自撮りは、努力と創意工夫の結晶だった
普段から撮り慣れていないものだから、こういうとき、どうやったら多少見映えがよく撮れるのか見当もつかない。もはや付け足す焼き刃もないレベル。あれだけ自撮りをする人たちのことを冷ややかな目で見てきたけれど、むしろあれは各々の努力と創意工夫の結晶であったのだと周回遅れで尊敬の念すら湧いてきた。
写真なんて……と斜に構えるなら、自撮りをするときも写りなんてどうでもいいですけどねと無頼派を気取ればいいのに、結局みみっちく写りに一喜一憂する体たらく。だったら最初から「自撮りで盛れるコツ10選」みたいなネット記事をいそいそ読んで勉強すればいいのだ。でも、そんなちょっとでもマシに見られたいという自意識を人に見透かされるのが怖くて、「写真嫌い」という予防線を張って誤魔化し続けている。
その果てに出来上がった、下手くそな自撮りのマイナンバーカードが僕の財布の中で眠っている。マイナンバーカードの有効期限はおよそ10年。次の更新は2030年だ。それまでにはたして僕の自撮りスキルは上がっているのか。「自撮りコツ」で検索しそうになる自分を今日も必死で押し殺している。
この記事で「ウッ、わかる……」となった人は、発売されたばかりの書籍は必読! 苦しいほど共感し、読んだ後はほんの少し心がラクになっているはず。電子書籍は書き下ろしおまけエッセイ付き。
自己肯定感を高めるためにひと通りのことは試した、でもやっぱり無理だった。自分嫌いには自信のある著者が、それでも幸せになることを諦めずに自分と向き合うことで掴んだ、仕事や恋愛、人間関係での適切な距離の取り方、自分の心の満たし方。「なりたいものになれなかった」「誰にも選ばれなかった」ーーそんな自分と、折り合いをつけられずにしんどさを抱える人たちの背中に、そっと手を添える一冊です。
■書籍概要
『自分が嫌いなまま生きていってもいいですか?』
著者:横川良明
価格:1430円(税込)
ページ数:216ぺージ
サイズ:四六判
ISBN:978-4065331040
出版社:講談社
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Edited by VOCE編集部
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