釜からお湯をすくって……」
「使用するお抹茶は茶匙2杯分。こぼさないように、そっと」
「手首を一定の速度で動かして手早くシャカシャカ点てます」
「この日のお茶請けは干菓子。見た目にも風流で心洗われる」
「品良く優しい甘さが口の中に広がっていくのが幸せです」
【PROFILE】
たなか・けい 1984年7月10日生まれ。東京都出身。俳優として映画、ドラマなどで話題作に次々と出演。人気連続テレビドラマの続編『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)が放送中。2024年5月より舞台『Medicine メディスン』に出演。
【INFORMATION】
今回行ったのは……
星のや東京
和の佇まいが魅力の「塔の日本旅館」。
住所:東京都千代田区大手町 1-9-1
電話:050-3134-8091(予約)
1泊¥112000〜(サービス料込み、 食事別)
「日本おもてなし体験・茶の湯」¥9680(サービス料込み)
撮影/川崎一貴 ヘアメイク/カスヤユウスケ(ADDICT CASE) スタイリング/伊里瑞稀 取材・文/石橋里奈
Edited by 松本 薫
公開日: