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『逃げ恥』『アンナチュラル』【人気脚本家・野木亜紀子】はなぜ“戦う女”を描くのか

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野木亜紀子

『アンナチュラル』『MIU404』など数々のヒット作品を生み出す、超売れっ子脚本家・野木亜紀子さん。最新作『連続ドラマW フェンス』が現在WOWOWで放送・配信中。女性たちが表に出せない本音を、ドラマを通していつも代弁してくれる野木さん。これまでのヒット作を紐解きながら、野木さんが描いてきた女性像についてお話を伺いました。

目次

PROFILE
野木亜紀子
野木亜紀子

脚本家。代表作に映画『罪の声』『アイアムアヒーロー』『犬王』、ドラマのオリジナル作品に『アンナチュラル』『MIU404』『コタキ兄弟と四苦八苦』など。『獣になれない私たち』で第37回向田邦子賞を受賞。

■インフォメーション

『連続ドラマW フェンス』

復帰50年を迎えた沖縄を舞台に、東京のライター“キー”(松岡茉優)と、沖縄で生まれ育ったブラックミックスの“桜”(宮本エリアナ)のバディが性的暴行事件の真相を追うエンターテインメント・クライムサスペンス。WOWOWにて毎週日曜午後10時より放送中、WOWOWオンデマンドにて配信中 [無料トライアル実施中]。ほかに、青木崇高、與那城奨(JO1)、三石研らが出演し、新垣結衣が特別出演する。

『逃げ恥』『けもなれ』『フェンス』野木さんのドラマがつくってきた女優“新垣結衣”のイメージ

野木亜紀子 フェンス
最新作『連続ドラマW フェンス』で沖縄の精神科医・城間薫役を演じる新垣結衣

──最新作『連続ドラマW フェンス』では、沖縄出身の新垣結衣さんも出演されています。『空飛ぶ広報室』(有川ひろ原作、2013年、TBS系)、『掟上今日子の備忘録』(西尾維新原作、2015年、日テレ系)、『逃げるは恥だが役に立つ』(海野つなみ原作、2016年、TBS系)、『獣になれない私たち』(2018年、日テレ系)と新垣さんとは濃密な時間のなかで信頼関係を築かれていると思います。野木さんにとって新垣さんはどういう存在でしょうか。もはや野木さんが新垣さんのパブリックイメージをつくってきたといっても過言ではないと思います。

野木亜紀子さん(以下、敬称略)「それは明らかに言い過ぎだと思います。他にもたくさんお仕事をされているし、おこがましい話です。それはそれとして、イメージという点でいえば、『獣になれない私たち』(以下『けもなれ』)では、“かわいい”じゃない魅力を見せたいなあという思いがありましたね。ああいうアンニュイな新垣さんが、私は好きなんです」

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発売元:TBS 発売協力:TBSグロウディア 販売元:TCエンタテインメント
©海野つなみ/講談社 ©TBSスパークル/TBS

──『けもなれ』で新垣さんが演じた晶は、常に笑顔で仕事は完璧で、誰からも好かれて愛される女性でしたが、それは彼女の身を削る努力で成り立っているという役でしたね。みんなに気を遣い我慢し続けていたら、次から次へと仕事がやってくる。男性中心の社会の中で奮闘する晶の姿に共感する女性たちはとても多かった印象があります。

野木「ありがとうございます。ただ、受け身のまま抜け出せない状況にイライラするという意見もありました。あれは『獣になれない』人が、いかに抜け出せないかという話なので、どうしてもそうなってしまうのですが(笑)。あのときの新垣さんは、そうした周囲のイライラも含めて、“深海晶”というキャラクターを完璧にとらえた素晴らしいお芝居でした

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『けもなれ』は会社員時代に感じた疑問から生まれた

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