「女優になってから、いろいろな視野が広がりました」 (壮一帆)
―2012年にオフ・ブロードウェイで誕生したミュージカル『Now. Here. This.』。今回、東京、埼玉、大阪、名古屋で公演されますが、お二人が演じられる役に関して教えてください。
壮一帆 「私にとっては久しぶりの海外ミュージカルということで歌の音取りだけでワクワクしていたんです。私が演じる役を言葉で具体的に説明するのは難しくて。ざっくりとお伝えすると、“博物館そのもの”みたいな感じかなぁ。結構抽象的な役なんです。演出家の方と色々な役作りをしているところなので(取材当時)、どんな着地点になっているかどうか楽しみにしていてください」
愛加あゆ 「この作品では博物館に行く4人のメインキャラクターが出てくるんですけれど、私はその中の一人で、常に働き回っている女性を演じます。なぜそうなったのかという理由がストーリーで明らかになっていくんですが、過去にすごくコンプレックスを抱いている設定で、そこから足掻いて幸せに生きていくということをいろいろ考えていく役。観る方によって解釈は全然違うんじゃないかな。そういうキャラクターごとの過去や特徴が舞台で描かれているので、自分にとって共感できる部分を見つけていただけたら嬉しいです」
―今までの人生で、何かをきっかけにご自身が変わったことはありますか?
壮一帆 「女優になってから、心が穏やかになったかも!」
愛加あゆ 「(笑)」
壮一帆 「なんだろう、緊張感の割合というのは圧倒的に宝塚時代の方が多かったので、それによって研ぎ澄まされた感覚はあったんですけど。いい意味で今はそれが緩まって、よりいろいろなことに目が向くようになりました。読む本のジャンルも広がったし。昔は絶対に読まなかったエッセイだって、今はこういう考え方もあるんだな、と他の人の考え方ややり方を受け入れながら読めるようになったので、すごく変わったなと思います。いろいろな作品や共演者の方たちと出会って、視野を広げていただきました」
愛加あゆ 「私も退団して少し経ってから、考え方が広がりましたね。女役だったらこう、男役だったらこう、という風に考えて言葉を選んだりしていたけれど、今は自分は自分でいいんだって思えるようになりました。現役時代は、『こういう娘役を目指す!』というところがあったので。退団したての頃は、本当の自分が何なのか迷走していましたけど(笑)、女優活動を重ねたことで、ようやく『自分とは何だ?』と考えなくても大丈夫になった気がします」
「壮さんは、昔から変わらない魅力がずっとあるんです」 (愛加あゆ)
―壮さん、愛加さん、それぞれ魅力的な素顔を教えてください!
愛加あゆ 「周りの皆さんを和やかにさせる空気感や、リードして引っ張っていく力がすごくあって……。これは昔から変わらないので、元々持っていらっしゃる魅力なんだなと、今回の舞台のお稽古を通して改めて思いました。その場にいてくださるだけでシャキッとさせてくださるんです。なんだか落ち着きますね」
壮一帆 「あれ、緊張させちゃってる? 大丈夫?(笑) あゆっちは本当に人に対してすごく優しいんですよ。今回も歌稽古中、自分の中にコンプレックスがあったり、学校へ行けなかったから文字が読めなくて……と役について説明をしているとき、ボロボロと泣いていたんです。そういう、いくつになっても変わらない優しさが彼女にはあって。人として忘れてはいけないものを思い起こさせてくれるし、そういう部分が本当に素敵。私が好きだなぁと思う部分です」
―現役時代と比較して、美容に対する意識で変わったことはありますか?
愛加あゆ 「当時はメイクにしても肌にしても、外側から取り繕ってすごく頑張っていたんですが、今では肌をキレイにするためにはどんなケアをすれば良いか、髪質を良くするためには何を摂取すれば良いのかなど、内側からのメンテナンスのことを考えるようになりました。私はもともとアレルギー体質で肌が弱いので、まずは皮膚科に通い出して土台を整えることに注力。そこから、信用できる基礎化粧品を使ってケアをしています。そうだ、読者の皆さんに声を大にしてお伝えしたいんですが、肌荒れを改善する薬の乱用には本当に気をつけてください! 昔、私自身が塗り薬を長期間使い過ぎてしまって、余計に肌がボロボロになってしまった経験があったので……。先生の言うことや用法用量は、きちんと守ってくださいね(笑)」
壮一帆 「内側からのメンテナンスは私もそうかも。宝塚を退団したのが39歳なんですが、40歳になったときに人生折り返し地点に来たんだなと思ったんです。そこからは、年齢を聞かれたときにきちんと答えられるような歳の重ね方、美のケアをしていきたいというのが目標になりました。そのために、質の良い睡眠を取る、ジャンクフードはなるべく控えて胃腸や内臓の調子を整える。今はこのご時世なのでなかなか出来ないのですが、気の合う友人たちと楽しい食事をしながら会話をするというのも私にとっては最高のデトックスなので、普段からそういう時間を大事にして、内側からキレイを目指すようにしています。一つ指標になっているのは、私の母親。もう70歳を過ぎているんですが、肌質がとっても良くて憧れなんです。いつもキレイだなぁと思うので、洗顔後のタオルやスキンケアはこすらない美容を心がけていますし、今では素材を良くしようとすごく気をつけていますね」
「“整える”という意識は、女性を美しくしてくれる」 (壮一帆)
―日々、美しくいるためのマイルールはありますか?
壮一帆「コンビニに行くだけでも眉毛は描いたり、近所の買い物でもナチュラルなメイクをする!というのが今のマイルールです。それこそ現役時代はオフの日はすっぴんが当たり前だったんですが、今ではマスクをしていても、舞台の稽古時も、メイクはしていきます。整えるという意識やある程度の緊張感って、女性として美しくいるためには絶対に必要だなと思うようになったんですよね」
愛加あゆ 「私は基本的なことなんですが、どれだけ疲れていても毎日必ずお化粧を落とすこと。あと、毎日お風呂に入って湯船に浸かるのもマイルールです」
―それでは最後に、お互いに美しいなと感じるパーツを教えてください!
愛加あゆ 「あ、じゃあ私からお話していいですか? 壮さんの鼻と輪郭がすっごく好きです!」
壮一帆 「え〜! 私、鼻もう少し高くなりたいよ(笑)」
愛加あゆ 「いえいえ、全然シュッとしてますよ! ずっと憧れています」
壮一帆 「ありがとう(笑)。私は、宝塚現役の頃から髪がすごくツヤツヤでキレイだなと思っています。女性の美しさを表現する上で髪の毛ってとても大切なパーツだと思うので、いつもキレイなあゆっちは普段から本当にケアしているんだなぁと。よく美容室にトリートメントしに行っているんだよね?」
愛加あゆ 「はい。あとは髪を乾かすときも必ず保湿ケアオイルを塗ってから丁寧に乾かすようにしていますね。壮さんにそう言っていただけて嬉しい! ありがとうございます」
壮一帆(そう・かずほ)
PROFILE:1975年8月7日生まれ。兵庫県出身。1996年、宝塚歌劇団に入団し、2012年、雪組トップスターに就任。2014年に退団後は、ディナーショー『So Wonderfull!!』(’15)やミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』(’16)、『Le Père 父』(’19)など多くの作品で活躍。今後は2021年2月に音楽劇『プラネタリウムのふたご』、3月に『サイドウェイ』が控えている。
愛加あゆ(まなか・あゆ)
PROFILE:1987年10月18日生まれ。富山県出身。2005年、宝塚歌劇団に入団。2012年、雪組トップ娘役に就任する。2014年に退団後、 舞台『錆びつきジャックは死ぬほど死にたい』(’15)、ミュージカル『深夜食堂』(’18)、ドラマ『おじさんはカワイイものがお好き。』(’20)に出演するなど幅広く活躍。今後は2021年5〜6月にミュージカル『ブロードウェイと銃弾』が控えている。
ミュージカル『Now. Here. This.』
自然史博物館へやってきたハンター、ジェフ、スーザン、ハイジ。まるでタイプの違う4人。地球の起源、生命と進化、ヒトが誕生するまで……。いわば、多くの生命と自分たちのDNAの神秘と歴史を辿り、これまでの人生で自分の身に起きた楽しい思い出や辛い経験に想いを馳せる。今(now)、ここ(here)から、何(this)と向き合い、生きていくのかー。世界が苦難に向き合う今だからこそ、全ての人類へのエールとして届けるユニークなサイエンス・ヒューマン・コメディ。
東京公演:2020年11月28日(土)〜12月13日(日)
埼玉公演:2020年12月16日(水)
大阪公演:2020年12月19日(土)
名古屋公演:2020年12月27日(日)
https://www.nowherethis.jp
【出演】
[earth] 浜中文一、木内健人、愛加あゆ、彩乃かなみ、壮一帆、鈴木壮麻
[water] 浜中文一、寺西拓人(ジャニーズJr.)、小此木麻里、綿引さやか、今泉りえ、吉田要士
ヘアメイク/大宝みゆき スタイリング/ゴウダアツコ 撮影/瀬津貴裕(biswa.) 取材・文/高橋夏実
Edited by 三好 さやか
公開日: