4月30日に宝塚歌劇団を退団した元月組娘役の蘭世惠翔さん。卒業をきっかけに本名の“君島憂樹”に名前を戻して、女優・タレント活動を。皆さんご存知の通り、憂樹さんのお母様はVOCEでも大人気の美容家であり、FTCクリエイティブディレクターとして活躍を続ける君島十和子さんです。発売となったばかりの『アラ還十和子』も大好評!
十和子さんは宝塚歌劇団の大ファン。その影響もあって、憂樹さんは小さい頃から宝塚歌劇の生の舞台を観て育ってきたそう。今回のスペシャル対談では、在団中はなかなか語れなかった宝塚歌劇団のことを、十和子さんからは母親目線で、そして憂樹さんからは娘目線で語っていただきました! 笑い声が響き渡る中お二人でポーズを取ってもらった、素敵な親娘フォトもご覧ください!
初舞台はハラハラで気が気じゃなかった
VOCE編集部
前編でも娘さんが宝塚歌劇団に入ってからのさまざまなエピソードをお伺いいたしましたが……タカラジェンヌさんのお母様側のお話を聞くチャンスはなかなかないので、とても興味深いです。歌劇団に入団され、憂樹さんは月組に配属されましたね。初舞台の思い出を教えてください!
君島憂樹さん(以下、憂樹さん)
初舞台公演は星組でした。北翔海莉さんと妃海風さんがトップ時代の『こうもり/THE ENTERTAINTER!』という演目の初舞台生でしたが、初舞台ロケットとは別に102人で行うロケットがあって、それを星組生の方と一緒にお稽古しました。初舞台生というのはわりとお客さんみたいな感じなのですが、そのときは星組の方が“組子”として接してくださり、面倒を見てくださったのがとても印象に残っています。
VOCE編集部
初舞台は嬉しかったでしょうね!
憂樹さん
「宝塚に入れた! 嬉しい!」という思いは初舞台の初日くらいで、あとはもう、40人も同期がいるので、「手袋がなくなった!」なんていうトラブルも日々あり、ただただ慌ただしくて予科生に戻ったような感覚でした(笑)。
VOCE編集部
観客側からしても、初舞台生が出る舞台を観るのは緊張します(笑)。
憂樹さん
でも初舞台が終わるときは今まで2年間苦楽を共にしてきた同期と離れるのが寂しかったですし、本当に厳しくも温かく育ててくださった星組の方と別れるのも辛かったです。そんな気持ちの余韻を感じることもなく、私が所属していた月組はすぐに集合日を迎えたので、あの頃は怒涛の日々でした。
VOCE編集部
十和子さんは憂樹さんの初舞台をご覧になられて、いかがでしたか?
君島十和子さん(以下、十和子さん)
初舞台の初日は最下級生の親となるので、一番後ろのお席になるんです。同期生のお母様方が隣に座っていらして、皆揃ってオペラグラスを使い、必死に自分の娘を探すという……(笑) オペラで観ながら、涙を拭き、またオペラで娘を探す。その繰り返しでしたね。不思議なんですけど、全員同じ衣装を着ているのに、自分の子どもが階段を降りてきたらすぐに分かるんです(笑) どのお母様とお話ししても、同じようにおっしゃっていました。
憂樹さん
後頭部とか、走り方で分かるみたいです(笑)。
十和子さん
そうね(笑) 嬉しいという実感があったのは初日くらいで、あとは失敗するんじゃないかとか、階段から転げ落ちないかとか、そういうことばかりが気になってしまい、ストーリーがまったく入って来なかったです。あんなに宝塚を好きな私が、3回観ても全容が頭に入らないんですよ(笑)。
VOCE編集部
気が気じゃないですよね。
十和子さん
下級生の頃の男役って、後ろのほうに立って揺れているだけだったりするじゃないですか。ダンスの振りが付いているわけでもないので。そうすると「え? 憂樹はトイレ行きたいのかしら?」って思っちゃって(笑) 他の子も皆同じように揺れているのに、それは見えてないから「大丈夫かしら?」ってずっと思っていました。もうあの頃は楽しむどころじゃなかったから(笑)。
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退団を決意したとき、母は?