美容ライター
楢崎裕美さん
主力アイテムに軒並み搭載 単か。多重か。今、リポソームがアツい!
2021年は美容液で、2022年はクリームで、コスメデコルテはリポソームという名を鮮烈に印象づけたが、リポソームへの情熱を感じるブランドはほかにも! そもそもリポソームとは、薬剤をカプセルに封入して体内の届けたい場所に届ける、医薬品で用いられてきたデリバリー技術のひとつ。
大きく分けて種類は2つあり、まず、コスメデコルテとトランシーノの新作が採用しているのが、多重層リポソームだ。リン脂質でできた膜を玉ねぎのように幾重にも重ねて、その層と層の間に有用成分を封入。リン脂質は肌との親和性が高いため、成分を抱え込んだまま肌の中へ入り込み、その後、膜が溶けて剝がれて、成分が肌の中へ放出され、また次の膜が溶けて、を繰り返す。つまりジワジワと満遍なく行き渡らせることが得意であり、肌内に長時間滞留させたい成分向き。
さらにコスメデコルテは、独自の多重層リポソーム自体に、肌のラメラ構造そのものになって水分保持機能を補強する効果があることに着目。リポソームの美肌効果にもこだわる。
対して、膜が一重で薄く、そのぶん、有用成分をたっぷりと入れ込んでガツンと攻め込めるのが単層リポソームの強み。アスタリフトは、表皮用と真皮用、それぞれに単層リポソームを開発しており、新作ではメラノサイト幹細胞に照準を合わせて表皮用を採用。中には水溶性、膜自体には油溶性のエキスを組み込み、同時に届けることで相乗効果を狙う。
そして、1986年の初代カプチュール誕生当時からリポソームを採用してきたのが、ディオールだ。新美容液では、単層リポソームで有用成分をたっぷり肌内へ送り込み、放出後はサーファクチンというペプチドがキャッチして、ターゲットの表皮幹細胞へ到達させるという最先端の2段階システムを搭載している。
いずれも、どこにどの成分でどう働きかけるのがベストかを練りに練ったうえでの選択であり、知れば知るほど単純に成分だけでは語れない!と改めて。
撮影/藤本康介
Edited by 並原 綾
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