今回のゲストは元宝塚歌劇団・宙組男役スターの留依まきせさん。歌はもちろん、ダンスに演技と3拍子そろった確かな実力を持ち、宙組の舞台で存在感を示していらっしゃいました。芯の強さと、高いプロ意識、そしてブレないご自分の世界観を持った留依さんの今後のご活躍が楽しみでなりません。今回は宝塚時代のお話を伺っています。記事の最後にはスペシャル未公開カットも掲載しますので、最後までご覧ください。
怪我を経て、自分の考え方や生き方がすごく変わったので、あの時立ち止まったことは自分にとってはプラスになっていると思います。
美夢ひまり(以下 美夢)
前回の記事ではご卒業された今のお気持ちなどを伺いました。今回は宝塚時代のお話も伺っていきたいと思うのですが、在団中は怪我での休演や、コロナウイルスの影響など大変なことも多かったと思うのですが、どのように乗り越えてきましたか?
留依まきせさん(以下 留依さん)
下級生の頃、怪我で休演したときは本当にこの世の終わりかと思いましたね。休むなんてありえないと思いましたし、研5の試験も受けられなくて、あの時の気持ちを忘れることは一生ないと思います。
美夢
そうですよね。
留依さん
今となっては「え? あの作品出ていなかったっけ?」と言われるくらいの感じなのですが、当時は全休する人なんてほとんどいなくて、焦りましたね。
美夢
焦りますよね。
留依さん
でもその時の自分を振り返ると、ものすごく前のめりで焦っていて、自分で自分にストレスをかけてしまっていたんですよね。空回っていたから怪我をしてしまったのだなと思います。
美夢
なるほど。
留依さん
怪我をして入院した病院にはアスリートの方が多くいたんです。お話しさせていただくと、皆さんまわりが見えず、暴走気味だったから怪我をしたとおっしゃっていて同じような感じだったんですよね。
美夢
でも復帰後のご活躍が素晴らしくて。
留依さん
怪我を経て、自分の考え方や生き方がすごく変わったので、あの時立ち止まったことは自分にとってはプラスになっていると思います。もちろん怪我をしないことが一番ですけどね!
美夢
よく乗り越えましたね。
留依さん
コロナに関しては、気をつけていてももうどうにもできないですからね。退団公演も「止まってしまったら、それはもうしょうがない」という気持ちでした。お客様に対しては本当に申し訳ないと思いますが、やっぱり一番辛いのはやっている人たちだと思います。
美夢
うんうん。
留依さん
公演中止のニュースを聞くのは嫌ですが、何を言っても誰を責めてもしょうがないことなので、世の中が変わっていくのを待つしかないですよね。
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宝塚歌劇団で得た宝物