壁を乗り越えるには、人ではなく自分を変えること
「面白い人になりたいです」
これは、どう年齢を重ねていきたいかという問いへの答え。意外すぎた答えの真意とは?
「周りを幸せな気分にさせる人になりたいんです。基本的にはシャイだと思うけど、仲のいい友人の前では、本当にくだらないことばっかり言っていて、笑わせるのが好き。実際、笑ってくれるんですけど、しつこいところがよくない(笑)。そして、柔らかい人にもなりたい。見た目も肌も触りたくなるマシュマロのような人は、すべてが柔らかい気がして好きなんです」
基本シャイ。そして、ひょうきん。なりたいのは、面白い人
では彼女が今思う自分の好きなところは?
「わりと楽観的で、細かいことを気にしないところ。そして、人に対して、自分の思いだけで決めつけないところ。相手に対するリスペクトを常に大切にしています」
取材中、周囲への“リスペクト”を何度も口にし、顔だけでなく体ごとスタッフと向き合い、目を見つめて話す姿が印象的だった。
生まれた感情は否定しない。常に自然体でいたい
「20代の頃は、壁にぶつかると、相手のせいにしたり。でも悩むのは、自分に改善したいことがあるからで、自分がそれとどう向き合うか。結局、自分で解決するしかなくて、自分を変えるしかない。でも、そうやって、人のせいにしていたのも、悪いことではないと思っていて。なりたい自分があるからこその“足掻(あが)き”なんだと思う。感情って、自分でコントロールして生まれるわけではないから」
白黒はっきりつけないことも時に大事だと思う
「大人になると、そんな“足掻き”を“若いのね”の一言で片付けられるようになるのがすごいと思うし、実際、私の周りの大人は、“これはいい”“これは悪い”と簡単に白黒つけず、“もうちょっと待てば、もっと頑張れるかもしれない”と子供の私と優しく向き合ってきてくれた。その中で私自身、やるべきことをのびのびと頑張ってこられたし、物事を見る角度を少しずつ変えることを習得して、大人になれたんだと思います」
長澤まさみ/Masami Nagasawa
1987年6月3日生まれ。静岡県出身。『世界の中心で、愛をさけぶ』『モテキ』などVOCE世代の青春を彩ってきた人気作の多くに出演。記憶に新しいドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』でも高い演技力が話題となり、数々のアワードで受賞。来春には、長澤さんが物語の鍵を握る主人公の婚約者役を演じた映画『四月になれば彼女は』が公開予定。
撮影/伊藤彰紀(aosora) モデル/長澤まさみ ヘア/SHOTARO メイク/松井里加(A.K.A) スタイリング/Shohei Kashima(W) 取材・文/楢﨑裕美
Edited by 並原 綾
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