「いろいろな人に支えられているんだなと再認識しました」
―今回演じられた加賀颯太という役についての印象を教えてください。
「すごく成長していて、大人だなという印象です。人として大切なこととか、本質の部分とかをすごく理解している人なんだろうなって。性格は暗いんですけどね(笑)。台本上には颯太自身のバックボーンがそこまで描かれていないので、現場でどう構築していくか、自分の中での想像、監督とのセッションなどが、今回の役での課題になるなと思っていました」
―演じる上で、杉野さんご自身が共感する部分は?
「颯太が遥に対して『じゃあお前は車椅子になる前、誰の手助けも受けなかったの?』って言うセリフがあったんですけど、これは僕自身も気付かされた瞬間でしたね。今の状態で本当に幸せだし、色々な人に支えられているんだなとすごく思いました」
―最近、杉野さんが助けられているなと感じた瞬間は?
「こうやって取材をしていただいている間も、見つめ直してみると本当に色々な人から助けられているし、自分一人じゃこの仕事はできないんだなっていうのは常日頃思っています。あと最近改めて感じたのは、お母さん。つい昨日、アーティスト吉田山田さんの『母のうた』という曲を聴いたんですけど、ものすごくグッときちゃって。今までも今も、ずっとお母さんに支えられてきたんだと再確認しました」
―その後、お母さんにご連絡されましたか?
「今日、『明後日何してんの?』みたいな連絡はしました。ありがとうとか恥ずかしいから間接的な感じだけど。プレゼントとか渡したいなと思います」
「高身長がゆえに、昔から電球交換担当です(笑)」
―主人公・遥を演じた中条あやみさんの印象と、遥らしいなと感じた部分を教えてください。
「中条さんとは、映画『覆面系ノイズ』で共演させていただいたんですけど、その頃と印象はいい意味で変わらないです。明るいし笑顔が素敵だし、中条さんが笑っているだけで周りが楽しくなって、現場がいい空気感になっていく。それって本当にすごいことだし、素敵だなと思って尊敬しています。遥とかぶるところもあります。前回の役では歌、今回はカヌーと、どちらも役に入る前の準備が大変だなと客観的に思っていたんですけれど、苦しくもがきながらも自分でやりたいと努力したり、弱みを人に見せないという負けず嫌いな部分など、そういう姿勢を隣で見ていたので、そこはもう遥そのものでした。役と共通するところがあったので、遥の仲間を演じる上で僕自身も助けられました」
―遥との出会いは、図書館で颯太が本を取ってあげることがきっかけ。高身長男子だからこそできるシーンでもあるかと思いますが、杉野さんが実際に経験した、高身長ならではのエピソードは?
「女性男性関係なく、自分以外の家で電球とかは替えます。僕がやった方が早いんですもん(笑)。椅子やハシゴをわざわざ持ってきて替えるのは大変じゃないですか。高身長男子が電球担当になるのは、しょうがないなぁと思っています」
―映画『水上のフライト』では奇跡の復活を目指すヒロインのストーリーを描いていますが、もし杉野さんの目指している道が閉ざされたとしたら、どうやって乗り越える?
「それをどう受け入れるかですよね。挫折もそうだけど、人生どんな辛いことがあっても、それ自体に意味があると思うんです。じゃあその上で、自分は何が良くなかっただろう、なにか間違っていただろうかっていうことを自分なりに考えて、改善点を見つけ出す。考えすぎも良くないけれど、辛いことが起こる要因を改善して次に進めるいい機会なんじゃないかなと思うようにしています。僕も過去にそういう経験がありますけど、それがあるから今があるんだろうなと感じるし、それの繰り返しな気がします」
―今そのような状態にいる人に向けて、かけたい言葉は?
「羨ましい!って伝えたい。その人が人間的に成長できるし、素敵になるチャンスだから。先日、現場でたくさんNGテイクを重ねて、みんなに迷惑をかけたって落ち込んでいる優しい方がいたんですけど、その方にかける言葉も羨ましいしかなくて。それだけ監督に熱を入れてやってもらえたり、自分が成長したり強くなるきっかけがあるということだと思うんです。でもそれを実際に伝えたら、『なんだよ〜!』って怒られちゃいましたけど(笑)。僕も、失敗したその瞬間にそういう気持ちになるのは難しいときもあるけれど、意外とすぐその後には、嬉しいことだなって思います」
Q &A「最新事情を教えて! 杉野遥亮の10問10答」
Q1.おうち時間、何してる?
「最近は家具や雑貨を集めているので、ネットサーフィンをいろいろしています。ソファ、椅子、観葉植物……既に色々買いましたね。家の中をほっとする空間にしたいんですよ。森みたいに(笑)。コーデュロイ素材で緑色のソファがもう少しで届くんですけど、それが今一番楽しみです!」
Q2.朝と夜のルーティーンは?
「僕、出発時間の約15分前に起きるから、ルーティーンがないんだよなぁ。起きて歯磨きして飛び出るだけ。あ! でもコーヒーを飲むっていう習慣をつけたいから、それをルーティーンにしようと努力しています。夜は、ストレッチをする、というのをルーティーンにできるようにしています。ストレッチポールも買ったし、絶対にした方がいいなぁと思いつつもまだ習慣にはなってないないから。これからルーティーンにしたいです」
Q3.おうちでの髪型、服、居場所は?
「おうちの中では、ジャージか部屋着しか着ていないかも。休日に外出するときは、自分の気分が高まる服は着たりしますけど、おうちだと夏場とかパンツ一丁だし……(笑)。髪型も寝癖がついたまま。コンビニくらいなら、キャップ被って外にGO、ですね。よくいる場所は、ダイニングテーブルの椅子やベランダに置いてある椅子。でも、これからは新しいソファが僕の居場所になると思います」
Q4.オフの日の過ごし方は?
「服を見に行きます。でも、移動が楽な洋服、おしゃれな洋服、部屋着、パジャマと色々な方向で見るから、結局何も買わずに疲れて帰ってくるんですけどね(笑)」
Q5.最近のマイブームは?
「『鬼滅の刃』! 自粛期間中にハマって、映画も観に行ったんですよ。めちゃくちゃ泣きました。もう一度観に行きたいなぁ」
Q6.杉野さん的・美のこだわりは?
「美に繋がるかどうかはわからないけれど、自分が自分に正直でいれば、若くいられるんじゃないかな、とは思っています。我慢しすぎないようにしたり、ストレスを溜めないことって大事だから」
Q7.新しく取り入れた美容法は?
「ヘアメイクさんからオススメしていただいた美顔器を購入して使っています。ビリビリと電気が流れるやつ。大事な日の前にはそれで肌をケアしています」
Q8.健康のために気をつけていることは?
「なんだかんだ、運動はしているかな。作品の役作りでもそうですけど、自粛期間中もずっと身体動かしてたなと思いました。自信のあるパーツとかは特にないんですけど(笑)」
Q9.ストレス発散法は?
「それが汗をかくことに繋がるのかもしれないです。最近は行けていないけど、サウナも好きなんです。サウナーの磯村勇斗くんからも昨日『何してるの?』ってお誘いがきました。一応このご時世なので、落ち着いたらまた一緒に行こうって話しています。早くサウナに行きたいですね」
Q10.今一番したいことは?
「のんびり1ヶ月くらい休みをもらって、日本を旅行したい。1ヶ月は飽きるかなぁ。いや、2週間で日本中を周って、残り2週間ダラダラするのもいいですね」
杉野遥亮(すぎの・ようすけ)
PROFILE:1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2015年、雑誌『FINEBOYS』の第12回専属モデルオーディションでグランプリを獲得。映画『キセキーあの日のソビトー』(’17)で俳優デビュー。その後、映画『兄に愛されすぎて困ってます』(’18)、ドラマ『グッドモーニング・コール our campus days』、『ゼロー一攫千金ゲーム』(ともに’18)、『ハケンの品格』(’20)など話題作に多数出演。今後はドラマ『教場II』が2021年1月3日(日)・4日(月)に放送、映画『東京リベンジャーズ』が2021年に公開を控えている。
映画『水上のフライト』
©︎2020 映画「水上のフライト」製作委員会
走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していた遥(中条あやみ)。しかし、突然の不慮の事故で二度と歩くことができなくなってしまう。将来の夢を絶たれたことで心を閉ざし、自暴自棄に陥っていた遥だが、ある日“カヌー”という新たな夢を見つける。母(大塚寧々)や仲間(杉野遥亮)、恩師(小澤征悦)と周囲の人々に支えられ、どん底からの道を切り開いていく―。
全国公開中
出演/中条あやみ、杉野遥亮、高月彩良、冨手麻妙、大塚寧々、小澤征悦
撮影/塩谷哲平(t.cube) 取材・文/高橋夏実
Edited by VOCE編集部
公開日: