下を向いて歩くより、上を向いていきたい
──作品の奥にある“苦悩を抱えた背景”のようなものがなぜ、美しさにつながると思いますか?
「もちろん苦悩ばかりではなくポジティブなものもありますけど、もともと私が音楽をはじめたのは、心を病んでしまった友だちに寄り添いたい、というのがきっかけなんです。誰にでも背景というものはあったりすると思うけど、その友だちを見ていて、苦悩によって自分の弱さを受け入れられることは強いし、その強さって美しいな、って思ったんですよね。
そして私は、そういう強さや美しさに気づける力を持ち続けていたいと思っています。大切なのは、人に対してオープンマインドでいられて、どれだけ自分を保っていられるかどうかかな」
明日の朝ごはんのことを考えながら眠りにつきます
──とはいえ、マインドを保つというのは、誰にとってもなかなか大変だと思います。
「わかります、大変ですよね。人生いろんなことが起こるし……。だから私は、あまり一喜一憂しないようにしているし、辛いときこそ達観して生きていこう、と思っています。これも人生だ、下よりも上を向いて歩いてこう、って」
──そもそもあまり、気持ちに波がないタイプですか?
「周りからは『情緒不安定だ』なんて言われますけど(笑)。でも、自分では自分を、冷静に見られていると思っています。あとは、ネガティブな感情をあまり次の日まで持ち越さないことかな」
──そのための、何かいい方法はありますか?
「トレーニングしてコントロールしていくものでもあるんですが、寝る前に今日起こったことを振り返ったりして考えないこと。私は、過ぎたことより先のことや明日のことで、かつポジティブなことを考えてイメージコントロールしています。だから、寝る直前は、だいたい、次の日何を食べるかなど、食べ物のことしか考えていません(笑)」
私は意外と省エネ体質(笑)。朝食は玄米と具沢山お味噌汁が好き!
──ちなみに次の日、何を食べたら幸せになるのでしょうか(笑)。食生活についても、知りたいです。
「最近、食生活を変えたんです。それまでは量を食べるほうでしたが、お腹いっぱい食べて歌っていると気持ち悪くなったりして。そこから、一体自分には、どのぐらいのごはんの量があっているのだろう……と探っていたら、意外と省エネ体質だったみたい(笑)。そんなに多くなくても大丈夫で。
夜は重く感じるので、食事は大体、朝と昼なんですが、昼は仕事をしているとあまり好きなものが食べられない。だから朝だけは、自分が食べたいものを食べようって決めていて。それで、野菜もタンパク質も摂りたい、でもあまり量は食べられないし、栄養バランスを重視すると、すごく質素な食事になるんです。最近のルーティンは、玄米と、麹味噌でつくった具沢山のお味噌汁です。
料理研究家の土井善治先生の著書『一汁一菜でよいという提案』にあるように、ご飯とお味噌汁と、ひとつのおかずで十分だと私も思っているんですが、土井先生が作るお味噌汁がおもしろくて。目玉焼きやピーマンを入れたりするのですが、マネしてやってみたら、すごくおいしいんです」
──意外な組み合わせですが、確かにマネしたくなりますね。miletさんは、お味噌汁にどんな具を入れるのが好きですか?
「土井先生の影響で、トマトなんかも入れたりしていますが、基本的に、旬のものがいいですね。きのこやお芋系が好きだし、さつまいもや、春菊も大好き。最近はこの朝の味噌汁が楽しみなんです」
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何かを美しいと思う心が美しい!