連載 VOCE特別インタビュー

【吉岡里帆】2人の女性が描く優しい関係「女性っていざというとき強い。それが2人になったらさらに最強になる」

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【吉岡里帆】2人の女性が描く優しい関係「女性っていざというとき強い。それが2人になったらさらに最強になる」

先日、10月1日(日)午後10時に最終回を迎える(以降もWOWOWオンデマンドで全話配信)、WOWOW『連続ドラマW 湊かなえ「落日」』。北川景子さん演じる主人公の映画監督と吉岡里帆さん演じる新人脚本家・甲斐真尋役の2人が映画作りのために15年前に起きた“笹塚町一家殺害事件”の真相を探る衝撃のミステリー。改めて吉岡さんにこの作品を通じてどんなことを感じたのか。原作者である湊さんにかけてもらった言葉、女性の強さを改めて感じたという作品への思いを伺います。

──吉岡さんが今回演じた脚本家の甲斐真尋は自分が『見たい』世界だけを作る後ろ向きな性格でしたが、とくに印象に残っているシーンは?

「真尋は過去のトラウマを抱えていますが、それを見せないように生きています。その隠していたトラウマが北川さん演じる監督に見抜かれる。あのときはどういう状況だったのか、あのときはどう思っていたのか。監督に問詰められ、答えたくないのに心情を吐露してしまう。テイク数を何度も重ねられる現場ではなかったので、緊張感もありました。限られた時間の中でピークに感情を持っていくのが難しくて。子供のころのトラウマの話を大人になってから口に出すので、その長い長いため込んできた時間みたいなものをイマジネーションしてくという作業が必要でしたし、言いたくないことを口に出す苦しさもありました。すべてを諦めたように過去の自分の話をするシーンは演じていて怖かったですね。人がずっと隠し続けてきたものを吐き出すときってどういう感じなんだろうと。そこは研究しがいがあるシーンだと思いました」

──実際に演じてみて真尋に対するイメージの変化はありましたか?

「原作小説を読んでいたときは、もう少し地味で暗くて鬱屈としているみたいなイメージでした。けれど、演じていくなかで、監督と女性2人で未来に向かって進んでいくような構成になっているのもあり、どんどん彼女が力強くなっていくんですよね。女性っていざというとき強いなと。現実的だし、強いし、それが2人になったらさらに最強になる。ただ弱い繊細な人だと思っていましたけど、実際に演じてみると、とても芯のある強い子だったのだと思いました」

──そもそも真尋は「知ること」に消極的でしたが、なぜ脚本家になったのだと思いますか?

「個人的に思ったのが、必ずしもエネルギーに溢れている人だけが『書く』わけではないというか。むしろ、外で表現できない、自分が抱えていることを言えないからこそ、『書く』という行為にたどり着いた人なのかなというふうに解釈しました。その方が合点するというか。真尋は才能がないと言われて物語がスタートしますが、それでも脚本家を辞めないのは、どこか彼女が書くことに救われているところがあるのかなと。そういう文字の世界にいることで安心感を覚えたりもしているんじゃないかなと思います」

──今回、演じた脚本家は吉岡さんにとっても身近な職業だと思いますが、脚本家はどんなイメージですか?

「先輩脚本家の黒木瞳さんと対峙するシーンが印象的で。黒木さんの会話のなかで『私達の仕事は現実を超えるほどのイマジネーションが必要』という話が出てきます。今は情報が多い時代だからこそ、私達は現実を上回る速度でイマジネーションして、モノを書いていかないといけない。事実をただ面白おかしく脚色したり、想像だけで勝手に色をつけたりするのではなく、題材に対して真摯に向き合い、きちんと下調べをして取材をし、一つずつ事実を理解した上で、そこに必要な物語をつけて脚本にしてく。それが私達の目指すべきことなのではないか、と。この黒木さんのセリフは今の時代にも何か警鐘を鳴らしているような感じがして。それをする脚本家の仕事は大変というより、こういうスタンスで仕事されている方はかっこいいなというふうに思いましたね」

──黒木さんとお会いしていかがでしたか?

「黒木さんの包容力に感激しました。脚本だとセリフがコンパクトになっている分、黒木さんの役柄は小説より厳しく見えるなと思っていたんですが、実際に黒木さんが演じられることで、奥の方にある本当の優しさや、後輩思いで育てたいと思うゆえに手を差し伸べてくださっている感じが表情から感じとれるんです。言葉で説明をしなくても、お芝居で表現することができるのだと圧倒されました。あと、脚本にはない演出で、私にアドバイスをするシーンで、突然私の肩を強く抱きよせたんです。それが泣きそうなぐらい嬉しくて。こんな頼もしい先輩に導いてもらえたら幸せだろうなと思いましたね」

──昔から湊さんの作品を愛読していて今回湊さんに会ったということですが、どうでしたか?

「ミステリー作品のイメージから気軽にお話ししてよいものかと緊張しましたが、実際には明るくて優しくて、とても可愛らしい方でした。最初は、湊さんに失礼があってはいけない、湊さんの持っているイメージの真尋をそのまま頑張ってトレースできるようにしなきゃ、といった不安感を持っていましたが、お会いしたときに、私のことをまっすぐに見て『こういう顔を真尋はしていたんだなと、今、この日をもって新しく更新されていきます』と言ってくださって。私が演じる真尋を受け入れてくださったのかなと、安心して大きな包容力を感じました」

──原作者の方にそのような言葉をかけていただけると心強いですね。

「今までの湊さんの作品の中でも『落日』は希望をより濃く感じましたと話をして、湊さんも今回はそこが大事な作品だから、とにかくその部分を大事にしてくださったらもう自由に演じていただいて大丈夫ですと。安心して真尋に向き合うことができました」

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人気原作ドラマを演じる難しさは?

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