元タカラジェンヌ特集にも一度登場してくれたことのある、ちゃぴちゃんこと愛希れいかさん。2022年はまさに“ちゃぴちゃんイヤー”と言っても過言ではないほどの活躍ぶり。「これ一本にかけました」と語ってくれた『エリザベート』博多座での公演中という激務を縫って、その疲れを一切見せることなく、インタビューに答えてくれました!
愛希さんが出演される次の作品は、ミュージカル『マリー・キュリー』。ノーベル物理学賞、ノーベル化学賞を受賞し、パリ大学初の女性教授職に就任したという、誰もが知っている超有名な歴史上の人物『マリー・キュリー』を演じます。韓国生まれのこのミュージカルは公演時にあらゆる賞を総なめにしており、今回は日本での初上演とあってミュージカル界からの期待感も相当なもの!
前編ではミュージカル『マリー・キュリー』への想いを語っていただきましたが、後編ではインタビュー時に大千穐楽を迎える直前だった『エリザベート』の秘話を伺いました。愛希さんが【シシィ】を演じながら舞台で抱いていた心情や舞台裏トークなど、ここでしか読めない話題がたくさん! 毎日体力勝負の舞台に立つためのオンとオフのスイッチングの秘密など、愛希さんの本音に迫ります。
『私だけに』という曲がお客様の背中を押す“応援歌”になれば
VOCE編集部
改めて、『エリザベート』のお話もお伺いしたいと思います。宝塚歌劇団を退団後初めてシシィを演じられた2019年と今回と、ご自身の中で大きく違ったことはありましたか?
愛希れいかさん(以下、愛希さん)
2019年のときは宝塚を卒業したばかりで、宝塚以外の舞台が初めてという状況でした。本当に“いっぱいいっぱい”という言葉に尽きるという感じで、周りもまったく見えてなかったですね。とにかく必死。だから、むしろ全然覚えてないくらいなんです。
VOCE編集部
そうだったんですね。
愛希さん
本当に「あの時はどうだったかしら……」と思い返しても、ただただ日々シシィを演じていたという感じだったと思います。そこからいろんな舞台や映像作品を経験させてもらい、さまざまなカンパニーの人たちに出会うことができて、今回はそこで影響を受けたことがとてもプラスになっていると思います。
VOCE編集部
大作にもたくさん出演されていましたしね。
愛希さん
ありがとうございます。そしてもう一つ、このコロナ禍になって、『エリザベート』のテーマでもある【死生観】というようなものが変わってきたというか……。生きるとか死ぬということについて考えることが多くなったんです。
VOCE編集部
確かに、2019年と今とでは私たちを取り巻く環境がガラリと変わりました。
愛希さん
はい。そういった期間を経て『エリザベート』と向き合ったときに、自分の中で“変わった”というより“実感できた”という感覚で役に入ることができました。技術的な面に関しては、前回より成長できるようにといろいろ準備はしてきましたけど、やはり16歳から60歳くらいまでを演じるので、人生経験を重ねるほど深まっていく役なんだろうと、改めて感じています。
VOCE編集部
今回、よりシシィの心情に自分を重ねられたというか、納得できたところはありましたか?
愛希さん
一番のテーマソングでもある『私だけに』ですが、あの曲に関しては、きっと今の私もお客様も以前とは感じ方が変わっているのではないかなと思ったんです。いろんな世界の情勢が動き、変わってきましたが、その変化を私を含めたお客様全員が経験しているからこそ、作品を観たときに以前とは違う想いを抱いていらっしゃるのではないかと。
VOCE編集部
そういった感覚を、特に『私だけに』というナンバーの中で感じられたんですね。
愛希さん
『私だけに』という曲では、シシィに自我が芽生えて、自分を尊重して生きることを歌っていますが、あのあふれ出るエネルギーが観てくださっているお客様の背中を押す“応援歌”みたいなものになればいいなって思ったんです。
VOCE編集部
応援歌! 確かにあの曲にはシシィの毅然とした意志を感じます。
愛希さん
上演中はもちろんシシィの心の流れのままに歌うのですが、それを聞いている観客の皆さんがそういうふうに強く感じてもらえればいいなぁと。上手くできたとは思わないですけれど、私の中では一番と言っていいほど愛情をかけた曲です。あとは『魂の自由』もそうでしたね。
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