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燃え尽きないように……見直す鍵は「期待を捨てること」
なお、感情労働による「バーンアウト(燃え尽き症候群)」を避けるには、他者に「過度な期待をしない」ことも大きなポイントです。あの人に嫌われているかもしれない、あのときいやな気持ちにさせたんじゃないか……。そんな予想が働いてしまうと、堂々巡りからなかなか抜け出せません。その予想も大概は間違っていたり、自分がどうすることもできないものがほとんどです。
人間は命の危険から守るために、過去の記憶と照らし合わせて勝手に「予想」してしまう生き物。そうした性質なのだと割り切って、他者への期待は思い切って捨ててしまうことです。他者に期待することをやめれば、堂々巡りに使っていたエネルギーを有効活用することだってできるでしょう。私達は人の気持ちを読むことにエネルギーを使いすぎて、自分の好きなことができなくなっているのです。
最後に感情労働をする方へ。モラル上、正しくなさそうな感情が産まれても、罪悪感を抱かないで
接客業や、患者・子ども・お年寄りをケアするお仕事の方は、「善人であるべし」との思いが人一倍強いかもしれません。ですが、子どもが可愛いと思えない、病人やお年寄りを大切にできない……そんな感情が湧いてくることもあるはずです。そんなとき、どうか罪悪感を抱かないでほしいのです。
他者のために感情をコントロールし続けている人こそ、自分の本音をアウトプットする練習が必要です。話すことさえ憚られるような感情が湧き出てきたら、紙のノートに「日記」で吐き出していくのもおすすめです。そのときだけはモラルや社会の目は一切考えず、自分の感情に素直になってみてください。
他者をケアする仕事を選んだ人は、もともと感情の資源が豊富な傾向にあるのではないでしょうか。そんな人が「他者を大切に思えなくなってきた」としたら、感情労働によって脳が疲れ切っているシグナルかもしれません。他者に対して乱暴な言葉をぶつけたり、人を傷つけたりしない限り、心の中にどんな感情が芽生えようと、誰にも咎められはしないのです。
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取材・文/金澤英恵 イラスト/日向山葵
Edited by 関野 桃子
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