「美容」から考え直す、当たり前

「自分で自分の顔を撮るなんて、正気か?!」些細なことにも四苦八苦、自己肯定感低め人間の厄介な日常。

公開日:

こんな顔を記録して残そうなんて、正気か?!

とにもかくにもカメラ付き携帯電話が普及したことで、多くの人が気軽に写真を撮るようになった。それがスマホへと進化し、SNSが登場したことでさらに加速し、ついには自撮りなどと言って、自分で自分を撮り、その写真をインターネットの大海原へアップする始末。写真が苦手な僕から見ると、もはや微分積分より理解不能の現象である。なぜみんなあんなに無邪気に自分の顔を撮れるのだろうか。

僕は生まれてこのかた自撮りというものをしたことがない。カメラロールの中に自分の顔写真が入っているなんて考えるだけでもおぞましい。時折、スマホで動画を観ていると画面がブラックアウトすることがあるけど、その瞬間、大写しになる自分のアップを見るたびにスマホを叩き割りたくなる。こんな醜悪な形相を末代まで記録として残そうだなんて、「正気か?!」と自分の肩を揺さぶりたくなる。

写真:Shutterstock

今の縄文顔とか弥生顔みたいに、2000年後とかに僕の写真が発見されて、当時の人間の顔はこんな感じだったと認定された日には、全人類に申し訳が立たない。どうせ見つかるなら吉沢亮の顔にしてあげてほしい。

だから、SNSで誰かの自撮りを見かけるたびに、もちろん個人の勝手だと重々承知しながらも、堂々とキメ顔をつくれる自己愛の強さに「これが、光の道を歩いてきた人間のオーラ……!」と魔族みたいな気持ちになる。なんなら、そのキメ顔に行き着くまでに、どの角度がいちばん盛れるか研究に研究を重ね、鏡の前で口角の上げ方から目の開き方まで練習に励んできた姿が透けて見えてしまい、自撮りから漏れ出る巨大な自意識にお腹がいっぱいになりそうになるのだ。

次ページ
こんな僕が「自撮り不可避」の事態に!

こちらの記事もおすすめ