What’s 「アーティストBeauty」?
リスナーに感動や勇気、ハッピーなマインドをくれる音楽を生み出すアーティストが、どのような美学を持っているのかを紐解くこの連載。楽曲制作時のマインドや、華やかなステージに立つときなど、音楽面の美学に加え、普段の肌のお手入れやボディケアについての具体的な美容方法にも迫ります。
第3回ゲスト miletさん
──miletさんが“美しい”と感じるのは、どんなときでしょうか。そして、どんなものに対してですか?
「音楽や絵画などの芸術に対して、よく“美しい”と思っています。ただ、作品そのものの美しさというのもありますが、さらに私は、その作者がそれまで生きてきた道や、バックグラウンドが見えると、より美しさが増すんです。作品と作者は鏡みたいなものだと思っているんですよね。
たとえば、(ヴィンセント・ファン・)ゴッホの『種をまく人』なら、彼が病床で最後に描きたかったものを知ってから見るのと、知らずに見るのとでは、見え方が変わってきます。
また、私はクラシック音楽の中でも、(ルートヴィヒ・ヴァン・)ベートーヴェンや(ニコロ・)パガニーニなど、壮絶な人生を送ってきた人が好きで。この曲が、彼らのどのような苦悩から生まれたのかなどの背景を知ることで、聴き手の想像がより掻き立てられるんですよね。
また新しい日を迎えられるように、特にネガティブな感情は捨てる。
──音楽だけではなく、絵画にも詳しいんですね。
「休日は映画館か美術館か、図書館にいます。映画も好きで、映画を観たらその監督のことや、監督と仲のいい友だちの本まで図書館で読み漁ったり、雑誌をコピーしてファイリングしたりしてして。『カイエ・デュ・シネマ』というフランスの映画評論の本は、当時の映画の流行や、他の背景も見えてきて、時代の関わり方を知るとおもしろいですよ」
──とても勉強熱心ですが、miletさんの座右の銘はなんですか?
「まさに今の話とリンクしますが、経済学者(ピーター・)ドラッカーの『昨日を捨てよ』という言葉を、私は精神的な意味に置き換えて、大切にしています。感情の断捨離じゃないけど、昨日感じたものはそのまま真空パックをする感覚で留めて、鮮度を保っておくんです。そうすればいつか曲になるかもしれないし。そうやって、特にネガティブな感情は捨てて、明日からの私は、また新しい日を迎えられるように、という意味です」
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朝食を楽しみにして就寝します!