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感情労働をするあなたを救う、脳のセルフケア
【1】悩みの根本原因は取り除けない! 忘れる≒没頭するのが一番
そもそも、私たちの「悩み」は尽きることはありません。先日あるラジオ番組の相談コーナーで、小学生の女の子から「1秒たりとも悩みが消えないのはなんでですか?」という質問がありました。友だちと喧嘩して仲直りはしたけれど、その後もずっと気になっているとのこと。確かに大人でも、上司に怒られたり、失恋したり……いやな記憶をすぐに消し去ることは難しいものです。
また人の気持ちに正解はなく、他者とかかわる悩みは、いくら悩んだところで「解決しない」のも現実。ですからそんなときは、何かに「没頭」するようにしてみるといいでしょう。その瞬間だけは何もかも忘れられる――そんな時間を過ごすことで、感情の悩みをオフに切り替えることができるはずです。
もし「没頭」できるような趣味がない人は、凝った料理を作ってみる、大好物を食べるなどでもOK。自分が集中できること、気持ち良いと思えることを試してみましょう。「悩みを無理やり忘れようとする」のは自分に意識が向いてしまうので逆効果。「没頭していたらいつの間にか忘れていた」が感情の悩みを軽くするポイントです。
【2】たまにはスマホもお休み。自分の脳に記憶を残す
スマホで撮影した写真や動画で、コミュニケーションをとる時代。その恩恵にも思わぬ落とし穴があります。例えば、休暇を取って友だちと旅行に行ったあなた。完全オフのつもりでも、絶えずカメラを向けられ、つい「よそいき」スイッチが入っていませんか? これでは、素の自分を出すことができず、休めるはずの脳も休めなくなってしまいます。さらに、写真を撮ることで脳は、「私は記憶しなくていいや〜」と“サボりモード”に切り替わるので、旅行の記憶そのものが薄まってしまうという弊害もあります。
この「記憶する」という行為、じつは脳に充実感を与えてくれる、とても素晴らしいアクションとされ、結果として脳を休めることができるのです。旅先ではきれいな景色は目に焼き付ける、美味しい料理は目と舌でじっくり味わう、友だちとの会話を飾らずに楽しむ。そんなふうに「記憶に残す」ことに専念したほうが、脳の疲れも取れて鮮明な思い出が残る、素敵な旅になるかもしれません。
【3】主体性≒自分の感情の決定権を取り戻す
感情労働のセルフケアは、働きながら行うこともできます。その方法は、感情の「主体性」を取り戻すこと。会社に要求されたことだとしても、「これを感じているのは私なんだよ」と受けとめたり、会社の中や外で「私がやりたくてやっていること」を見つけたりすることです。
会社のルールや人間関係のバランスの下で働く大人たちは、本当の感情を表に出すことはほとんど許されません。それはつまり、「自分の感情の権限を会社に引き渡している状態」とも言えます。このままでは感情の持ち主としての主体性が薄れ、自分を見失い、ひいては脳も疲弊してしまいます。これは感情労働に限らず、普段周囲に合わせがちな人にもいえることです。
「本当にやりたいこと」を見つけることは、感情の決定権を取り戻すための第一歩。小さなことでもいいので、没頭する時間を作って、自分で自分の感情をコントロールする機会を設けましょう。
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