2017年に惜しまれながら宝塚歌劇団を卒業した、元雪組トップ娘役の咲妃みゆさん! 男役トップスター・早霧せいなさんの相手役として絶大なる人気を誇り、この二人は“平成のゴールデンコンビ”として名を馳せました。
咲妃さんは、4月14日に新宿の新しいランドマークとしてオープンした【東急歌舞伎町タワー】に誕生した【THEATER MILANO-Za】で7月9日より上演されている『少女都市からの呼び声』という舞台にご出演。開幕に向けて最終お稽古の真っ最中にインタビューをさせていただきました。唐十郎氏作、金守珍氏が演出という、いわゆる“アングラ演劇”といわれるストレートプレイに初めて挑戦するとあって、咲妃さんのテンションもかなり上がっているそう。
そんな咲妃さんに現場での様子、そして卒業後ますます美しさに磨きがかかるその秘密を直撃。前・後編の2回でお送りします!
「いつかは!」と出演を熱望したストレートプレイ
VOCE編集部
咲妃さんはずっとストレートプレイに出たかったとお伺いしましたが、出演が決まった今の心境を聞かせてください。
咲妃みゆさん(以下、咲妃さん)
はい。念願かなってのストレートプレイ出演が決まり、とにかく嬉しかったです。同時に、私にとっては大変難しいお役をいただいたので、稽古を重ね、そして本番を迎えてどうなっていくのかまだまだ分からないのでドキドキしています!
VOCE編集部
いつ頃からストレートプレイに興味をお持ちになりましたか?
咲妃さん
宝塚歌劇団を卒業して間もない頃からです。「いろいろな作品に触れるチャンスが巡ってくる、第二の人生が始まったぞ!」と思う中での目標の一つだったので、かれこれ6年になります。
VOCE編集部
ズバリ、咲妃さんが考える「ストレートプレイの魅力」はどんなところにありますか?
咲妃さん
人間の生々しさや共感できる部分、リアリティを感じやすいのがストレートプレイの魅力だと思っています。客席に座ってただお芝居に没入できる時間がたまらなく好きです。心が痛くなる作品も、温かくなる作品もありますが、自分のいろいろな感情を容赦なく引っ張り出してくれるのもストレートプレイの魅力だと思います。
VOCE編集部
そのようなイメージを持たれている中で、今回の脚本を読まれた印象はいかがでしたか?
咲妃さん
物語が分かりやすい作品も素敵だと思いますが、どうなっていくのだろう、理解できないという戸惑いが付きまとう作品にも、私はとても惹かれるので、この「分からない。どうしよう」と最初に思った感覚を大切にしながらやっていきたいと思っています。
VOCE編集部
咲妃さんは『ゴースト』、『ラブ・ネバー・ダイ』、『NINE』や『シャボン玉とんだ宇宙までとんだ』そして、『衛生〜リズム&バキューム〜』など、正統派ミュージカルからオリジナルのものまで幅広いジャンルにチャレンジされていますが、今回はアングラ演劇です。アングラに対してお持ちのイメージや印象を教えてください。
咲妃さん
一筋縄では理解ができないほど、深い深い世界、という印象です。以前、唐十郎さんの『泥人魚』という作品を拝見する機会がありましたが、そのときもただただ衝撃を受け、気付いたら終演していたという……。舞台美術の美しさにも魅了され、美しさと複雑さ、不思議さ、そして恐怖などさまざまなものが混ざり合った世界という印象を持っています。
VOCE編集部
今回、この作品で演じられる役について、少しお聞かせください!
咲妃さん
私が演じるのは【雪子】という少女です。彼女はこの世に存在できなかった人物なんです。兄との再会をきっかけに、「愛とは?」「生きるとは?」「人間の現実世界ってどんなところだろう」とか、そういう“知りたい欲望”を抱き始める女性だと思っています。
VOCE編集部
その【雪子】と咲妃さんとの共通項はありますか?
咲妃さん
彼女の強い生命力を、私は感じました。それは私の中にもきっとあると思います。すごく魅力的なキャラクターで、感情をオブラートに包まず伝える少女だと思うので、そういったところを上手く演じられるといいなぁと思っています。
次ページ
咲妃みゆの原動力とは?