元貴が作る楽曲のサウンドやジャンル、表現の幅がより広がっているのを感じます
──待望のNEWアルバム『ANTENNA』が7月5日に発売されましたね。レコーディングで大事にしたことや、意識していたことはなんでしょう。
藤澤「最近は、ますます元貴が作る楽曲のサウンドやジャンル、表現の幅が広がっているのをそばにいて感じていて。だから僕は、元貴が曲に対して抱く、まっすぐな想いをもっと広げていきたいと思ってレコーディングしました」
若井「僕が大事にしているのは柔軟性かな。レコーディング前日や、時には当日でも、急に新しいフレーズを入れてみようってなったりもするし、『こんな音や楽器を入れてみたらおもしろそうだよね』なんてそれぞれアイディアを出しながら話し合っていて、それがいい方向に転ぶことも多いから」
藤澤「純粋に自分の楽器や音色で、どれだけ楽曲にアウトプットできるかも大事にしていきたいですね」
──藤澤さんが言う「幅が広がっている」ことは、大森さんご自身は実感していますか?
大森「そうですね。僕と若井は18歳で、涼ちゃん(藤澤)は21歳でデビューしたものの、忙しくてその年齢で止まっていたというか。そこから約7年経って活動休止したら、止まっていた時間の皺寄せが来たかのように、いろいろと価値観が変わったんです。それは自然なことのような気がしますけど。今まではこういうこと歌えなかったよな、っていうようなものも、すごく自然に歌詞にしていたりするので、自分でもハッとします。ああ、こういうこと書くようになったんだ、って。自分のことだけど不思議な感覚で、ワクワクも感じながらレコーディングしていました」
“なるようになる”という言葉を自然に使えるようになった。
──例えばどんな歌詞を書けるようになったんでしょうか?
大森「『ケセラセラ』とか。これは“なるようになる”という意味のスペイン語なんですが、3年前には、なるようになるなんて歌えなかった。だって16歳でバンドを組んだ時から“なるようにしたくて”やってきたから。客観視なんてできずに、自分の頭の中にある視点で、ずっとぐるぐる考えてきた感じだったんです。それが“なるようになる”という、ある種の肯定と諦めのちょうど真ん中にあるような絶妙な言葉を使うなんて。酸いも甘いも噛み分けて、なるようになるんだって思えるようになったし、歌えるようになりました」
藤澤「これまで元貴は、表現やアプローチの仕方で、ひとつの悩みや苦しさにフォーカスして深掘っていく曲が多かったんですが、『ケセラセラ』は、悩み苦しむ自分を認めた上で、その先が見えるように導いてくれるというか、背中を押してくれる曲だと思います」
若井「広い目線で書く歌詞が多かったけど、『ケセラセラ』は、聴く人それぞれに寄り添ってくれる感じですね」
──ライブがますます楽しみです。それぞれ、アルバムの中の“推し曲”を教えてください!
若井「僕は『Magic』。ライブをイメージできるような華やかな楽曲だし、早くライブでやりたい! 演奏していても楽しいんです」
藤澤「……たくさんあって悩みますが、『私は最強』。映画『ONE PIECE FILM RED』の提供曲です。この楽曲はエネルギーもあって華やかに聴こえますが、弱い部分や不安な部分を自分自身が感じているからこそ、自分に言い聞かせて一歩踏み出す感じがあって。それが力強くもあり、優しい歌でもあると思います。僕はメイクをしている時とかに聴いて、自分を奮い立たせています」
大森「僕は、アルバムのラストに収録された『Feeling』がすごく好き。この曲ができたことで、『ANTENNA』というアルバムができるなって、確信に変わりました。2分ちょっとしかない曲ですが、展開が早くて、最後は晴れやかに終わる。歌詞もビターな感じがして好きです」
次ページ
メンバーそれぞれの座右の銘を紹介!